荒野と化す
「あ~、死ぬかと思った」
三日間も穴の中に閉じこもっていた僕の体はカチカチだ。
外からの音がまったく聞こえなくなったため、僕は外に出ることにした。
さすがに、これ以上ここに閉じこもってはいられない。
祈っている間は気にならなかったが、暗闇の中に居続けるのは気が滅入る。
マイスコップで出口をふさいでいる土を押しのけながら、穴から脱出する。
まぶしい。
太陽はないはずなのに、ダンジョンの上空には青空が戻っており、その明るさに目がくらんだ。
手で目を覆い、細めた目で空を見上げながら深呼吸する。
肺いっぱいに空気を吸い込む。
それだけで、生きていると実感できた。
とんでもない事態に見舞われたけれど、奇跡的に僕は生き延びることに成功した。
下手をすれば、そのまま地面に埋まって生き埋めになっていてもおかしくなかった。
運がよかったんだろう。
自分が生きていることを感じながらも、スコップなどを背負い穴から這い上がる。
そして、穴から頭だけをぴょこんと出して、周囲を確認する。
音はしないが、もしまだ大怪獣が近くにいたら目も当てられない。
警戒しながら、そっと顔を出す。
「まじか……。すげえことになってんな」
そこに広がっていたのは、もはやのどかな平原とは別物の光景だった。
草が覆い茂り、地平線が見え、ところどころに木々が生える牧歌的な場所だった。
僕が穴の中に避難するまでは、モンスターさえ出なければ開放的ないい場所であると感じられるところだった。
だが、今は違う。
大地はずたずたに引き裂かれている。
いたるところに、大きな岩が地面へと突き刺さって立っている。
きっと、岩の弾丸の魔法が地面へと刺さったのだろう。
問題はその大きさで、小さなものでも高層ビルほどの高さがあるように見える。
僕の避難した穴のそばにそれが着弾しなかったのは、本当にただの偶然だろう。
また、きれいだった草原は草ひとつ残っていない。
激しい振動のせいか、まるで芝生をすべて剥ぎ取ったかのように、地面から緑が消えていた。
荒れ果てた荒野と化し、地面に大きな亀裂が入っているところも何か所も見える。
何をしたらこんなことになるのか、全く理解できない。
唯一理解できることといえば、これが超巨大モンスターが相争って戦闘した影響であるということだけだ。
だが、目の前の光景に唖然としていたが、実はそれよりも驚くべきものが別方向にはあった。
荒れ果てたその大地を眺めていた僕は、ぐるっと首の向きを変えてようやくそれに気が付いた。
「な、なんだこれ? もしかして、これって龍の死体、か?」
そこには、荒野の中でもひときわ目立つように、きれいな白いものがあった。
大きく、長い白いものが横たわっている。
それを見て、一目でピンときた。
あの戦っていたモンスターのうちの一体である、龍の体ではないだろうか。
蛇のように長い体に羽が生えた白い龍。
それが僕の穴から見える位置で、大地へと横たわっていた。
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