↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
わたくしは何も存じません  作者: 綾雅(りょうが)9月は3冊!


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

306/336

306.足りない手を届かせるために

 エッカルトは、ちょうどいいタイミングで訪れた知人を受け入れた。女神アルティナの僕であり、誰よりも誠実な男だ。治外法権となっている客間へ足を踏み入れ、シュテファンは胸元のペンダントを握った。ロケットになった内側には、女神の肖像画が入っている。


 小声で女神アルティナに感謝の祈りを捧げた。


「お久しぶりにございます。シェンデル公爵閣下、公爵夫人」


 後ろのヴェルナーが挨拶をすると、エッカルトは豪快に笑って椅子を勧めた。ここでは遠慮なく、ベニートの手を借りてソファーに落ち着く。


「すでに隠居した身じゃ。そなたらと同じよ」


 知らなかった代替わりを聞き、ヴェルナーは静かに首を縦に振った。長椅子にシュテファンとヴェルナーが並び、斜め後ろにベニートが控える。シーゲル辺境領が国境を守っていた頃からの付き合いだった。


「何かございましたか?」


 呼び立てた理由を尋ねるシュテファンへ、エッカルトはにやりと笑った。


「そなたら、本懐を果たしたのであろう? ならば、わしらの手伝いをせんか?」


「手伝い、ですか?」


 シュテファンは、前半部分をあえて聞き流した。知られていても問題ない。復讐を果たした今、断罪されようと悔いはなかった。気になった部分を繰り返した枢機卿に、エッカルトは満面の笑みで持ち掛けた。


「なぁに、なんてことはない。女神アルティナ様の愛し子を守る手が足りない。頼めるじゃろうか」


 シュテファンは息を呑んだ。女神アルティナの愛し子は、エッカルト達の孫娘だ。ロイスナー公国の公女であり、簡単に会える存在ではなかった。教会に取り込んで聖女のように崇めれば、女神の意思に背くことになる。


 信仰心に篤いシュテファンは迷った。その隣で、ヴェルナーが口を開く。


「わしは何をすればよい?」


「愛し子やその家族を害そうとする者らを排除する。光が強いほど、影は暗くなるもの。そなたらも知っておろう? ゆえに、ロイスナーに骨を埋める覚悟で来てほしいのじゃ」


 命懸けになるだろう。はっきりと危険を口にした。隠してもバレる。ロイスナー公国は興きたばかりで人材が不足していた。特に表ではなく裏を担当する者がいない。アウグスト達親子も真っすぐで、裏の仕事を任せられなかった。


 エッカルトとクラーラがいくら手を尽くしても、足りないのだ。そこを埋める手伝いをしてくれ。真正面から「欲しい」と手を伸ばされ、ヴェルナーの気持ちが傾く。


「ベニート」


「旦那様にお供いたします」


 執事の迷いない一言で、ヴェルナーは覚悟を決めた。


「抜け殻でいるよりマシか。女神様に捧げるのであれば、この命差し出そう」


「愛し子様のおられる土地ならば、枢機卿が必要でしょう。私も参りましょう」


 三人の味方を得て、エッカルトとクラーラは「ありがとう」と素直に頭を下げた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
  ☆ 新刊 ☆  2026年9月は3冊!!
 icon_new04_new05.gif2026/9/02・・・契約婚ですが可愛い継子を溺愛します (2) (一迅社/一迅社ノベルス) 
 icon_new04_new05.gif2026/9/07・・・要らない悪役令嬢、我が国で引き取りますわ 優秀なご令嬢方を追放だなんて愚かな真似、国を滅ぼしましてよ? (5) (竹書房/バンブーコミックス 異世界BC)
 icon_new04_new05.gif2026/9/10・・・魔王様、溺愛しすぎです!@COMIC (2) (TOブックス/コロナ・コミックス) ※電子のみ

― 新着の感想 ―
 ここで合流とは……。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。