第四章 戦争編 ⑩ 同刻 クレッサール・ヘムガール国境地帯(2)
一日でも早くと思いとりあえず投稿致しますが、現在インフルエンザの高熱で頭が茹で上がってしまっているためいつにも増して誤字脱字や文章表現のおかしいところが見られるかもしれません。
もしおかしなところがありましたらご報告いただければ速やかに訂正いたします。
亀更新な上ご迷惑をおかけして誠に申し訳ございません。
◆◆◆
まるで天空を割らんばかりの速度で落ちてくる流星は、まるでガレスたちを目掛けているかのように炎を噴き上げ一直線にこちらへ向けて突き進んでくる。
「う、うわああぁぁぁぁぁっ」
たった今までガレスと切り結んでいた敵兵が、敵前であるにもかかわらず顔に恐怖を張り付けたままその場に無様に尻餅をつき、無防備な姿でズリズリと後じさっていく。
「に、逃げろっ!」
そう誰かが叫び、皆が弾かれたように走り出すが、そもそも互いの速度が違いすぎる。
いくら泡食って逃げたところで天からの脅威から逃れることなど出来ようはずもない。
瞬く間にも大きくはっきりと見えてくる形を持った死の姿。
逃れえぬ己の運命を恨むようにガレスは剣を握る腕に力を込めた。
「……くっ!」
思わず唇を噛み締める。
剣を持つ敵ならば切り捨てることが出来る。しかしあのような人知を越えたモノに一体何が出来るというのか。
もはや己の運命を甘んじて受け入れるほかない――。
そう心の中で諦めかけた。
しかし、ガレスの悪運が強かったのか、あるいは運命の悪戯か。流星の目標はガレスのいるこの場所から僅かにずれ込み、クレッサール軍の頭上を掠めるように飛び越えてへムガール軍の中心に突き刺さるように落下した。
「爆風が来るぞ! 伏せろ!!」
ガレスの声に反応して、皆が一斉に倒れるようにして地面に飛び込む。
直後、カッと視界一面を覆う激しい光が立ち昇り、爆炎魔法を幾百も重ねがけしたような激しい大音量の爆発音が鳴り響いた。
しかし――。
「…………?」
予想された爆風がやってくる気配が一向にない。
感じられたのは、爆発前より僅かに強くなったそよ風くらいなものだった。
あの規模の爆発でこの距離まで爆風が届いて来ないというのはどう考えてもおかしい。
「一体、どうして……?」
いぶかしく思い顔を上げて確認したガレスは、その原因を発見する。
「けっ、結界…………?」
ガレスの目の前に広がっていたのは、まばゆく緑色に発光した巨大な結界魔方陣。
それも一つ二つではない。視界を覆い尽くさんばかりに数え切れないほど。
それらが並ぶのはクレッサール軍とヘムガール軍のちょうど境目。
まるで両軍を分かたんとする壁のようであり、ほぼ被害がなかったクレッサール側に対して、壁の向こう側であるヘムガール軍は落下してきた流星が陣営の中心を直撃し、爆心地を中心に少なくとも数千の命が一瞬の内に蒸発して大混乱をきたしている。
幸いクレッサール軍の中からは壁の向こう側に取り残された者はいなかったようだが、ヘムガール軍はそういうわけにはいかず、壁のこちら側に取り残されてしまった者たちは結界を隔てて完全に味方と分断されてしまって、周囲一面をクレッサール兵に囲まれて逃げ場もなく次々と討ち取られていく。
このように完全に敵味方を選別した分断。
結果から考えて、クレッサール軍に利するよう何者かの明確な意思がそこに働いていることはもはや疑いようがない。
ただ、問題なのは、その規模だ。
「ば……馬鹿な……ありえない。これほどの爆発にもびくともしないレベルの結界……。たった一つ張るだけでも宮廷魔道士100人……いや、それ以上の魔力が必要なはず。それをこれほどの数、それも同時にとなるといったいどれほどの魔力が必要なのか、もはや私では想像することすら……」
絶体絶命の危機から命を拾うことが出来たにも関わらず、指先の震えが止まらない。
