三人での遊び
「すごいね。これは佑馬君が掘った穴なの?」
「うん。ダンジョンって変わっていて穴を掘っても放置していたら元通りに戻っちゃうんだ。だけど、昨日今日と休みだから朝から晩まで掘っていたら、穴が元の状態に戻らずに残ってこれだけ広げられたんだ」
妹の楓ちゃんを背中にくっつけたまま、渚が聞いてくる。
僕が開けた穴をしげしげと見ながら感想を言ってきた。
うれしい。
ただの一人遊びで掘っていた穴をすごいねと言ってもらえて、なんだかくすぐったくなる。
思わず、ちょっと自慢気に説明してしまう。
「お団子作りたい」
そんなとき、渚の陰に隠れながら小さな声で楓ちゃんが声を発した。
お団子って、なんだろう?
食べ物じゃないと思うから、もしかして泥団子でも作りたいのだろうか。
そういえば、僕も小学校に入るか入らないくらいの時に泥団子作りにハマったっけな。
公園の砂場なんかでまん丸でつるつるの土の団子を作ったことを思い出した。
「面白そうだね。やってみる、楓ちゃん? 水場はないけど、水筒の飲み水があるから、それを使って泥団子を作ってみようか」
「いいの? ありがとう、佑馬お兄さん」
「いいよいいよ。じゃあ、僕も一緒にやろうかな。渚もする?」
「うん、そうだね。でも、僕は佑馬君がやってた穴掘りもやってみたいかも」
「もちろんいいよ。じゃあ、僕のスコップを貸してあげるから掘ってみたら? でも気を付けなよ。そのスコップは普通のスコップよりは掘りやすいけど、ダンジョンの壁ってめちゃくちゃ硬いからかなり大変だよ」
渚にスコップを貸す前に、さっきまで土嚢袋に詰めようとして集めていた土の山を手早くまとめる。
そして、そこに水筒から水を出してかけた。
適度に土を湿らせて、楓ちゃんと座り込んで泥団子を作り始める。
その間、渚は僕らのそばでダンジョンの壁に向かってスコップを差し込み壁を掘ろうと頑張っていた。
だが、思うようには掘れていない。
僕が最初に普通のスコップで穴掘りを始めたときみたいに、硬い壁にわずかに差し込むことしかできず、それをなんとか掘り返そうと、てこの原理でグリグリと力を込めている。
けれど、僕よりも体の細い渚だと体重差のせいか、思ったよりも掘り返せていない。
しばらくは僕が声を掛けつつ、なんとかダンジョンの壁を掘ろうと頑張っていたが、ほとんど何もできずに諦めることとなった。
そして、今は三人で泥団子づくりをしている。
久しぶりにやったけど意外と楽しいな、これ。
僕はほかの二人よりもちょっと大きめの泥団子を三つ作った。
その間に渚は三人の中の誰よりもきれいな球体の泥団子を作り上げた。
そして、楓ちゃんは自分で作った泥団子を磨き上げ、一人だけ桁違いにピカピカの泥団子を作り上げることに成功していた。
そんなことをしつつ、僕らはダンジョンの入り口近くでのんびりと遊んでお昼まで過ごしていた。
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