ビッグワーム
ザックザク。
僕のスコップがダンジョンの土をえぐるように、深く掘っていく。
自分でも驚くほどだ。
かなりのスピードで、深く広く掘れている。
あっという間に、目の前には巨大な穴が出来上がった。
見たところ、深さは十メートルほど。
幅も同程度はありそうだ。
異常だ。
今までだったらダンジョンの硬い壁や天井を根気よく掘りすすめるしかなかったのに、なぜここまで一気に掘れたのか、自分でもわからない。
が、わかることもある。
それは、このサバンナの土は柔らかく感じたということだ。
不思議な話だけれど、荒野に生えた巨大樹のてっぺんからダンジョンの空模様の天井を掘った時には恐ろしく硬い岩盤のように感じていた。
そこからその硬い岩盤をひたすら掘ってきて、ようやくたどり着いたのがこのサバンナエリアだ。
だが、そのサバンナの土を掘れば岩盤よりもはるかに柔らかい。
なぜこんなことになるんだろうか。
僕の完全な推測にしかならないけれど、おそらく、階層が違うのだろう。
荒野、あるいは草原の階層とこのサバンナの階層は本来であれば別物なんだろう。
僕は天井を掘り進めてこのサバンナに到達したけれど、きっとこれは正規ルートじゃない。
ゆえに天井を突破するまでは土の中は岩盤だったのだけれど、サバンナに一度でも到達してしまえばそこは普通のサバンナの土として存在しているのではないか。
つまり、このサバンナの土をいくら下に掘っても、あの巨大樹のある階層には戻れないのかもしれない。
そんな気がする。
……いや、今はそれどころじゃない。
現状では僕は十メートル級の大きな穴を一瞬で掘ることができた。
ここで近づいてきているモンスターを迎え撃つ。
重要なのはそちらであって、階層の不思議は無視だ。
僕が脳内での思考を切り替えたときだった。
近づいてきていた地中の振動がすぐそこまでやってきて、そしてそいつは穴の側面から顔を出した。
でかい。
このエリアのモンスターは、どいつもこんなに規格外ばかりなのか。
蚯蚓だ。
とんでもなく大きなミミズが地中を掘り進めて穴の側面にぶち当たった。
直径は二~三メートルくらいはありそうだ。
長さは、見当もつかない。
パッと見は十メートルを軽く超しているんじゃないだろうか。
先端部分には大きな口があり、そこに開いた穴にはギザギザと鋭くとがった歯が円周を覆うようにして並んでいる。
その歯と歯の隙間には無数の土や岩が挟まっていた。
人間なんて、一口で丸呑みできそうなサイズだ。
こいつ、土を食いながら地中を進んでいるのか?
スライムのスーちゃんと言いこのビッグワームといい、いったい食べたものの質量や容積はどこに消えていっているんだろうか。
あまりにも規格外の大ミミズに度肝を抜かれた僕は、そのビッグワームが高く伸びをしてそこから胴体を叩きつけるような攻撃をしてきたことで、慌ててその場を飛びのいた。
ズドン、というものすごい音と振動が響く。
風圧が肌を叩く。
あと一歩遅れていたら――終わっていた。
やべえ。
こいつ、どんな重量をしているんだろうか。
その圧倒的な質量で押しつぶされでもしたら、僕の体はわずかでも耐えることは難しいだろう。
とんでもない化け物だ。
――思わず、目の前が暗くなった。
お読みいただきありがとうございます。
ぜひブックマークや評価などをお願いします。
評価は下方にある評価欄の【☆☆☆☆☆】を【★★★★★】にしていただけけますと執筆の励みになります。




