石像
「マジでいるじゃん。つーか、あの石像がモンスターだったのか」
アースソナーはこの地下大空洞の中でも使用可能なようだ。
とはいえ、空洞全体を網羅できるわけではないが、空洞内の地面と神殿の構造は把握できた。
おそらく、神殿が石材で造られているため、アースソナーに反応するのだろう。
そこで、いくつかの事実が見えてきた。
一つは危惧したとおりモンスターが存在しているということ。
荘厳な地下神殿の入り口付近や外周には、建物とは別に石像が配置されている。
一見すると神殿に威厳を加えるための装飾品にも見える。
しかし、アースソナーの反応は、それがモンスターだと告げていた。
人型はゴーレムで、魔物型はガーゴイル系のモンスターだと思う。
しかも数が多い。
これが厄介だ。
石でできたモンスターは戦ったことが無いけれど強敵なんじゃないだろうか。
素材的にも防御力が高いだろうし、重量級で攻撃力もあり、破壊の権化という印象を受ける。
また、魔法にも強そうだ。
僕は使えないから関係ないけど。
ゴーレムとかガーゴイルと戦いたいかと言われるとノーだ。
だが、入り口の左右にはゴーレムが配置されている。
この中を探索するのであれば戦闘は避けられないだろう。
また、運よく入り口近くにいるゴーレムたちとの戦闘を避けて入口内部に侵入したところで、地下神殿内部にはほかにもガーディアンたるゴーレムたちがいる気配を探知している。
どうしようかな。
これがゲームなら、なにも気にせず入り口近くのゴーレムでもガーゴイルでも戦いを挑むんだけどな。
一度戦ってみたら、意外と勝てるかもしれない。
勝てなくても相手の戦い方を見てどうすれば勝てるかを考えるだけだ。
それもこれも、ゲームという自分の命の心配がない場合の行動だけど。
だけど、今は違う。
これはゲームではなく現実だ。
お試しに戦ってみるというのは、簡単には踏み切れない。
死んでゲームオーバーになるのは論外として、怪我するだけでもまずいからだ。
「……しょうがない。あんまり褒められたやり方じゃないだろうけど、安全第一にいこうかな」
地下神殿はお宝があるかもしれないというだけではなく、地上への脱出のための手がかりがあるかもしれない場所だ。
ここを調べずに通り過ぎるのは無理だ。
だが、強そうな地下神殿のガーディアンたちを相手に大立ち回りをするのは怖い。
なので、僕は別の手段を取ることにした。
地下神殿のまわりをぐるりと回りながら、アースソナーを何度も使う。
一度では神殿内部のすべてを確認できない。
だが、周囲を回りながら探知を重ねることで、内部構造を頭の中に組み立てていく。
正確ではないが、大まかな見取り図を作る。
そして、神殿を守る石像が一番手薄な場所を探し出した。
建物の左から回り込み、裏手に入る手前。
どうやら、そこは神殿の外にも内部にも石像が配置されていない場所になるようだ。
だが、そこは石造りの立派な壁が存在している。
窓一つない壁。
普通なら、侵入は不可能だ。
だから、ダンジョンもここに石像を配置していないのだろう。
しかし、僕はここから中に入ることに決めた。
重厚な石造りの地下神殿の壁に、マイスコップを押し当てる。
そこに体重をかけた。
硬い。
が、ダンジョンの天井を掘っていたときに感じた岩盤のような硬さと比べるとまだましだ。
――いける。
これなら、掘れる。
僕はそのまま力を込めて掘り進め――神殿の内側に、足を踏み入れた。
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