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怪盗レイナ  作者: あさねこ
怪盗レイナと美術館の秘密
6/10

天才に努力は要らない

 都内某所、とあるビルの地下。怪盗レイナのアジトである。今の私は怪盗レイナ。岬玲奈?ソンナヒト、シラナイヨ。

 パソコンのモニターにだけ照らされた暗い部屋で、ソファの上で大きなピンクダイヤを眺めていた。先日、とある美術館から盗み出すことに成功したものである。それは良いのだけど、本題じゃあない。

 一つだけ、しっくりこないことがあったのだ。あの美術館は、あまりにも警備が手薄だった。特に、トイレに侵入するまでの経路は酷い有様だった。素人目には分からなさそうなものだったが、監視カメラは死角だらけ、警備員の目を遮るように展示物が並んでいる。

 それだから、私もトイレを通るルートを作戦に組み込んだのだけれど。改めて考えてみて、やっぱり違和感が拭えなかった。あとは、トイレから出てきた樫本楓。警察を呼んだのは、多分あの美術館のハゲ館長だろう。

 美術館では、トイレットペーパーが連続して盗難に遭っていたらしい。それの犯人がどこのコソ泥かは知らないけど、そんなのが入り込むのも当たり前だ。あんなザル警備、少し勉強した素人でも簡単に出入りできる。本当に、素人の練習って感じの警備の薄さだ。実際のところの素人が、どういうふうに訓練するものかは知らないけど。

 怪盗レイナは天才だから、訓練なんか必要なかったのだ。ちょっとだけ、筋トレとかしただけ。……あとは、警備員のバイトとかして現場の様子を勉強したり……あとは……。とにかく、私にはショボいコソ泥なんかで練習する必要はなかったのだ。正真正銘、ピンクダイヤが私のデビュー戦である。その割に、あまり派手なことはできなかったけど。

 それもこれも、あの予告状を捨てやがったハゲ館長が悪いのだ。私は確かに、館長の机の上に置いたんだから。まあ、どうだか分からないか。あの後、館長が予告状を見つける前に誰かが先に見つけて処理してしまった可能性だってある。にしたって、机の上に置いてある犯人不明の置手紙を勝手に捨てるのはおかしなものだ。犯罪者に加担する気でもあるのだろうか。

 どちらにせよ、今の私が考えていることは一つ。

「リベンジ、かな」

 ピンクダイヤは、あまりにも簡単すぎた。流石に、もう少し歯ごたえってもんが欲しかった。今のタイミングであれば、あの美術館だって警備を強めるだろう。そうしたら、もっと楽しめるはずだ。……それに、今度は楓と対決することだってできるし。

 今一番やりたいことは、怪盗レイナの名前を売り出すことだ。なんとかして知名度が欲しい。手ごろなのは、もう一度あの美術館にリベンジすることだろう。警備網が変わるだろうけど、一度侵入しているおかげで間取りは手に取るように分かるし。手っ取り早く怪盗レイナを活躍させることができる舞台が、そこにはある。

 そうと決まれば行動あるのみ。ピンクダイヤを軽く放り投げると、モニターの明かりがダイヤを煌めかせていた。

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