第28話
「よし、作戦会議だ」
私たち騎馬戦チームに召集がかかった。
かけたのはミキだ。
すでに騎馬戦で使う鉢巻をしている。
鼻息が荒い。
「今日集まってもらったのは他でもない」
ミキが両手を後ろに組み歩き回る。
何、軍法会議、演説?
「八点差で我が紅組は負けている!」
ミキがみんなを見回す。
「由々しき事態だ。わが軍に敗北という文字は無い。あるのは勝利のみだ」
戦争するの? 体育祭だよね。
「以上、諸君らの忌憚ない意見を聞かせてほしい」
ミキがシートの上に座る。
「じゃあ、みんな、食べようか」
誰かが言わないと、食事が始まらない。
ミキがいる以上、これ私の役目だよね。
みんなが安心してお弁当を広げる。
「で、作戦なんだけどさ」
ミキが食べながら話す。
女の子に戻ってる
「あのさ。最終的には、鉢巻はとられてもいいから。でも、その前に最低三つは取りたいんだ。そうすれば、うちら赤が有利になるから。これに勝って、混合リレーにつなげないと。負け確定だから」
勝ちたいよねという小さな声が聞こえる。
私だって勝ちたい。
朝、電車の中で空田さんに頑張るって約束してきたから。
空田さんも応援してくれてる。
勝ったって空田さんに報告したい。
「重美ちゃん、文化祭の時飛び入りでメイドになった子なんだけどさ。中学の体育祭で鉢巻五つ取って勝ち残ったって」
「なにぃ!」
ミキが箸を握り締める。
「前言撤回。わが隊も鉢巻五つを確保する。いや、それ以上だ。諸君何かいい案はないか?」
言わなければ、よかったかな。
ミキがお弁当をかっ込む。
「こうしてはおられぬ。早急に打開策を考えねば」
「指揮官。逃げて弱気になっている相手を追いかけて一気に攻めるのはどうでしょう。弱腰の相手を片っ端から潰して回るんです」
悪乗りする子が出てきた。
「いい案だ。短期決戦か。でも、みんなの体力は持つのか? お前たち、大丈夫か?」
「そう思って、用意しました」
栄養ドリンクをみんなに配る子も出てきた。
ありがとうと受け取る子たちの中で一人おかしいのがいた。
「かたじけない」
誰? この子、今かたじけないって言った? それ、時代が違うよ。
「気が利くな。お前に禄を授けよう」
ミキ、続けるの?
「はっ、ありがたき幸せ」
栄養ドリンクを配る子が、立膝をついて頭を下げる。
完全に戦国時代にさかのぼっちゃった。
何処までやる気?
「しまった。ミニトマトまで食してしまったではないか」
ミキが嫌そうな顔をする。
でも、時代劇は続けるんだね。
ミキが栄養ドリンクでミニトマトを流し込んでいた。




