雨が降っている理由は
放課後。帰りのHRが終わると、水樹の元へ祐奈、そして和が飛んできた。
「やっほー水樹」
「あ、蒼井さん!何点だった!?」
「……はぁ、来ると思いましたよ、どうせなら休み時間に来てほしいものですぅ」
「和くんったら照れちゃったんだよー」
「や、やめてくれ」
和が慌てて誤魔化すのを見て水樹は少し微笑んだ。
「じゃあ言うですぅ。ワタシはズバリ、満点ですぅ!」
「……やっぱりそうか。僕は一問間違えただけなんだけどな……」
「一問差ですぅ。ま、良いほうじゃないんですかぁ」
「思うんだけど、僕が満点取ったとしても同率になるだけじゃないか……」
「あ、分かっちゃいましたぁ?ワタシが一年に一回あるかないかの凡ミスの時に和が満点取るしか勝ち目はないってことですぅー」
「……一年に一回あるかないかってすご……」
勝ち気に笑う水樹と脱力しながらも楽しそうに笑っている和。
その二人を見て祐奈は面白そうに笑い出す。。
「二人ともおかしー。小テストごときに争うなんてさーしかも相手が満点おばけの水樹だよ?和くん大丈夫?」
「だ、大丈夫」
「大丈夫じゃないですぅ、ワタシに勝てる訳ありませんよ」
「……一年に一回の時狙ってでも勝つ」
「おっかしー。和くん頑張れ。水樹も手加減してあげなー」
祐奈の笑い声につられて、水樹と和も大声で笑ってしまった。
楽しそうに、仲良く。
前までの水樹の突っぱねさが嘘のように。
「じゃあ帰ろうよ、親睦が深まったとこでさ」
一通り笑い終わったところで、祐奈が水樹と和を誘導する。
今日は珍しい三人のメンツで帰るのだろう。
「まだ雨降ってやがるですぅ」
「蒼井さんは雨、嫌い?」
玄関から出ると、雨が降っていたので水樹はお気に入りの傘をさした。
「嫌いではないですぅ。自分の好きな傘も使えるから、いいですけど……」
言い淀んだ水樹へ、祐奈が疑問を口にした。
「ねえ、今日天気予報、晴れじゃなかった?降水確率も低かったんだけど。でも朝から雨降ってたよねー」
「……そこですよ、まったく天気予報とやらはいい加減ですぅ」
「前もさ、曇のち雨って感じのちょっとしか雨降りませんよーっていう予報がバリバリ大雨で雷鳴ってたときあったよね?」
「あったですぅ。最近雷の頻度多いですぅ」
「そうだよね。僕なんかそれで何度ずぶ濡れになったことか」
「それは災難ですぅー」
そんな他愛のない会話をしながら歩みを進めていた時。
急にピカッと空に稲妻が走り、ゴロゴロ……と不気味な音を鳴らし始めた。
「あー来たですぅ。この後ザーッて大雨になるんですかね……」
「嫌な予感するよねーこれは早めに帰るのが得策だよ!」
「僕の家は遠いからそこまで逃げ切れるかな……」
祐奈と和が冗談交じりに話しているのに対し、水樹はどことなく真剣な顔をしていた。
「蒼井さん、どうした?」
「……二人とも、離れた方がいいですぅ」
「え!?」
戸惑う二人に構わず水樹は片手を伸ばした。
「出て来やがれです……雲龍怪人」
水樹の呼び声と共に、ザーッと大雨が降り注ぎ始める。
それに対抗して水樹の手に水球が集う。
「水樹──!」
「蒼井さん──!?」
「二人とも離れて!」
水樹の必死に叫びに応じて、何が何だか分からないまま二人は水樹から一旦離れる。
その瞬間、水樹の目の前に大蛇のようなおぞましい巨体が空から落ちてきた。
「あんたですかあー雨を降らせていたのは」
『そうよ、わたくしが降らせて差し上げたのよ』
直接頭に響くような不気味な金切り声を上げて大蛇は水樹を睨みつけた。
「喋れるんですぅ?まあ、いいですけど。雲龍怪人、前回の決着を付けてあげるですぅ!」
『前は貴方達5人に負けかけて逃げただけ。貴方一人なら怖くも何ともない』
「よく言うですよ、なら正々堂々勝負しましょうかッ!」
気づけば豪雨が傘から侵入して激しく水樹たちの体を打ち付けていた。
そんなのは気に留めず、水樹は深呼吸すると不敵に笑った。





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