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第7話 力を得た元冒険者

 その日の夜。シオンのパーティを追放されたアクセルは、新たに借りた部屋の片隅で1人で椅子に座っていた。


 追放された後、言われたとおりに荷物をまとめて宿を出て、新たに別の宿を借りた。そして、そのまま借りた部屋に引きこもったのである。

 シオン達はその言葉通りアクセルの取り分の金品を渡しており、当面生活するのに困る事はない。だから、外で食事を採ることも憂さ晴らしに酒を飲む事などもできる。

 しかし、アクセルはそんな気になれなかった。


(畜生、何なんだ、偉そうに説教を垂れやがって、確かに俺より強いだろうよ。だが、それだけだ。それだけの違いだ。あいつの方が俺より偉いわけじゃあない。

 強ければ、あの時敵を倒せていたし、怖くなる事もなかった。何の問題もなかった。

 クリスタもクリスタだ。あんな男に靡きやがって。理屈をこねていたが、要するに俺より強い男を選んだってことだろう。

 俺だって、強ければ、強ければこんな事にはならなかった)


 そんな事を悶々と考えていたアクセルの脳裏に、直接語りかかる者があった。


⦅汝、力を欲するか? 全てを得る為の、力を⦆


「な、何だ!?」


 アクセルは思わず声を上げた。その声が普通に聞こえたものではなく、脳裏に直接響くものだということは分かる。そんな経験は今までになかった。

 そして、“声”はアクセルの問いに応えた。


⦅我の名は、アーリファ。汝らが暗黒神と崇めるものなり⦆


「暗黒神アーリファ、だと、そんな、馬鹿な」


⦅汝、畏れよ。汝は今、神託を得ているのだ⦆


(神託? そんな、嘘だ)


⦅偽りにあらず⦆


 “声”はアクセルが心中で思った事にも答えてくる。心を読まれているのだ。そもそも、声もなく脳裏に直接話しかけている時点で尋常ではない。少なくとも相手が超常的な存在である事は間違いない。

 “声”は更に続ける。


⦅強さを求める汝の訴えは、我が下に届いた。汝が望むなら、我、汝に強さを授けん⦆


 すると、アクセルの脳裏に、強くなれば実現できるだろう情景が、次々と浮かぶ。

 まずは、あのいけ好かないシオンよりも強くなれれば、見返す事ができる。シオンを落ちぶらせて、「ざまぁ見ろ」という目にあわせてやる事が出来る。

 多くの敵を薙ぎ払い、強敵も屠り、無双の活躍が出来る。そうなれば、多くの者に褒め称えられ、貴族や王族の知遇も得て、大金が幾らでも手に入る。クリスタも自分の下に返ってくる。

 他の女たちも自分を放っておかないだろう。数多の美女が、向こうからやって来て、進んで愛人になる事を望むかもしれない。


 そんな、栄光の未来を手にする事が出来るのだ。強くなれば、力を得れば。そんな思いがアクセルの心と頭脳を満たす。

 アクセルは、冷静になろうと努めた。だが、冷静に考えようと思えば思うほど、彼の心は甘美な未来を思い描いてしまう。

 その想像は、余りにも魅力的だった。正常な判断力を乱してしまうほどに。

 アクセルは、心中で問いを発した。

 

(本当に、強くなれるのか)


⦅無論⦆


(どうすれいい、どうすれば、強くなれる?)


⦅我を受け入れよ。それだけで、我は汝に力を授け、汝は強者となる。圧倒的な強者に⦆


(他の条件は?)


⦅我を敬え。我が信徒となるのだ。そして他の者を信徒に誘え。我が信徒が増える事が我が望み成り⦆


(そ、それだけで、か? それだけで、本当に強くなれるのか?)


⦅我を疑うならば、それも構わぬ。汝の下より去るのみ。我が恩寵を拒んだ事を永遠に悔いながら、生きよ⦆


(待ってくれ。分かった。受け入れる。暗黒神アーリファよ。あなたを受け入れる。俺は今からあなたの信徒だ)


⦅よかろう。ならば、力は汝のものだ⦆


 その言葉と共に、アクセルは自分の中に何かが入り込んで来るのを感じた。そして、アクセルはその身に力を宿した。

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