非正規ルート
「普通ならこんなことしたら怒られるどころじゃすまないだろうな」
ダンジョンのサバンナ、その地下に広がる大空洞。
その広大な地下空間に、ひっそりと佇む厳かな神殿。
重厚な石造りの柱や壁で構成された地下神殿を、僕はスコップで掘り進んでいる。
地上でこんなことをすれば歴史的建造物の破壊行為としてニュースに取り上げられて炎上すると思う。
だが、ここはダンジョンだ。
他の人なんて誰もいない。
だから僕は、好き放題に壁を壊しながら進む。
石壁は硬いが、岩盤のような天井よりはましだ。
マイスコップで僕が通り抜けられる大きさに穴を掘って通過する。
壁を一枚抜けるごとにアースソナーを使用し、周囲の確認をしつつ先を目指す。
モンスターとは戦わない。
アースソナーで反応がある石像はすべて回避し、近づかない。
そうして、神殿の奥までやってきた。
どうやら、僕が最初に地下神殿を見つけたあそこが入口で間違いなかったようで、そこから奥へと進む造りになっていたようだ。
なにがあるのかはわからないが、この神殿は内部が迷路のように入り組んでいながらも先へと通じており、そして神殿の奥には大きな部屋がある。
ここがダンジョンであるということを考えると、この地下神殿は本来迷路を通りながらゴーレムやガーゴイルなどのガーディアンと戦いつつ奥を目指すことになるんだろうな。
ただ、僕がやっていることは完全に別物だ。
アースソナーで探知しながらあえて迷路の行き止まりのルートを進む。
その途中で横の壁をくり抜いて別の通路へと合流し、少し戻ってさらに壁をくり抜き、また別の道に進む。
一見遠回りでも構わない。
その結果、ガーディアンとの戦闘を一切せず奥まで到達した。
「でっけー扉だな。いかにもなにかありますって感じだ。っていうか、ボス部屋っぽいよね」
壁に穴を開けてひたすら進み、最奥の部屋の前までやってきた。
そこには巨大な扉があった。
いかにもな、重厚な大扉だ。
こいつを開けるだけでも一苦労だろう。
そして、この扉を開ければ大きな広間があるはず。
「んー? いや、ここが最奥だと思ったけど、この奥の広間の先にもう一つ小さい部屋がある、のか?」
だが、そんな巨大な扉の前で再度アースソナーを使ったことで違和感に気が付く。
先ほどアースソナーを使った時には気が付かなかったのだが、この広間の中には小さな扉があり、そこからもう一つ部屋があるみたいだ。
ただし、広間に比べればかなり小さい。
遠くから探知したときには気が付かなかったくらいだ。
これ、扉の先にボスモンスターがいるんじゃないだろうか。
で、ボスを倒したら広間の中の扉が開いて、お宝が置いてある部屋へ入れることになる、とか?
確証はない。
今のところモンスターの気配もない。
が、自分で考えたそのストーリーが現実になりそうな気もする。
だったら、この扉を開けるのはやめておこう。
どうせここまで正攻法は一度も使っていない。
そう考えた僕は、再びスコップを手にして穴を掘り始めた。
だが、今度は掘るのは壁ではない。
地下神殿の床を僕は掘り始めた。
広間の下を潜り抜け、その奥にある小部屋へ――抜け道を作る。
そうして、最奥の小部屋へと侵入することにした。
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