うちの子
私の部屋に住み着く人間が一人増えた。三宅樹である。
三宅くんは、両親がいないそうだ。細かいことは聞けていないからよく分からないけど、彼にもいろいろ事情があるのだろう。
それで、母方の祖父母から仕送りを受けながら一人暮らししていたらしい。それが私の部屋で生活することになったわけだけど、だいたい言い出しっぺは楓である。三宅くんもシャイな彼なりの感情表現を見ている限りは乗り気のようだったし、私もそれを拒否する理由が特になかった。広めの部屋を借りていて良かった。
それで一緒に暮らし始めて分かったことは、やっぱり三宅くんが良い子だということだ。一人暮らししてきたおかげなのか、器用に家事炊事をこなしてくれる。おかげで、楓の帰宅が遅い日でもコンビニ弁当にしなくて済む。楓の手料理も美味しいけど、三宅くんのも負けていない。私の味の好みは三宅くんのかな。ということを伝えると、三宅くんはほんのり頬を赤らめて俯く。こんなのいくら褒めても罰は当たらないのだ。
楓としても、昼夜逆転当たり前、起きて家にいてもぐうたら寝転んでいるだけの私と違って、頼りになる家事手伝いができて重宝しているようだ。おかげで皿洗いをしている横でアニメを見ている私への楓の視線が痛い。強い気持ちで怠惰な姿勢を貫きたい所存である。
三宅くんは学校へ登校、楓も出勤する。二人を見送って、アニメの続きを見るのに戻ろうとした。が、その前にインターホンが鳴る。タイミングが良いのか悪いのか。
ドアをちょっとだけ開けて外を覗いた。
「おはよう、息災かな?」
「柏木朔弥……」
「わざわざフルネームで呼ばなくても。ところでなんだが、今日は楽しく雑談している時間はないんだ。僕と一緒に来てほしい場所がある」