結界に浮かぶ巨大な魔方陣。
これは祝福によるものではない。
明らかに、魔法によるものだ。
そしてこんな馬鹿げたレベルの魔法が使える者が一体この世に何人もいるだろうか。
恐らくは一人。そうでないとしてもせいぜい二人か三人。
そんな少人数で、神の如きこれほどの魔法を行使できるほどの存在が近くにいる。
そして、もしかしたら先ほどの流星もまた同じ者の手によるものかもしれない……。
いや、むしろそうでないと考える方が不自然だった。
しかし、この場ではそれが何よりも恐しかった。
「ガレス王子ですね? 体に異常はありませんか?」
だから、不意に背後から声をかけられて、思わず背筋に冷たいものが走ってしまう。
「誰だっ!」
声の主を確かめるために振り向いたガレスの視線の先にいたのは二人。
隻眼の青年とメイドの少女であった。
これだけの大戦の中その身に傷一つ汚れ一つない彼等は、戦場にいるのがまるで嘘であるかのような不思議な静寂さを以ってそこに存在していた。
そんな青年の怜悧な隻眼が真っ直ぐ射抜くようにガレスに向けられる。
「あ、あなたは、まさか……」
ガレスとこの青年が会うのはこれが初めてだ。それは間違いない。
しかし、ガレスはこの青年の事を知っている。父王から何度も何度も彼の話を聞かされていたからだ。
優れた容姿に隻眼の瞳。恐ろしき武威を誇るメイドの少女を引き連れ、そしてなによりも人ならざる圧倒的な魔力量をその身に纏う青年――。
そんな人物像に該当するものなど、この世に何人も存在するはずがない。
「ミナト・ヨツナシ…………」
頭の中をよぎった名前が、思わず口を突いて出る。
それを受けてか、青年はガレスに向かってニコリと微笑んだ。
「自己紹介はいらないようですね。始めまして、ガレス王子。それともお義兄さんと呼んだ方がいいですかね? 本来でしたらお茶でも飲みながらゆっくりと挨拶を交わしたいところですが、残念ながら今はそのような状況ではありません。戦場へ遅参したお詫びと言ってはなんですが、これより先は我々アンリエストとおまけがお引き受け致します。クレッサール軍の皆様は連戦続きでお疲れでしょうから後方でゆっくりと寛いでいただいて結構ですよ」
「あ、ああ。援軍感謝する」
えもいわれぬ青年の迫力に圧されてガレスは思わず頷いてしまう。
しかし、慇懃無礼とも言えるミナト・ヨツナシのその発言に素直に納得することが出来ない者もいた。
「お待ちください!」
突然そう叫んだのは、ガレスの参謀を務めるジャストン・エリガルだった。
「突然の発言。無礼とは存じますがお許し頂きたい。この行為によって処分をということであれば後ほどいかようにもお受けいたす所存でございます。ですが、どうかアンリエスト王にお聞かせ願いたい」
「どうぞ。処分を求める気など毛頭ありませんので遠慮なく仰ってみて下さい」
表情一つ変えずにすぐさまそう切り替えしてきた湊にジャストンは「うっ……」と少し気圧されたそぶりを見せたが、それでも彼は意を決したように問いを発する。
「そ、それではお聞かせ願いたいのですが、先ほど王自ら自軍が遅参したとおっしゃられました。しかしもし強力な魔法能力を持つ貴国が約定通り開戦時刻に間に合っていたならば我が軍の被害はどれほど小さくなっていたことか! 此度の遅参、一体どのような理由があってのことか納得のいく説明をお聞かせ願いたい」
「「「そうだそうだ!」」」
「この大事な時に遅れてのこのこやってきやがって!」
ジャストンに続いて次々と不満をぶちまける部下たち。
「静まれ! 誰が貴様らの発言まで許可したか! 己が分をわきまえよ愚か者がっ!」
「し、しかし……」
「くどい!」
相手はまがりなりにも同盟国の王だ。
表面上は部下たちを咎めてみせたガレス。しかし、内心は彼らと全く同じ気持ちだった。
