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眠り猫は抱き枕を離さない  作者: しんら
17/30

16.

短めです。

 

 お守りにしているものがある。


 首元で揺れる、桃色の鱗がそれだ。


 親指の爪くらいの大きさで、色つき硝子のようで美しい。鎖を通して、いつも身につけている。


 考え事をしている時や不安な時など、それに触れるのが癖になっているらしい。フィーに指摘されたことがある。


 フィーは爬虫類が苦手らしく、初めて鱗を見せた時には微妙な顔をしていた。わからなくはない。


 はじめは、あの子がいない寂しさを紛らわす為に持ち歩いていたのだが、身につけていると安心するので今はお守りにしている。





 そこに最近、新たな品が加わった。


 クラウドが貸してくれたジャケットだ。


 あの日、クラウドが肩にかけてくれたジャケットを、わたしはちゃっかり借りたままでいる。


 なんなら、夜な夜な抱きしめて眠ってる。


 ああ、わたしって変態だったんだな。


 鈍い鼻でも、わずかに残るクラウドの匂いを感じとれる。

 落ち着く。以前よりずっと深く眠れる。

 頭痛も遠のくし体も温まる。

 後半はただの思い込みかもしれないが、今や安定剤と化している。


 夜はそれをお守りのように抱きしめて眠りにつく。


 いくら好きな人の匂いとはいえ、自分にそんな性癖があったなんて知らなかった。


 返さなきゃいけないんだけど...返したくないな。


 洗濯に失敗したことにして代わりに新しいジャケットを贈ろうか。

 いやでも、そんなことされてるって知ったら怖いよね。気持ち悪がられるよね。


 ああ、でも、この安心感を手放せそうにない。




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