違和感
シャクリ、シャクリ。
今回は、熟れていない硬めのナシのような見た目の、ブドウ味の果実を食べながら歩く。
ランダムフルーツはどれもおいしいんだけど、こいつはちょっと微妙だったかな。
ブドウ味なら、もう少し瑞々しいほうがいい。
舌が慣れた感覚と違っているので、どうにも違和感が強い。
食べ物のおいしさは、味だけじゃない。
見た目や触感も大事なんだと改めて思う。
それでも――食べられるだけありがたい。
そう思いながら歩き続けた。
ズズズ。
そんなふうに乾燥したサバンナの地形を歩いていて、ふと違和感に気が付いた。
かすかな振動を感じた気がする。
これは地面の下、か?
ほんのわずかな振動で、普通なら気づかない程度だ。
だが――地中から伝わるそれが、妙に気になる。
ここはダンジョンだ。
もしかするとモンスターの仕業かもしれない。
食べていたランダムフルーツを一気に口に入れて食べきる。
そして、スコップを握り、いつ異変が起きても動けるように身構える。
右手側、やや斜め前――地中を、何かがこちらへ向かって近づいてきている。
距離はまだある。
なぜこんなことに気づけるのか、自分でも不思議だ。
だが、これはきっと僕がずっと地面の中を穴掘りしていたから、そういうことに敏感になったのだろうと思うことにした。
十中八九、モンスターの影響だろう。
そして、モンスターであれば人間を見れば襲ってくる。
こちらに一直線に来ていることを考えると僕の存在はもう捕捉されていると考えておいたほうがいいだろう。
問題はどう対応するか、だ。
逃げるか?
どこに?
どうやって?
振動から考えられる相手の速度が速いし一定のスピードを維持しているように思う。
走って逃げても逃げきれそうにないし、安全な逃げ場もない。
だが、モンスターを倒すとなると難しい問題だ。
トレントが相手であれば勝てると思う。
相手が動かない木のモンスターだったから。
飛行型モンスターも一応全勝している。
あの時はすでに巨大樹の上空で、そこからスーちゃんが落下させるだけで対応できた。
だが、今回はどうだ?
地中からやってくるなんらかのモンスターにはたしてスーちゃんは対応できるのだろうか。
できるのかもしれないけれど、確証はない。
どんな姿をしているのかすらわからないからだ。
では、スーちゃんではなく僕自身が対応しないといけない。
が、なにができる?
僕はまともにモンスターと戦ったことが無い。
トレントから果実を奪いはしたが、あれは戦闘と呼べるものじゃなかった。
……駄目だ。
そんなことを考えている場合じゃない。
今も何者かが地面の下を移動してこちらへと近づいてきている。
なんとかしなければ。
そう考えた僕は、スコップを握る手に力を入れて、サバンナの地面に穴を掘り始めた。
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