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第25話 今日から僕は『教祖サマ』

第24話で急に主人公の呼び名が『教祖サマ』になったので、その経緯を語りつつ、『プロジェクト・ニルヴァーナ』の全貌も一緒に語ろうと思います!

時系列的には、第22話の次の日です。

「『プロジェクト・ニルヴァーナ』。

 その全貌が、こちらになります!」


——ベベん!


 僕は1枚の大きな画用紙を広げた。

 目の前に座る、儺流《なる》ちゃん、赤洛《しゃらく》、菊千代ちゃんの3人に向けて。


 これは、事前に徹夜で書いてきたのだ。


 計画の全貌はちゃんとまとめておかないと。

 途中でブレてしまうかもしれないからね。


 昨日の夜、あれもしたい、これもしたいと考えていたら、いつの間にか夜が明けていた。


 うん、今、けっこう寝不足。

 目がバキバキになっている自覚がある。


「字が小さくて……読めんのじゃけど?」


 赤洛《しゃらく》が、顔を近づけて目を細める。


 画用紙にびっしりと書き込まれた文字は、まるで『詐欺サイトの一番下にある、虫眼鏡じゃないと読めない利用規約』のような小ささだった。


 気合を入れて詰め込みすぎたらしい。

 ……また後で書き直さねば。


「コホン、えー。

 それでは口頭で説明させていただきます!

 まずは計画のビジョンから!」


 僕はビシッと指を突き出して、語り始めた。


 ☆ビジョン(最終目標)☆

『善良な妖怪と人間の生存権の確立。

 および、理不尽な現状の完全粉砕』


「簡単に説明すると。現状、この世界は『強者こそ正義のディストピア』なので、ぶっ壊して作り直そうぜ!っていうお話です」


 ☆ミッション(行動方針)☆

『悪しきを祓い、善きを救う。

 我ら、地獄より来たりし影の救済者なり』


「簡単に説明すると。弱者をいじめる邪悪なやつは倒し、不当に迫害されている善良な者は保護する!

 その時に、僕たちの存在が公のものにならないよう、影のように暗躍しよう!というお話です」


 ☆短期計画(現在〜1年以内)☆

『拠点の完全自給自足化と、教団の戦力強化』


「まずは、教団の中枢となる拠点を完成させます。

 そのために、4つのタスクを用意しました」


1.インフラ整備と食料の完全自立

 農場の開拓を急ぎ、食糧問題をクリアする。

 また、インフラを整備して地獄を住み良くする。

 特に、クーラーを設置したい。

 マジで地獄、暑すぎ。


2.教団の財源確保

 お金がありません(切実)。

 現在の軍資金は、僕のヘソクリ5000円のみ。

 何をするにも金がひつようです。

 世知辛い。


3.教団員のレベリングと武装強化

 弱者を救うため、そして仲間を守るためには『力』が必要です。

 そのためには、修行あるのみ!

 目標は、教団員みんなが『範馬○次郎』と互角に戦えるくらい強くなること!


4.現世のパトロール

 悪者を倒しつつ、新しい仲間を探す。

 これは危険なので、基本的には僕が担当します!

 というか、僕がやりたいです!


「中期計画などもすでに定めていますが、

 それについてはまた後日!

 とりあえずこの話を聞いて、

 何か質問はありますか?」


「では、妾から」


 儺流《なる》ちゃんが、ひょいと手を挙げた。


「とりあえず、今後の方針についてはわかった。

 で、教団の名前とかは決まっとるのかぇ?」


——ハッ!


「……すっかり忘れていました」


 僕は愕然《がくぜん》とした。


 まさか、教団名を考えるのを忘れるなんて。

 一番大事なことじゃん。


「ちょっと待ってくださいね。

 5秒で考えます」


——ポク、ポク、ポク、ポク、チーン。


「決まりました!

 我らが教団の名前は、ズバリ——。

 『百鬼弥教《ひゃっきやきょう》』です!」


 百鬼弥教《ひゃっきやきょう》。

 つまり、『百鬼あまねく教団』。

 妖怪がたくさんいる教団、という意味である。


 これからどんどん妖怪を仲間にしていく予定なので、ぴったりの名前である。


 ちなみに、『百鬼夜行《ひゃっきやこう》』とかけている。


 我ながら、天才的なネーミングセンス。


 え、いいよね?

 かっこいいよね?


「5秒で考えたにしては……悪くないかのぅ」


 儺流《なる》ちゃんが、微妙な顔でうなずく。


 赤洛《しゃらく》と菊千代ちゃんも、首をかしげながらも一応はうなずいてくれた。


 うん、ぜったい良いと思ってないじゃん。

 まぁ、いいけどね!(泣


「ちなみに、教団の神様は儺流《なる》ちゃんにお願いします!」


 教団を名乗る以上、

 信じる『神様』は必要不可欠だ。


 であればもちろん、いつもお世話になっている儺流《なる》ちゃんしかいない。


「ふむ、妾《わらわ》としても、それは嬉しい提案じゃ。

 信仰を集めるほど、妾の力も増すからのぅ」


「へ〜、そういうものなんですか?」


「うむ。われわれ神は、信者から少しずつ霊力をくすねることで力を得るんじゃよ」


 そうなの、知らなかった。

 というか、くすねるって。

 言い方よ。


「それじゃあ——」


 赤洛《しゃらく》が、腕を組んでニヤリと笑う。


「教祖様はボウズってことになるんじゃろ?」


「教祖……ですか。

 なんだか、ちょっと恥ずかしいですね」


「いや、おどれ、もっと恥ずかしいこと普段から色々やっとるやろがい」


 赤洛《しゃらく》の鋭いツッコミが刺さる。


 そんなはずない。


 僕はいたって健全な紳士なはずだ。

 名誉毀損もいいとこだぞ。


「まぁ、仕方がないでしょう。

 教団を立ち上げるのはこの僕ですからね。

 よし、今日から僕を『教祖様』と崇めるように!」


 僕はビシッとポーズを決めた。


 そんなわけで、

 僕は今日から『教祖様』になったのである。

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