崩壊
「な、なんだ? どうなってんの、これ?」
ボス部屋のような大広間。
その中にあった小部屋。
そこに地下から抜け道を掘って侵入する。
そこで、宙に浮く巨大な球状の魔石を――スーちゃんが食べた。
触手のようにスライムの体を伸ばし、魔石を包み込んで消化する。
これまでにも何度も見たことのある、スーちゃんの食事風景だった。
だが、ここからが違った。
スーちゃんが魔石を完全に取り込んで食べた瞬間、周囲の状況が一変した。
岩盤以上に硬かった床も、石壁も、扉も、天井も――。
そのすべてが崩壊し始めた。
地下神殿が崩れている、というのとは少し違う。
というのも、地震のように地下神殿が大空洞ごと崩れて押しつぶされているわけではないからだ。
上からの圧力で建物が倒壊するのではなく、まるで物質そのものが崩壊していく感じ。
砂浜に作った砂のお城が崩れるようだった。
固く形を保っていたはずのものが、本当は最初から脆かったかのように、一瞬で崩れ去る。
あらゆる物質が、粒子となってほどけていく。
なんで?
だけど、分かっていることはある。
それは、この現象が起きたタイミングだ。
明らかに宙に浮いていた魔石が消えたタイミングと同じだった。
偶然のはずがない。
そう、直感が告げている。
きっと、あの魔石はこの地下神殿の形を保っていた礎だったんだ。
それが無くなってしまったことでその形を保つことが難しくなり、崩壊が始まった。
崩れゆく周囲の状況を見ながら僕はそう理解した。
だが、それならばどうすればいい?
問題は、これが地下神殿だけでは終わらない可能性だ。
ただ単に神殿が崩れるだけならまだいい。
だけど、天井も崩れたことで見えたのだが、地下の大空洞そのものが、同じように粒子となって消えている。
ということは、地下の土そのものが無くなるということ。
サバンナはどうなる?
草原は?
あるいは荒野は?
ダンジョンはどうなるんだ?
この崩壊の規模はどこまで影響を与えるのか僕には知る由もない。
僕はただ、周囲から降り注ぐ粒子から身を守ろうと、体を丸めて目を閉じ、耳をふさぐことしかできなかった。
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