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怪盗レイナ  作者: あさねこ
怪盗レイナの海賊伝説
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真夏、砂浜、青い空!

 青い空、白い雲、青い海、白い砂浜。……容赦ない日差しが地表を焦がし、砂浜なんて火傷しそうでまともに歩けない。パラソルの下で寝転んでいても暑苦しくてたまらない。元気に遊んでる奴等が信じられないね。

 全ては奏那(かなた)のせいだ。沖縄に映画の撮影に行くとか言い出さなければ。


 話は一週間ほど前に遡る。

 7月も終わるという頃合いで、いよいよ夏も本番という感じ。レイナの衣装は我ながらよくできているもので、夏は涼しく、冬は暖かくなるよう設計されている。だが、暑いもんは暑い。一応、プロフェッショナルとしての誇りを持って暑い中でも頑張って怪盗活動に励んでいるが、アジトに戻る時には汗でビショビショだ。ブーツをひっくり返すと、中に溜まった信じられない量の汗が零れ落ちる。

 楓からも「暑いから仕事を増やすな」と言われる始末である。そりゃあ私だって、涼しい部屋の中でゆったり過ごしたいものである。だが、せっかく知名度が上がってきたところなのだ。暑くて動きたくないのよりも、ここでちゃんと動いて名前を売っておきたいという気持ちがギリギリ勝っている。

 先日の一件から変わったのは、レイナの知名度が上がったことだけではない。千佳とは毎日のように会うようになっていた。アフタヌーンティーという名目である。私としては、涼しい部屋の中で美味しいお菓子を食べられるから良いことしかない。

 お茶会のメンツはだいたい決まっている。私と千佳と、楓と深蘭(シェンラン)。都合がつけば奏那も来る。最近は芸能活動が忙しくてなかなかスケジュールを開けられないみたいだが。

 夏休みに入ってからは、三宅くんも連れてくるようになった。千佳とは同い年だから、ちょうどいいと思ったのだ。外から見ている分にはよく分からないが、悪い雰囲気じゃなさそうだ。三宅くんはどこに行っても大人しいタイプで、千佳は内弁慶。少なくとも室内でのお茶会では、凸凹がうまく嚙み合っているように思える。

 そんなお茶会でのことだった。珍しく奏那のスケジュールが空いたので、その日はみんな集まっていた。私と、楓と、千佳、深蘭、奏那。あとは隅っこの方に追いやられて暇そうに立ってる朔弥(さくや)、ボディーガードみたいに入口のあたりに立ってる八十夜(やそや)双谷(そうや)さん。

 奏那が最近忙しいという話をしていたら、ポロっと口を零したのだ。

「本当、ずっとスケジュール埋まっちゃっててさあ。ああ、でも今度の沖縄での撮影中はわりとゆっくりできそうで……。あ、ヤバ」

 普通に秘密保持契約とかに違反していると思う。後ろであくびしていた朔弥が、急に驚いて慌てていた。朔弥は奏那のマネージャーもやっているので、相当肝が冷えたことと思う。

「あー、今のナシ!えっと……。とにかく、ごめんね!最近顔出せなくて……。へへ」

 深蘭は無視してクッキーを口に運んでいて、楓は紅茶を飲みながら苦笑い。三宅くんはチラチラと周りを見回していて、しかし、千佳の一言。

「沖縄!いいわね、私も行きたいわ!」

 と、このような顛末である。それからの話はとんとん拍子に進んだ。如何せん、千佳にはお金があって、あとはやりたいという気持ちさえあれば、大抵のことを実行に移せる力があった。そうであったばかりに、気付けば私は沖縄の地に立っていた。


 そういうわけで、千佳、朔弥、深蘭、それから三宅くんと、沖縄にバカンスというわけだ。残念ながら、楓は沖縄には来られていない。これまでの楓はさんざん自由奔放に動き回っていたように思うが、基本的に警察官にはそんなに自由はない。血の涙を流して「私の分まで楽しんでね」と託して東京に残った。

 千佳は三宅くんと一緒に砂浜でお城とか作っていて、深蘭はその近くで保護者している。朔弥はというと、たぶん千佳にやられたのだろう、寝転んでいるところを砂に埋められて顔だけ出ている。起きて驚くアイツの顔が楽しみだ。

「お待たせー」

 言いながら、寝転んでいる私の顔が覗き込まれる。奏那がようやく合流したのだった。パステルカラーの水着に白い肌が眩しい。

「ずっとパラソルの下?全然濡れてないじゃない」

「別にいいよ、私はこのままで。っつか、千佳たちも全然海に入らないで砂遊びしてるだけだし。泳ぎたければ一人で泳いでればいいよ」

 奏那は、千佳たちと私の顔を見比べて、それから寝転んでいる私の横に腰を下ろす。

「楓さんが来れないから寂しいって?」

「そんなことないし」

 即答した。……ちょっとこれじゃあマジすぎるな。本当にそうじゃないから。マジで。

「いいこと教えてあげるんだけどさ」

「……何よ」

「ここの南の方に無人島があるんだけど。これは聞いた話なんだけどね。……海賊のお宝が眠ってる、とかなんとか」

 私は上半身を起こす。別に、海賊なんかキョーミナイけどね。

「何それ。どこ情報?」

「地元の人から撮影中に聞いてさ。嘘じゃないよ。その辺の人に聞けばわかると思う」

「ふーん。……それで?」

「さあね。……こないだは、怪盗レイナを追いかけて北海道まで行ったんだよね、楓さん。日本の北の果てまで。あとは何も言わないよ」

「まあ……考えとくよ」

夏!海!ちょっと執筆が遅れて現実には夏は終わりつつあるようですが、レイナたちの夏はこれから始まるところのようですね。

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