マジックバッグ
「うーん。やっぱりこれっておかしいよね?」
サバンナのような環境のダンジョン内を移動し、そこで目に留まる果実付きトレントから果実をぶんどっていく。
トレントはモンスターであるので僕が近づくと攻撃をしてくるけれど、スーちゃんとタッグを組んだ僕であればトレントから果実を狩ることは問題なくできている。
すると、手に入れた果実の数が多くなり、食べきれなくなる。
その都度、背中に背負ったリュックに入れているのだが、問題はその荷物の量にあった。
僕の背中に背負っているリュックは普通のものだ。
だが、この中に入れたトレントの枝とランダムフルーツの量は背負いきれるものではなくなっている。
なのに、リュックは膨れ上がったりもせずに戦利品を収納できている。
これはリュックのおかげではなく、その中にある革袋の効果である。
リュックに入れた革袋は僕がダンジョン内で自作したものだ。
白龍の尻尾からお肉を持ち運ぶために尻尾の先を切り離した。
そして、その尻尾の先端の肉と皮をスーちゃんに分離してもらい、皮のほうは革袋として利用するようになった。
最初は普通に見た目通りの容量だったはず。
だけど、いつの間にかこの革袋の中はたくさんのものが入るようになっていたみたいだ。
なぜだろうか?
明らかにトレントの枝やランダムフルーツが、見た目以上に入るのは間違いない。
この容量アップに気づいたのは、トレントから戦利品を得るようになってからだ。
たぶん、巨大樹を木登りしていたときには、こんなことにはなっていなかったはずだ。
となると――巨大樹を上り切り、ダンジョンの天井を掘ってサバンナへ出た。
あの穴掘りの最中に、革袋の容量が増えたということだろうか。
気になったので、周囲の安全を確認してからチェックしてみることにした。
革袋の中身を取り出し、一つずつ並べていく。
トレントの枝がいくつもあり、さまざまな見た目のランダムフルーツもたくさんある。
また、巨大樹の木登りの間に襲われてスーちゃんのおかげで倒した飛行型モンスターのドロップアイテムも入っている。
嘴や羽、かぎ爪なんかがそれだ。
「……あれ? 魔石の数ってこんなものだったっけ?」
革袋の中に入っていたものをすべて出してから気になることがあった。
それは、魔石についてだ。
この革袋には魔石も入れていた。
飛行型モンスターを倒したときにはドロップアイテムの一つとして魔石が手に入っていたし、ダンジョンの天井を掘り進めているときに魔石の鉱脈を見つけて手に入れた魔石があったはずだ。
鉱脈の魔石はスーちゃんが食べていた。
食べ物がない環境で僕がお腹を減らしたのでスーちゃんの体を食べさせてもらっていた。
そして、スーちゃんは僕に食べられた分を補填するかのように魔石を食べて体の総量を維持していた。
なので、魔石鉱脈で手に入れた魔石すべてが革袋に入っているわけではないのだけれど、すべてをスーちゃんが食べてしまったわけでもなかった。
穴掘りの最中は、次にいつ魔石鉱脈が見つかるかわからない。
だから、スーちゃんの体を食べるたびに、残しておいた魔石を取り出して補っていた。
暗闇の中でのことなので正確な量というのはわからない。
だけど、僕の感覚としてはもっとたくさんの魔石が残っていると思っていた。
だが、その僕の感覚と実際の魔石の数に大きな相違がある。
もしかして、革袋が魔石の力で強化された?
そんなことがあるんだろうか?
だが考えてみると、スーちゃんの魔石を食べると体が大きくなる変化があった。
であれば、白龍というモンスターの尻尾の皮を使って作った革袋も魔石によって何らかの変化があってもおかしくはない、のか?
「……これ、もしかして」
見た目はただの革袋。
でも中身は――明らかにおかしい。
「――マジックバッグ、ってやつじゃないか?」
僕の考えが正しいのかどうか僕にはさっぱりわからなかった。
だけど、分かっていることはある。
それは、僕の持つ白龍の尻尾から作った革袋は見た目以上にたくさんのものが入れられる魔法の鞄に変わっているということだ。
こうして、僕は予期せぬ形でマジックバッグを手にすることになり、その中にたくさんのランダムフルーツをさらに詰め込んでいったのだった。
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