次のターゲット
白昼堂々の宝石店襲撃、銀行にて現金強奪。怪盗レイナは立て続けに事件を起こしていた。しかし、その正体は掴めず、警察はレイナに振り回され続けていた。
最近のニュース番組やワイドショーでの話題は、専ら怪盗レイナ。何せ、多くの人々がレイナに注目している。数字が取れるならなんでも動く業界である。今日もテレビの向こうでは、偉そうな顔をしたコメンテーターがそれっぽく中身のない見解を語っている。
「……あっ、テレビ消さないでよ!」
「ヘラヘラしちゃってさ。褒められてるの見て気分良くしてんじゃないのよ、怪盗レイナさん?」
「いつまで経ってもレイナを逮捕できないあんたが悪いんじゃないの?」
「因果が逆よ、そもそもレイナが居なけりゃ私だって苦労せずに済んでるんだから」
楓は、不機嫌そうにブツクサ言いながら家事の続きに戻っていく。
基本的に、警察というのは事件が起きてから動く。その性質上、後手に回る立ち回りが常の組織なのだ。そんな警察という組織の中にいることを考えると、楓はかなり頑張っている方だとは思う。
この間も、結局金庫の入り口で張っていたのは楓だけだった。だから軽く投げ飛ばしてやったのだが、その音のおかげで外でウジウジしてた人たちも集まってきてくれた。ありがたいものだ。怪盗レイナの姿を見せつけることができる。
ここ数日で、怪盗レイナの知名度はかなり上がった。ネットでもいい感じにレイナ擁護派が炎上しているし、テレビでも他に数字を取れるネタがないのかずっとレイナの話をしている。怪盗レイナの初動としては、まずまずの成果だろう。とりあえず名前を売ることはできた。
「怪盗レイナさんは、次はどこを狙うの?」
楓は洗濯物を干しながら尋ねる。いくらレイナにコテンパンにやられて落ち込んでいても、それでも家事をやってくれるので有難い。一回だけ、家事は二人で分担しようという話も出たけれど、私がボトルから直接洗剤を投入しているのを見た楓がやっぱりやめようと言い出したのだった。怖くて見ていられないと。
「答えるわけないでしょ。怪盗レイナは神出鬼没なんだから」
洗濯物をハンガーに掛ける手を止めないまま、むむむ、と頭を悩ませているようだった。考えても次のレイナの標的なんか分かるわけないよ。……え?またシャツが裏返しになってる?ごめん。
「そういえばさあ。知ってる?白河台高校のやつ」
飲んでいたコーヒーを吹き出すところだった。まさしく、怪盗レイナの次のターゲットにしようとしている場所である。たまに侮れないんだよな、こいつの勘ってやつ。
「うーん。わかんないかも」
「近いうちに校舎の改築するのが決まったんだって」
「へぇ」
「何それ、反応薄い。毎日通ってた校舎だよ?思い入れとかないの?」
「いや、別に。そんなに愛着とかないし」
「玲奈、友達少なかったもんね。ずっと私に引っ付いちゃっててさあ」
「……ッ!そんなことないし!」




