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クリエイト!  作者: 大塚
オールドデイズ
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35/60

次の日に図書館で会う約束をした。あの二人に夏休みも会えるなんて。私は嬉しさで膨らんだ胸を抱きしめながら眠った。次に書く小説のことを考えていたら自然とベッドの上で眠りについていた。

そして朝。なんてさわやかに起きれたことだろう。窓から差し込む光で、もう空は、さわやかな青い色をしているのがわかる。外を見ると、住宅街の灰色の海の上に広がる青い空が目に飛び込んでくる。そして地平線の方には白い巨大な雲が軽く、しかしまったく動かずにたたずんでいた。そんな雲を見ていたらあの中には何があるんだろう、という好奇心が生まれてくる。そしてあの雲があるところまで行ってみたい、とも。

どんなものよりも美しく、どんなものよりも雄大なあの雲に。

しばらくはこの美しい景色に見とれていた。小さい頃から空を見るのが好きで、今もこうして美しさに心を打たれる。空に同じ景色が現れることは、二度とない。しかし、どれも同じように美しい。それに気付けたのがマンションの高い部屋に住んでいる私の特権だ。

しばらく眺めたら朝食を食べにリビングに行く。ちゃんとお父さんがいる。ああ、夏休みだからだ。お母さんもキッチンで朝食を作っている。「おはよう」二人と挨拶を交わす。さあ、今日が始まる。

中央図書館は私の家から自転車で20分ぐらいのところにある。中学校は地元の公立校に通ってたから夜桜先輩達とこうして待ち合わせの場所として使うことができた。

眩しい陽光に目を細めながら見慣れた、そして大好きな街並みの中を軽やかに進む。本当に晴れの日はいいなあ。

図書館に着いたら着いたで、今度は緊張してきた。自分の着ている服が急に幼く見えた。黒いショートパンツに白いTシャツという極めてシンプルな格好の私…本当にこれでいいんだろうか。あの二人ファッションセンスありそうだからなあ。早速、打ちのめされそうになる。少なくとも男子ではないことが救いだ。時計を見ると、まだ待ち合わせの時間まで20分近くある。早く来たばっかりにこんな余計なことが気になってしまった。

空を仰ぐ。天頂へと突き抜けるような青色、本当に綺麗だ。次の小説の舞台も空にしようかな、この空を言葉で表現したい。いま自分が感じている期待と、さわやかな気持ち、そして少しの不安、それらを全部、紙の上に残してみたい。

「おはよーーーッ」突然、近くで呼びかけられた。声の元を見ると笑顔のキュウちゃん。

「あ、キュウちゃん先輩、おはようございます」見慣れない私服姿を新鮮に感じながら挨拶を返す。黄色いTシャツの上に青いパーカーという組み合わせがかっこいい。

「待った?」キュウちゃんの笑顔もまた眩しい。

「まあ20分ぐらい待ちましたけど…」

「そういう時は待ってない、っていうの!」

そうなのか。

「マ、マ、マッテマセンヨー」

「ぶふっ」キュウちゃんは笑う。それにつられて私も笑みがこぼれる。

「夜桜先輩はまだですか」そうたずねるとキュウちゃんは親指で背後をぐいっと指差した。

白いワンピースを着た女の人が見える。頭には小さめの麦わら帽子をかぶっていて、まるでドラマによく出でくるお嬢様のようだった。まさかあれが夜桜先輩なの?思わずキュウちゃんの顔を見返す。彼女にはいつものようにはにかむ。(あいつはああいうやつなんだよ。)という意味だ。それは夜桜先輩とキュウちゃんがお互いをよく理解している証拠だった。

「おはよう」歩いてきた夜桜先輩がパーフェクトな笑顔で私に挨拶をする。私もぎこちなく返す。こ、これはおしゃれとかっていうレベルじゃない!いまどきこんなお嬢様スタイルが許されれるのは夜桜先輩ぐらいしかいないだろう。うわあ、羨ましい。

「おし、じゃあ行くか」そんな私も含めて三人はようやく図書館の中に入っていった。先を歩く夜桜先輩のワンピースのスカートがフワリと風に揺れる。青い空を背景に、それは雲のように見えた。

行ってみたい場所。目指している場所。いつかは、辿り着くべき場所だ。

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