王もしくは王の仲間が張った結界は流星の脅威が去った今もクレッサール軍とヘムガール軍とを分かつ壁として存在し続けている。
つまり、それなりに持続性がある物だということだ。
もし彼らが戦闘開始からこの場に存在していたならば、この結界を用いて両軍の間に壁を作ることで敵の動きを制限し、その中にあえて一点だけ穴を開けるといったような手法で戦闘区域を大幅に狭める戦術をとることもできたはず。
先ほどまではこの戦闘区域で同時に戦う人数が両軍ともに5万ずつであった。だから、5万の戦場を20万でローテーションしたヘムガール軍に8万でローテーションを行ったクレッサール軍は積み重なる疲労によって多大な被害を被った。
しかし、仮にこの戦場の規模が両軍で100名ずつであったならば話は変わる。分母に比して分子が極端に小さければ敵が20万でこちらが8万であろうが、疲労を回復させるローテーションを確保しながら部隊を回すことが可能になる。
まして寄せ集めの素人が主力の敵方とは異なり皆十分に訓練を積んでいるクレッサール軍の方が質という面に関してはむしろ有利。
仮に結界の持続時間がそれほど長くなかったとしても、要所要所で両軍を分断、または敵軍の前線部隊のみをこちらに引き込んで各個撃破するなどという手段で幾らでも戦闘を有利に持っていくことが出来た。
少なくとも無策に正面から数をぶつけ合うという消耗戦に打って出る必要はなかったはずなのだ。
これだけ強大な魔力を持つ湊やその部下たちが最初からこの戦場にいたならば、いや、そうでなくともあとほんの僅かでも早く駆けつけてきてくれていたならば、一体どれだけの部下の命が救えたことだろうか。
そう思うとやりきれない。
湊王に質問をぶつけたジャストンも元来それほど気が短い性質ではない。しかし味方の犠牲が増えていく中、来るはずのアンリエストからの援軍が来ない来ないと苛ついていた中での湊自らの反省の見られない遅参宣言で我慢の限界に達したとみるべきだろう。
今まで決死の覚悟と仲間の血で前線を支えてきたのは自分たちだ。
そこへ今頃になってこの戦場へやってきて、敵陣に流星が落ちて我が軍優勢になったところで「あとは自分たちにまかせて後ろへ下がれ」と言われてもはいそうですかと納得できるような者は我が軍にはいない。いる筈がない。
確かに自分たちは既にボロボロで気力体力共にもはや限界だ。前線に出たところで満足に剣が振れるとも思わない。
しかし、それでも彼らに後を任せて後ろへ下がるのは違うと思うのだ。
「さて……」
ガレス達から発せられる冷たい視線を一身に受けて、青年王はおどけたように肩をすくめて見せる。
「この場に遅参した事は紛れもない事実ですからそれについては申し訳なく思いますし、この戦場をここまで戦い抜いたのは自分たちなのだという自負と後から来た者に手柄を掠め取られたくないというあなた方の警戒心は理解できます。ですが……」
そこまで言って湊は言葉を止めると、ぞっとするような冷たい瞳でガレスを見据える。
「これから始まるのは戦闘などという名誉あるものではありません。ただ害虫を殲滅するがごとく力づくで敵を叩き潰し擦り潰す凄惨で非情なる一方的な虐殺です。その場にあなた方が参加しなかったとてそれを非難する者は誰もいませんし、失う名誉もまたありませんよ」
「そ、それは一体どういう……」
「見れば分かる……としかこの場では言いようがないですね。まだ戦争は終わっておりません。この状況で言葉を尽くして長々と説明するよりも、これから起こることをその目に焼き付けていただいた方が早いと思います。では、お話はこれで終わりで良いですか?」
「まだです! まだ話は終わっておりませぬ!」
そう叫んだのはジャストンだった。
「貴国がこの戦場に遅れた責任は一体どこへ行ったと仰るのです? その責任の所在が曖昧なまま話を終わらせることは出来ませぬ!」
