作業中
かりかりかりかり、、、、、
会議室には紙に鉛筆で文字を書く音が響いている。
「先輩、この書き出しどうですか?」
隣の夜桜先輩にここ一時間の作業の成果を見せる。
「ふーん、、、」
その言葉を重石にして先輩は思考の世界に沈んで行く。原稿用紙をにらむ目は鋭い。
先輩が読んでいる間私も気おつけをして待ってる。暇ではない。むしろ先輩を見てるだけで楽しい。
「ちょっとわかりにくいな」
「そうですか」まぁ、酷評には慣れてる。
「悪くはないから、後から説明をしてくれればもっとわかりやすくなると思う。」
「なるほど、ありがとうございます。」
うむ、と言って先輩が原稿用紙を私に返す。
私はそれを見つめる。
昨日も今日も、きっと次の日も小説を書いる。進歩しているかどうかはわからない。でも、書くのが楽しい。そういう気持ちがあればきっと、満足できるところまではたどり着けると思う。
創作の日々は続く。
「嗚呼、私もかゆくなってきたなあ〜」ある日キュウちゃんが嘆くように言った。
「ん、どこがですか」
「ちがーう」
「へ?」
「小説が書きたくなったってこと」
「、、、?」
どういうことだ?あ、わかった!
「なるほど!掻くと書くをかけてるんですねえ」
「また変なこと言ってる」夜桜先輩はため息をつく。
キュウちゃんの駄洒落に軽くアハ体験したところでまた作業に戻る。
「書ゆい、かあ。面白い動詞ですね。」
「おい、ネコちゃんが感心してるぞ。」
「間違っても小説には使うなよ?」夜桜先輩は心配するように聞く。
「え、ダメですか」
「ほんとに使おうと思ってたのか、、、」
「使用料もらっちゃうぞお」
「キュウ、そういう問題じゃない。思い上がり過ぎだ。」
「うふふふふ」
こんなたわいのない会話が楽しくて、笑ってしまった。
会議室でずっと好きな事をやれる。もちろんそのせいで夜は学校の宿題に追われるけど。
当たり前の、きっと日本中のどこにでもあるような夏休みだった。それが私にとっては愛おしくて宝物のような思い出だった。
こんな日々がずっと続けばいい、
いや、続けば良かったのだが。




