安全確保のために
「スコップよし、ダンジョンバーよし、水もたくさん用意した。準備よし」
日曜日の午後。
午前中にもダンジョンに行っていた僕は昼食を食べに自宅へと戻り、ご飯を食べてシャワーを浴びて、着替えも済ませてから勉強し、その後に昼寝もした。
それで完全にリフレッシュできたので、午後もダンジョンへと向かう。
ダンジョンへと持っていくものを準備し、忘れ物がないかを指さし確認する。
その中に、今までとは少し違う点があった。
それは、いつもよりも多めに水分を持っていこうと思い、家にあった空のペットボトルに水を入れて用意した。
ダンジョンで泥を作るためだ。
午前中に行ったダンジョンでの遊びの際に、友人である渚の妹である楓ちゃんの行動のおかげで、もしかするとダンジョン内で泥団子を作るとスライムが現れるかもしれないという考えが僕の中で急浮上した。
それを確かめようと、泥遊びできるように水をたくさん用意したというわけだ。
といっても、これは別にお金儲けのためではない。
確かに楓ちゃんのように魔石を手に入れて持ち帰れば、土よりも少ない量でも、土より高く買い取ってくれるのかもしれない。
が、さっき昼寝をした後にスマホで調べた限りでは、ダンジョン内にスライムは結構いるらしい。
わざわざ、泥を自分で作ってスライムを生み出し魔石を得るよりも、探して倒したほうがお金にはなるのだろう。
だから、水を持っていく理由はスライムでお金稼ぎをしようと考えたわけではなく、安全確保のためだ。
ダンジョンの壁を掘り、集めた土。
その土に水を混ぜて泥にすると、動く泥であるスライムが生まれる可能性がある。
僕の考えたこの仮説が正しければ、それは同時に危険でもある。
なぜならば、僕が穴掘りをしているのは、本来モンスターが出ないと言われるダンジョン入口のすぐ近くだからだ。
モンスターがいないと言われる場所でモンスターが現れる。
しかもそれが探索者が外から持ち込んだ荷物さえも、その粘性の体で溶かして食べるスライムというのが問題だ。
もしも、泥遊びをした後にスライムが生まれて、僕の荷物を溶かされてしまっては困る。
穴掘りをする場合にはスコップや手押し車のほかにも土嚢袋や僕の荷物を床に置いているからだ。
つまり、僕の体はもちろん、荷物もモンスターであるスライムに狙われないようにするために、まずは本当にスライムが生み出せるのかを確認しようというわけだ。
そう考えた僕は、結構な量の水をダンジョン内に持ち込み、スコップでダンジョンの壁を掘り、そこで得た土に水をかけてたくさんの泥を作ることにした。
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