「責任? 責任とは何の事です?」
「ですから貴国が開戦に間に合わなかったことに対する……」
「おっしゃっている意味がよく分かりませんね」
「なんですと?!」
怒気を孕んだ視線で睨みつけるジャストンをつまらないものを見るように一瞥し、湊は話を続ける。
「責任責任とおっしゃいますが、そもそもこの戦争はどことどことの間のものですか? あなた方クレッサール王国とヘムガール帝国との間のものですよね? 約定によるものとはいえ我々アンリエストはあくまでも善意で援軍を出したに過ぎません。それも、同時に自軍の3倍の規模で攻め入るトンガール軍の攻撃を受けながらです。それを遅れたとはいえ手遅れの状態で駆け付けたという訳でもなく、貴国の窮地を救うために数に限りのある貴重なミサイルを使ってヘムガール軍に大打撃を与え、その上爆発による爆風から身を守る結界まで張って差し上げてなお責任をこちらに求められるとは……。というか、そもそもの焦点である遅参の原因からして我々に非があることではありませんし、我々に瑕疵がないことで責任の所在を問われても正直論外としか言い表しようがない……というのが私の返答です」
「論外……ですと?」
「ですから、そのように言っています」
「ふざけないでいただきたい! 我々の部下が、仲間がどれだけ死んだと思っているのですか! その事実を前に貴方様はそのような馬鹿げた言い逃れが通るとでも思っておられるのか!」
「お待ちください!」
怒りに任せて湊に詰め寄ろうとするジャストンを制するように、傍に控えていたメイドの少女が二人の間に割り入った。
「メイド風情が、出しゃばるなっ」
邪魔者を脇へ押しのけようと彼女へ伸ばされたジャストンの腕――。
しかし、次の瞬間、ドスンという重い音とともに勢いよく地面に引っくり返っていたのは当のジャストンの方であった。
「うぐっ……い、一体何が…………」
自らの身に何があったのかジャストンは全く理解していないようだったが、間近で見ていた筈のガレスにもなにがあったのかさっぱり分からない。
メイドの動きが速すぎて目が追いつかなかったのだ。
このメイド、明らかに只者ではない。
「湊様に害意を持って近寄ろうとするのであれば、例え同盟国の貴族の方であっても容赦は致しません。今回は警告ということで手加減を致しましたが、次からは命の保証は致しませんのでくれぐれも軽挙に走らぬようご注意くださいませ」
メイドの少女はまるで何もなかったかのようにスカートの端を指先で摘み、左足をクロスさせるように斜め後ろに引くと、優雅な所作で一礼……すなわちカーテシーをしてみせる。
「……とはいえ、湊様のお話だけでは説明が足りていないのも事実。その続きに関しましては私の方から詳しくご説明させて頂きます。よろしいでしょうか?」
「あ、ああ…………」
ガレス達は唖然とした表情のまま諾々と頷くしかなかった。
「このクレッサール王国とヘムガール帝国との戦争に参加するにあたって、私たちは元々この戦争の開始に間に合うよう余裕を持ってスケジュールを組んでおりました。そして我々の責任の範囲内においては一切の遅滞は認められておりません」
「で、ではなぜ……?」
「問題が起こったのは、アレス王へ出兵の挨拶をと思いクレッサール王宮へと赴き、使用人に連れられ控室に通された直後のことでございます。突如として武器を手にした多数の兵たちが控室へと突入してまいりました。それらの兵が口々に叫んだのは「お前たちの援軍など必要はない。去れ、そしてアンリエストを我々に返せ」というものでございました」
「なっ!?」
メイドの口から語られた驚愕の事実に、ガレスは何か固い鈍器で頭を強打されたかのような強い衝撃を受けた。
「そ、それでは国際問題にっ……嘘だっ。父上がそんな指示を出すはずがない!」
「もちろんでございます。聡明なるアレス王はそのような愚かな指示は出してはおりません」
