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わたくしは何も存じません  作者: 綾雅(りょうが)要らない悪役令嬢をよろしく


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156.明暗を分ける招待状

 お茶会はすぐに準備された。開催はシェンデル公爵家、この街に拠点がなくともお茶会の準備に滞りはない。すぐにお抱え商人が駆け付けた。一部の品の準備をリーム男爵家に振り分ける。これにより、リーム男爵家がシェンデル公爵家の庇護下にあると示すことができた。


 情報を持ち込んだ商人から、参加できる貴族のリストを受け取る。歌劇後の晩餐で店にいた貴族、この街に根を下ろす貴族、そして今回の当事者が招待された。オルフ侯爵家、ドナート伯爵家、ピータック子爵家、ザイダル男爵未亡人は外される。


「楽しいお茶会にしましょうね」


 クラーラの楽しそうな声に、ソフィーとガブリエルは顔を見合わせて笑った。購入したばかりの服からソフィーのドレスを選ぶ。柔らかいピンクに銀刺繍が映えるドレスを選んだ。昼のお茶会は柔らかな色が選ばれる。原色よりパステルカラー、曖昧で明るい色を選ぶのが作法だった。


「私もピンク、でも白に近いのよ」


 ガブリエルは白に近いサクラ色のワンピースを当てて、くるりと回る。ソフィーとお揃いにすると言って、ピンクの服を引っ張りだした。濃色のピンクはあったのだが、お茶会となると色が強すぎる。そのため白いほうを選んだ。袖や襟、裾に金刺繍が入っている。


「あらあら、私は何にしようかしらね」


 衣装箱を前に考え込むクラーラを横から覗き込み、二人は「あれがいい」「これもいい」と盛り上がった。最終的に、モーブピンクに落ち着く。やや曇った暗い色ながら、ピンク系だった。濃色のピンクをショールにして羽織る。


 選んだ服に合わせて、真珠の飾りを引っ張り出した。全員お揃いがいいとガブリエルが求めたため、シンプルな一連の首飾りで統一される。その間にお茶会の会場が押さえられ、お茶や菓子の手配が行われた。


 招待状が各家に届き、招待された貴族女性が浮き立つ。公爵家主催のお茶会は、めったに参加できる場ではない。ドレスの色を選び、宝飾品や化粧を決めた。


「お母様、やっぱり新しいドレスが欲しいわ」


「そうね……お父様にお願いしてみましょうか」


 リーム男爵家でも、ドレス選びに沸き立っていた。侍女達の進言で、水色が選ばれる。招待状とは別に、クラーラから手紙が届いていた。ピンク以外の色で……の情報に従い、髪色が映える水色を選んだのだ。アクセサリーは反対色のオレンジ瑪瑙となった。


 三日後と忙しい開催連絡ながら、参加の辞退は一件もなかった。呼ばれなかった家以外は、すべて参加する。クラーラはお抱え商人を呼び寄せ、こそこそと耳打ちした。頷いた商人が情報を流し始める。


 愚か者には、徹底して反省してもらわなければならない。馬車を停めた非礼を、クラーラはまだ許していなかった。甘く対応すれば、社交界の秩序が崩れる。筆頭公爵家の夫人の矜持が、愚かな振る舞いを認めなかった。

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― 新着の感想 ―
いそいそと、小人もきらびやかな金色の服を選びました。 猫作者さんには金色の小判柄リボンを付けます。
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