16.
短めです。
お守りにしているものがある。
首元で揺れる、桃色の鱗がそれだ。
親指の爪くらいの大きさで、色つき硝子のようで美しい。鎖を通して、いつも身につけている。
考え事をしている時や不安な時など、それに触れるのが癖になっているらしい。フィーに指摘されたことがある。
フィーは爬虫類が苦手らしく、初めて鱗を見せた時には微妙な顔をしていた。わからなくはない。
はじめは、あの子がいない寂しさを紛らわす為に持ち歩いていたのだが、身につけていると安心するので今はお守りにしている。
そこに最近、新たな品が加わった。
クラウドが貸してくれたジャケットだ。
あの日、クラウドが肩にかけてくれたジャケットを、わたしはちゃっかり借りたままでいる。
なんなら、夜な夜な抱きしめて眠ってる。
ああ、わたしって変態だったんだな。
鈍い鼻でも、わずかに残るクラウドの匂いを感じとれる。
落ち着く。以前よりずっと深く眠れる。
頭痛も遠のくし体も温まる。
後半はただの思い込みかもしれないが、今や安定剤と化している。
夜はそれをお守りのように抱きしめて眠りにつく。
いくら好きな人の匂いとはいえ、自分にそんな性癖があったなんて知らなかった。
返さなきゃいけないんだけど...返したくないな。
洗濯に失敗したことにして代わりに新しいジャケットを贈ろうか。
いやでも、そんなことされてるって知ったら怖いよね。気持ち悪がられるよね。
ああ、でも、この安心感を手放せそうにない。