「で、では誰がっ!」
「クレッサール王国第三王子、フェリペ様です」
「フェリペが…………」
彼女の言葉に、ガレスはフェリペならばあり得る……と素直に思ってしまった。
「フェリペ王子は、湊様から届けられたご挨拶に伺うという書状をアレス王に届ける役目を負った使用人を金で買収することでそれを握り潰し、使用人に命じて偽の控室へと私たちを通させました。そして……多数の兵を率いて控室の出入り口を押さえ、完全に封鎖したのです」
「フェリペめ、なんということを……」
援軍にやってきた同盟国の王を騙して王宮の一室に幽閉するとは……完全に常軌を逸している。
それも20万の大軍にたったの8万で挑まなければならない当事者であるガレスたちを差し置いて王の裁定も得ずに勝手に援軍を断り、その上王が自身の決定で割譲したアンリエストの返還を求めるなどと、王子であっても許されることではない。
というか、勝手に援軍を断ってフェリペの奴はどうするつもりだったというのか。
事実としてアンリエストからの援軍が間に合わなければガレスたちはあのまま数の力で押し切られ、間違いなく敗北していただろう。
それが分からぬほどフェリぺは愚か者だったということなのだろうか?
いや、あいつには最初っからヘムガールに勝つつもりがなかったと考える方が正解なのかもしれない。
考えたくはないが……フェリペの母親はトンガール王家出身。ヘムガールに(というかそれに従っているトンガールに)通じていたということなのか……。
トンガール軍はアンリエストへ進軍し、ヘムガール軍がクレッサールに進軍する。
そしてフェリペがクレッサール王宮内で反逆を起こして内部から混乱させる……。
つまり、今回攻め寄せてきたヘムガール司令官の策は初めから三段構えだったということ。
なんという悪辣。なんという愚劣。
しかし、それだけに効果的だった。
その謀は今のままならかなりの確率で成功していたに違いない。
――――彼らさえいなければ……。
アンリエストの青年王とメイドを視界の端でチラ見しながらガレスは考える。
彼らが今この場にいるということは、つまりは……そういうことなんだろう。
「もちろん幾ら数を揃えようが私一人で全滅させることは使用人に用意された毒入りの紅茶とクッキーをその場で一気に食すよりも簡単なことだったのですが、控室を占拠したのが一応王子とその腹心だったということもあり、問答無用で排除というわけにもまいりませんでしたから一応はある程度説得の時間を取らせて頂きました。もっとも、当然といいますかその後もフェリペ王子側との話し合いは合意に至りませんでしたので、やむを得ず私が力づくで邪魔者を排除させていただくという形を取らせていただきました。戦闘自体はものの3分もかかりませんでしたが、フェリペ王子への説得分とアレス王への経緯報告、そしてその後のここまでの移動時間がそっくりそのまま戦場への遅延時間に還元された……という訳でございます」
ガレスの予想を裏付けるようにメイドの口からその後の経緯が説明される。
というか、あの愚弟は毒殺にまで手に染めようとしていたのかと人として兄として恥ずかしいやら情けないやら頭が痛いやら。おまけにそれを全て相手に見通されているという間抜けっぷりである。何というか、穴があったら隠れてしまいたい心境であった。
「私どもの戦場への遅参につきましてはそもそもクレッサール王家側の意思不統一に端を発するものでありますので、私見ではありますが湊様がおっしゃられた「我々に瑕疵はない」という言葉は適切なものであったと愚行いたします。以上にて本件ご理解ご納得いただけましたでしょうか?」
「「「あ、ああ……」」」
一片の突っ込みどころもない理路整然としたメイドの説明に、ガレスもその部下たちも弱々しく頷くことしか出来なかった。




