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ダンジョン穴掘り――ストレス発散のためにスコップを手にダンジョンでひたすら穴を掘ってたら奈落に落ちた――  作者: カンチェラーラ


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トレント戦

 大きな木で枝が広く広がったトレントを目の前にして深呼吸をする。

 そして、超集中ゾーンを発動。

 体内の魔力を充実させ、けれど体外には不必要に漏らさず制御することで集中力を爆発的に上げる。

 だが、今の僕が行う超集中ゾーンはかつてのものとも少し違っていた。


 以前は体からあふれ出る魔力を体表に留めるものだった。

 薄皮一枚分くらいでキープすることで超集中ゾーンの状態に入っていた。

 が、今の僕の体にはスーちゃんがスライムスーツとして引っ付いている。

 頭の先から手足や胴体に至るまでスライムの体で包み込んでくれている。

 このスライムスーツは僕の体を守るのと同時に強化もしてくれている。

 外からの衝撃を吸収して受け止めてくれるだけではなく、僕の体の動きをサポートしてくれる働きをしていた。


 なので、今は超集中ゾーンをするときには、僕はスーちゃんのスライムスーツも含めて魔力を使っている。

 僕の体とその体を包むスライムスーツを覆うように魔力を使用し、スーちゃんのサポートを僕の魔力で強化しているというわけだ。

 これは長い時間ダンジョンの天井を突破するために漆黒の闇のなかで二人三脚で穴を掘っていたときに扱えるようになった。

 僕とスーちゃんの魔力を混ぜ合わせ、二つを一つとして活用することで劇的に身体能力を上げることができるようになっている。


 また、魔力の量も質も以前よりも向上していると感じる。

 これもきっと白龍の尻尾肉を食べたことが影響していると思う。

 大量の魔力が体の奥底から湧き上がってくるし、その魔力をもとにして僕の肉体自体も変化して強化されている。

 そのおかげで採掘能力が劇的に上がったが、今回はその身体機能をトレントの果実を得るために使う。


 だが、動くモンスターを相手にした経験は僕には一度もない。

 いくら身体機能が以前までよりも上がっているといっても、それが通用するかどうかもわからない。

 なので、緊張する。

 急激に高められた僕の思考力がトレントの動きを一つも見逃すまいと研ぎ澄まされていく。


 狙いは枝の上部にある果実。

 そこには手が届かないし、スコップを振り回しても届かない。

 ゆえにトレントの幹を駆け上がり、枝を打つしかない。

 木登りは何度も経験している。

 目の前のトレントは大きな木ではあるものの、巨大樹と比べれば雲泥の差だ。

 枝に到達して果実を落とすのは数秒あればできるはず。


 ふぅ、と息を吐き、そして駆けだした。

 一瞬でトップスピードに加速し、トレントに近づいていく。

 僕の足の裏ではスーちゃんが地面からの衝撃を吸収しつつ、反発する。

 その反動で、一歩進むたびに加速度的にスピードが上がり続ける。


 トレントが遅れて反応。

 急激に近寄る僕を見て敵として認識したようで迎撃に移る。

 枝を左右から時間差をつけて振ってくる。

 僕から向かって右の枝が先に振られ、遅れて左が来る。

 枝が唸りを上げて空気を裂く。

 だが、遅い。

 超集中ゾーンに入っている僕はその動きが見えている。


 最初の枝は体を左へと逃がすことで回避する。

 そして、次の左からの攻撃は枝の下をかいくぐるようにダッキングして避けつつも前進した。

 トレントの幹に飛びつく。

 幹を五歩程度駆け上がれば枝の果実へと届く。


 だがしかし、ここで僕には誤算があった。

 どうやら、僕とスーちゃんの考えは違っていた。

 僕の足の裏がトレントの幹を踏みしめ、スーちゃんの吸盤力を使っての木登り術で登ろうとしたのだが、幹が爆ぜた。


 ボン、ともドン、ともつかない大きな音がして幹に大きな窪みができる。

 まるで幹に爆弾を埋め込み爆破させたかのような、そんな感じだ。

 太くしっかりとした幹に穴が開いている。


 なにが起きた?

 一瞬理解できなかったが、足を止める理由にはならない。

 僕はそのままトレントの枝を目指して上に向かう。

 そして、そのための一歩ごとにトレントの幹が爆ぜる。


 もしかして、スーちゃんか?

 普通に木登りするだけならば僕の足裏のスライムスーツは抜群の吸着力を発揮して幹に二本足で立ちながら地面と水平の姿勢を維持することもできる。

 だが、それは全く動かず、木登りをする僕を拒絶もしなかった巨大樹での話だ。

 今、木登りしているのは僕を攻撃してくるトレントだ。

 こういう相手には同じような木登り術では危険だとスーちゃんが判断したのかもしれない。


 ではどうするか。

 攻撃しながら木登りする。

 それがスーちゃんの答えだった。

 足裏で発動したのは吸着力だけではなく、強力な反発力だった。

 まるで足の裏で爆弾が爆発でもしているのかと思うくらいの衝撃を発する。

 それが直に触れているトレントの幹に直接攻撃となって穴を開けたのだろう。

 おかげで、僕の考えていた五歩には満たないわずか三歩で上まで到達し、トレントの枝に触れられる位置までやってきた。


 幹をえぐられたトレントは地面から見ると傾いてしまっているようだ。

 反撃などできるはずもない。

 そんな状態のトレントに対して僕はスコップを振るう。

 こちらにも魔力を流し、強化したうえでトレントの枝を打った。

 スコップの金属部分が枝に当たり、そこから衝撃波が広がった。

 たった一撃。

 それで、大きな木であるトレントから広く広がる枝の三分の一以上が吹き飛び、果実が付いた枝が無数に地面へと散らばったのだった。

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― 新着の感想 ―
そういえば、植えた尻尾からまた白龍生えてくるかな?
割とありがちな設定だと従魔に食べてもらって可食ないし無毒判別してるけど、スーちゃんは本当になんでも食べるからその手の判別出来なさそうやね笑
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