挑戦
いいことのほかには、もちろん嫌なこともあった。今でも私の心に重くのしかかる。忘れることはない、というのはちょと違うかな。
「なあ、ネコ。」いつも通りの日だった。創作活動同好会の部室で私は本を読んでいると夜桜先輩が声をかけてきた。
「このコンクール応募してみない?」
となりに座っている先輩が首を傾げてこちらをみる。うっすらとたたえた微笑み。白い手には『中学小説コンクール』とあるチラシがぶら下がっていた。
小説を書く楽しさを知っていた私は飛びつかないわけにはいかなかった。
「やります!」応募要項も見ずに即答。
「元気いいなあ」背中でキュウちゃんがはやす声が聞こえる。
夜桜先輩はうふふと笑ってそのチラシを私にくれた。
「だとしたら、ネコとはライバルということになるな」
「あ、そういうことになりますね」
「師弟対決か、アツイな」キュウちゃんはパソコンに向き合いながらも話に入ってくる。
「頑張ります」私はできる限りいいものを書くつもりだ。
「そうじゃないと困る」夜桜先輩は自信ありげに微笑む。
「夜桜は前に一回もらってなかったか?」
「ああ、あれは優秀作でな、最優秀賞じゃない」夜桜先輩は拳を握ってふつふつと闘志をみなぎらせている。
「でも、すごいですね。優秀賞でも」
「褒めてもなんにもでないぞ」
そう答える先輩はやっぱり嬉しそうだったけども。しかし、夜桜先輩でも優勝出来ない、という事実がズドンと目の前に立ちはだかる。私の中でのナンバーワンは夜桜先輩だったからそれは、世界の広さを私にとって思い知らせた。入賞は難しいかもしれない、でも描くたびに文が良くなっていくのはわかっていた。コンクールに参加することで何がつかめるかもしれない。
とにかく自分にできる努力をするだけだ。




