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シンパシー
巧は、彼女と自分は似ていると思った。それと同時に違っていると思った。
才能のなさに辛い思いをしてきた彼女と、耳の障害で苦しんできた自分を重ね合わせていた。どちらも、望んだわけでそうなったのではない。
ただ猫実さんが自分と違う点は、努力をやめなかったことだ。
自分の限界を決めないで、運命という理不尽に立ち向かっていたことだ。
巧は、もしかしたら、目をそらしていたのかもしれない。
どうせ聴き取れないのならないのなら、初めから聞こえないところにいればいい。そういって人を避けていた。
彼女もまた、遠ざかっていってしまうのだろうか。
せっかく友達になれそうだったのに。
そんな後悔が頭をよぎった。
変わりたい。彼女ならわかってくれるかもしれない。自分ならわかってあげられるかもしれない。この気持ちを、分かち合うことができるかもしれない。
だからもう一歩近づいてみよう。自分自身と戦っている彼女のように。それがきっとわずかな距離でも。彼女の声が自分に届くところまで。




