お昼前に
「泥団子づくりも奥が深いな」
三者三葉の泥団子を作り、三人の作品を見比べながら、僕はつぶやいた。
中でもひときわ目を引くのが、楓ちゃんの泥団子だ。
いや、これはもう泥団子とはいえないかもしれない。
小さな玉ではあるけれど、その表面がピカピカと輝いており、まるで宝石のようだ。
しかもそれは製作途中に僕がギュギュっと固く握りしめているので、ちょっとやそっとじゃ崩れないくらいの硬さがある。
作った楓ちゃん自身もこの泥団子をすごく気に入っているみたいでニコニコ笑顔だ。
だが、泥団子ばかりを作っているわけにもいかない。
せっかく、手押し車も借りていることだし、お昼に一度家に帰る前にもう一度ダンジョンの壁を掘り、土を集めて持ち帰ろう。
そう考えた僕は、マイスコップを手に取って穴掘りを再開した。
「すごい。僕は全然掘れなかったのに、佑馬君は簡単そうに掘ることができるんだね」
「まあね。これでも慣れてるから。最初は渚みたいにまったく掘れなかったし、次の日は筋肉痛になったよ。明日は渚も体が痛いかもね」
「あはは。僕はそこまで長い時間掘っていたわけじゃないし、大丈夫じゃないかな。でも、本当にすごいね。ダンジョンで穴掘りなんていつからやってたの?」
「ん~、言うほど前からやってたわけじゃないんだけどね。まだ一週間も経ってないしね。だから渚も慣れればすぐにできるようになると思うよ。筋肉もつくんじゃないかな?」
僕がスコップで掘りながら、渚の持つ土嚢袋に土を入れる。
自分ではうまく掘れなかったからと、渚が手伝うと言ってくれたので、土を袋に入れる作業をやってもらった。
土嚢袋に土を入れるとき、袋の口から土がこぼれて意外と難しい。
もう一人が袋を広げて持っていてくれるだけで、かなりやりやすさが違う。
僕らはおしゃべりしながら土を掘り、袋に詰めていく。
そのそばで楓ちゃんはもう一つ泥団子を作ったり、渚が作った泥団子を磨いたり、時々ダンジョンの壁や床を見つめたりして過ごす。
当初の予定通り、三袋分の土を集め、そしてお昼になった。
「土を集めたから僕はこれをダンジョンの外にある建物に持っていくよ。この土を買い取ってもらえるんだ」
「そういえば、お小遣いを稼いでいるって言っていたよね。運ぶの手伝おうか?」
「んー。この手押し車を二人で押すのは難しいから、それなら僕のスコップとかの荷物を持ってきてもらってもいいかな?」
「うん、いいよ。それくらいならいくらでも手伝うよ」
「ありがとう、それじゃあ行こうか。楓ちゃんもそろそろ外に出ようか」
「うん、わかったー」
土を集め終えた僕らはダンジョンから出る。
その時、僕は気が付いていなかった。
楓ちゃんが僕の掘った穴で小さな石を拾って手に持っていたことに。
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