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第25話 隠していた能力

 シオン達3人は広間の探索を開始する。

 まず目につくのは、広間の奥にある台座だ。台座の近くには、何やら意匠を凝らした小箱も転がっている。

 3人は最初に揃って台座の近くまで進んだ。


「本来は、ここに何か重要な物が置かれていたのだろうな」


 そう告げながら、“治療師”が台座とその周辺を調べる。


「俺は、ゴーレムを調べているぜ」


 ゼインはそう告げて、実際にアイアン・ゴーレムの残骸の方へ向かった。

 シオンは、その場に残って“治療師”に声をかける。


「先ほどはありがとうございました。私とゼインを助けていただいて。しかし、あの薬はどういうものなのですか? あの状態から回復するなど、普通の薬とは思えないのですが?」


 シオンはその事が気になっていた。

 実際、あの状態から瞬く間に全回復させる回復薬など聞いたこともなかった。

 先ほど取り乱したのは、もうゼインが助からないと思っていたからだ。ゼインの言葉も、自分は死ぬと確信したからこそのものだろう。 


 そんな状態から回復するためには、最上位の神聖術師だけが行使できる“完全回復”の神聖術が必要だろう。だが、“治療師”は何の呪文も唱えてはいなかったのだから、当然神聖術の効果ではない。とするならば、相当特殊で貴重な薬が使われたのだろう。

 シオンはそう判断していた。彼の知識と想像力の範囲内では、そうとしか判断はできなかった。


「確かに、特別な薬を使った。事前にそなたらには教えていなかった秘密の薬だ。だが、そういった切り札になるようなものは隠し持っておくべきだ。

 そなたもそうだろう? 精霊剣士殿。そなたも、己の能力を隠していたな。

 先ほどケルベロスを倒した最後の攻防。そなた、あの時に自己治癒の錬生術を使ったな。錬生術の奥義に至っていたというわけだ。そして、その事を隠していた。違うか?」


 錬生術は、マナを消費する事で身体能力を上昇させるなどの効果を得る術である。だが、そういった基本的なものの他に、余り知られていない奥義と呼ばれるものが存在している。

 その奥義の一つが“自己治癒”であり、シオンはその術を修めていた。しかも、ただ修めるだけではなく、自己流に改良している。


 そしてそれを、奥の手の一つとして、仲間たちにすら隠していた。

 先ほどケルベロスとの相討ちを免れたのは、この自己治癒をタイミング良く使ったからだ。その事を“治療師”は見抜いていたのである。

 今更誤魔化せない。そう思ったシオンは素直に答えた。


「……ええ、そうです。確かに私は錬生の奥義に至っています。そしてそれを隠していた。すみません。自分の事を棚にあげて、無用な詮索をしてしまいました。

 しかし、そんな貴重な薬を使っていただいて良かったのですか? 多少であれば、対価をお支払いする事も出来ますが」


「暗黒神を騙るデーモンをどうにかするまでは協力する約束だっただろう? 対価など要らぬよ。それよりも探索を――」


「おい、何かあるぞ」


 ゼインがそんな声を上げた。アイアン・ゴーレムの近くで、気になる物を見つけたらしい。

 シオンと“治療師”がゼインの近くへ動く。


 “治療師”が持つ魔法の光源が近づいたことで、それをよりはっきりと見ることが出来た。


「これは、貝殻?」


 シオンがそうつぶやく。

 確かにそれは貝殻に見えた。掌ほどの大きさの、紫色の二枚貝だ。こんな場所に貝殻があるのは相当不自然だ。


「紫貝の封具か、これが当たりだな」


 “治療師”がそう告げる。

 シオンが問い返した。


「何ですか、それは」


「何かを封印する為の魔道具の一種だ。古代魔法帝国時代に貝殻の形をした封印具を作る一門があったのだ。その作品の中でも、紫貝の封具と呼ばれるものは、特定の一個体を封印するために専門化されて作られる。

 そして、色々と特殊効果を付与できる。恐らく、これでデーモンを封印していたのだろう」


 そういうと、“治療師”は慎重に紫貝の封具を拾い上げ、左の手の平に乗せて、じっくりと調べ始めた。そして、その表面に指先で何らかの文字書く。それは、古代魔法帝国時代の魔道具を起動させる基礎的な操作だ。

 少し間をおいて、紫貝の封具が仄かな光を発する。


 しばらくして、“治療師”が告げた。


「なるほど、な。色々と合点がいった」


 そして、シオンとゼインに向かって語り始める。


「今、この封具から情報が得られた。そういう機能が付与されていたのだ。そなたらにも説明してやろう」

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