表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ダンジョン穴掘り――ストレス発散のためにスコップを手にダンジョンでひたすら穴を掘ってたら奈落に落ちた――  作者: カンチェラーラ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

83/103

祈り

 草原に掘った穴の深さは五メートルほど。

 その深さに達したところで、穴の底から水が湧き出してきた。

 なので、それ以上深く掘っても水が出てくるだけで僕が隠れるスペースを生み出すことはできない。

 そこで、深さ五メートルの穴の底から横方向に穴を掘る。


 僕は何も考えず、ただ全力で穴を掘り続ける。

 こんなことをして意味があるのかと考えることもしない。

 体力の消耗すら気にしない。

 僕の心に押し寄せるのは、少しでも身を隠さなければならないという焦燥だけだ。

 地上にいたら死んでしまう。

 遠くでモンスター二匹が戦っているだけなのに、直感が「ここにいたら死ぬ」と告げている。


 マイスコップで土を掘り、後方へと放り投げる。

 穴を掘ると土が出てくる。

 本来ならその土は穴の外に運び出すべきだが、今はそんな余裕はない。

 僕は横穴を掘りながら、邪魔になる掘った土を後方へと押しやり、さらに横穴を掘り続ける。

 その結果、掘り出した土で穴が埋まっていく。

 気がつけば、僕は自分で掘った土に埋もれ、地下に閉じ込められていた。


 さすがにもうこれ以上は掘れない。

 後方へと押しやった土で横穴が埋まってしまい、ほとんど真っ暗だ。

 かろうじて空気が通っている。

 窒息の心配はなさそうだ。

 だが、空気が通るということは、空気の振動も届くということを意味する。

 つまり、地上での音が地中にいる僕の耳にまで届いていた。


 地面の中に埋まってしまっているはずの僕のもとにまで、大怪獣の暴れる音が聞こえてくる。

 ゲリラ豪雨の中で、すぐそばに雷が落ちたような音。

 その直後には、地震のような揺れ。

 建物が倒壊するような轟音。

 そんな音が、絶え間なく響き続けている。

 真っ暗闇のはずなのに、時々まぶしいほどの光が届くこともある。

 きっと、どちらかの化け物が光を放つ魔法を使ったのだろう。


 いつまで続くんだろうか。

 地面に穴を掘り、自ら土で出口をふさぐようにして隠れてしまったために、地上にいたときのような音の振動は感じていない。

 が、それでも大地そのものが揺れているようには感じている。

 たった五メートルの深さの穴では、崩れて埋まってしまうのではないか。

 そんなことを考えてしまう。


 途中からは目を閉じて手を合わせて祈るしかなかった。

 どうかお怒りを鎮めてください、とばかりに超巨大なモンスターへと願い続ける。

 いったいどれくらいの時間が過ぎたのだろうか。

 あまりにも長い時間、ずっと暗闇の中で祈っていたから時間感覚が分からなくなっていた。

 だが、ようやく終わりがきた。

 いつの間にか、地上での激しい音と振動と光が止んでいた。


 そこで、スマホの時計を確認する。

 僕は、穴の中で三日間も祈り続けていたのだった。

お読みいただきありがとうございます。

ぜひブックマークや評価などをお願いします。

評価は下方にある評価欄の【☆☆☆☆☆】を【★★★★★】にしていただけけますと執筆の励みになります。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
もう天変地異
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