↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
わたくしは何も存じません  作者: 綾雅(りょうが)9月は3冊!


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

328/335

328.円満夫婦は妻優先が原則

 山を登る街道は、どうしても馬車の速度が落ちる。そのため、早朝から出発した。まだ肌寒く薄暗いうちから、山道を登っていく。揺れる馬車は、それでも轍を丁寧に処理されている道を順調に進んだ。寄り道せずに帰ってきたので、ウテシュ王国を出発して四日目の朝だ。


 明るくなる外を見ることなく、ラファエルは眠っていた。大きく揺れて頭を打たないよう、クラーラがクッションを差し込む。ごろりと寝転がった孫を見つめる目は、二人とも優しかった。


「私はともかく、あなたは簡単に隠居させてもらえないと思うわ」


 ウテシュ王国周辺と違い、ゼークトからロイスナーへ向かう道は整っている。きちんと整備され、雨でできた穴や轍は砂利で埋められていた。そのため、多少の会話はできる。乳製品を始めとして、様々な交易品がこの道を通るためだ。


 商人達は馬車の故障や品物の損失を考え、金を出し合って道を整備してきた。そこに当時のロイスナー公爵家から、資金援助が出る。加えて、ゼークト王国側もシェンデル公爵家の支援が入った。周辺より立派な道は、幅も広くて通りやすい。


「クラーラ、お前のほうが大変じゃろうて。わしはすっぱり辞められるぞ?」


 互いに自分はもうお役御免、と言い張る。どちらも頼られる未来が予想できるのだが、あえて目を瞑っていた。この年まで貢献したのだから、そろそろ解放してほしい本音が覗く。


「頼られても断りますわ」


「わしもじゃ」


 互いに笑い合った。クラーラがエッカルトの肩に頭を乗せ、目を閉じる。眠ると言わずに寄り添う妻を、エッカルトの腕が抱き寄せた。


「お祖父様もお祖母様も……仲がいいね」


 いつの間に目覚めていたのか、ラファエルがにこにこと指摘する。ここで動揺して腕を離すような男ではなかった。エッカルトはさらに妻を引き寄せ「羨ましいじゃろぉ」と惚気る。頷くラファエルが身を起こした。


「あなた、動かないでくださいな」


 叱られて、エッカルトが直立不動になる。頭の位置を直し、クラーラはまた目を閉じた。その姿に、ラファエルは大事なことを学ぶ。外でどれだけ偉ぶっても、傲慢に振る舞っても、家では奥様優先! 妻が最強を忘れない。


 この記憶はラファエルが結婚しても継続し、エッカルトと同じように老いて寄り添うまで……ずっと頭の片隅に残った。それが家庭円満の秘訣なのだと、ラファエルは折に触れて、周囲の人に話したとか。

*********************

9/10『魔王様、溺愛しすぎです!@COMIC 第2巻 (コロナ・コミックス)』2巻発売です°˖✧◝(⁰▿⁰)◜✧˖° 電子書籍版のみ! 完結なので、リリスの成長を見逃すな! 表紙のおでこリリスが目印(*´艸`*)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
  ☆ 新刊 ☆  2026年9月は3冊!!
 icon_new04_new05.gif2026/9/02・・・契約婚ですが可愛い継子を溺愛します (2) (一迅社/一迅社ノベルス) 
 icon_new04_new05.gif2026/9/07・・・要らない悪役令嬢、我が国で引き取りますわ 優秀なご令嬢方を追放だなんて愚かな真似、国を滅ぼしましてよ? (5) (竹書房/バンブーコミックス 異世界BC)
 icon_new04_new05.gif2026/9/10・・・魔王様、溺愛しすぎです!@COMIC (2) (TOブックス/コロナ・コミックス) ※電子のみ

― 新着の感想 ―
仲良し夫婦w愛妻家で家族円満! 誰かと長く寄り添い合えるって、素敵ですね!ラファエルさん、皆にこのエピソードを?w(妻最強!強妻家!)それとも、ただ愛妻家は家族円満!を?wなんにせよ、良かったです!
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。