怪盗の目的
私が、わざわざ高校に侵入した理由。それは。
「なんで、うちに来てくれたんですか?」
三宅くんが尋ねる。
「校長室だよ。あそこには、隠し金庫がある」
「それを狙っている、と?」
「そ、一回潜入とかやってみたかったしね」
制服のスカートをひらひらしてみせる。三宅くんは一瞬スカートの方に視線を下げて、すぐに持ち上げる。可愛い子だ。
三宅くんが案内してくれた、校舎の端の廊下の突き当たり。ここはかなり穴場であるようで、本当に人が来ない。安心して怪盗の話をできるというものだ。
「潜入できたは良いものの、転校生ってので想像していた以上に注目されちゃってさ。あまり自由に動けないまま、正体を突き止める子まで出てくる始末」
三宅くんと目を合わせると、照れたように目を逸らした。流石に、三宅くん以外に私に気付いた子が居るとは思えないけど。それでも、ボロが出るのは時間の問題だろう。
「さっさと欲しい情報を手に入れて、盗みを終わらせないとまずい」
それに、楓のこともある。この計画が終わるまでは、申し訳ないが、楓を自由にさせるわけにはいかない。行動を制限した上で幽閉しておくほかない。ずっとあのままなのは、何よりも楓が辛いと思う。
「校長先生の毎日のルーチンとか、そうでなくても、確実に校長室が空くような時間。三宅くんは何か知らない?」
問うと、少し考え込んで後、こう答えた。
「明後日のお昼、教育委員会の人が来るらしいんです」
「へえ。でも、それじゃあむしろ校長室には入りづらくなる気がするけど」
「校長先生は、来客の送迎のために部屋を空けるはずです。そのときなら……」
「なるほど。良いじゃん」
私が拳を突き出すと、三宅くんはちょっとだけ困惑してから、恥ずかしそうに拳を差し出した。グータッチ。
「だけど……その、すごく時間が短いんです。数分……。長くて10分とか。それ以上の時間は、校長室が空いているのは保証できません」
「いいの、そんなに長くなくても。万一お宝に辿り着けなくても、次のチャンスを待てばいい。今回はそれなりに長丁場になるのも覚悟してるからね。じゃないとわざわざ潜入なんかしないよ」
三宅くんは私に何か言おうとしたようだったが、しかし、口を噤む。
「そうと決まれば、具体的に計画を考えないとね。校長室の周りの構造、教えてくれる?」




