第26話
ミキが美味しそうにハンバーガーにかぶりつく。
それにしてもミキの一口は大きいな。
「終わったね。サイコーだ」
ミキ、食べながらだと話が聞き取りづらいよ。
ここは総合施設・城北タウンのフードコート。
同じ制服を着た生徒たちがやたらと目立つ。
「なんか、昼休みの教室とあまり、変わらないな。これじゃ」
ミキがもしゃもしゃ食べながら話してくる。
「中間テストが終わっても、ここしか行くとこないもんね」
「おっと、いけない」
ミキがハンバーガーを戻し、ポテトフライ、サラダと一緒にスマホで取る。
「インスタ?」
「違う。ママに送るの」
ちょっと、首をかしげてしまった。
「サラダが入ってると、昼食代払ってもらえるの。この間のラーメンは自腹だった」
「食事代がでるんだ。私なんてお小遣いからだよ」
ミキがサラダにフレンチドレッシングをかける。
「これで良し。さあ、食べよう」
「うん」
「私のメガポテト、食べていいよ」
「ありがとう」
ポテトフライをつまむ。
塩味が効いていて美味しい。
「それで、ばっちりだったんでしょ。物理」
「そう。聞いて」
「はい、はい」
「空田さんが教えてくれたところが、そのまま出たの。もうカンペキ」
「よかったね」
「電車の中で、後数分しか時間がないところでピンポイント。問題の意味はよく分からなかったけど、答え方はバッチリだった」
「テストなら、それで通るよね。方程式と答えがあってれば」
「うん」
「いいなあ、物理は設問が少ないから、これで赤点回避か」
「駄目だったの」
「全部埋めたけど、減点が心配。あの先生、厳しいから」
「でも、何か書けば一点はくれるよね。前回、サチコが分からなくて、知ってる公式を三つ書いたら、三点くれたって言ってた」
「ほう。じゃあ、五割引きで五十点くらいになるかな。沢山書き込んだから」
「なるといいね」
「化学は?」
「CO2とH2Oが分かってればいいの」
「国際社会で問題になってるけど、それ化学だっけ。政治・経済じゃないの」
「もう、思い出させないで。政治・経済、最悪だったんだから‥‥‥赤点かもしれない」
「まあまあ、一緒に追試受けよう」
「‥‥‥ミキは受けたことないくせに」
サラダカップのふたの上にミニトマトをのせて渡してくる。
「まあまあ、これでも食べて」
「ミニトマト抜きにしてもらえば、よかったのに」
「ママが許してくれません。サラダの中で赤は目立つから」
私はミニトマトを食べる。
ン? 美味しいけど、余り美味しくない。
「フレンチドレッシング、いつものと違うね」
「お弁当のやつは、ママの特製ドレッシング。市販品じゃないよ」
なるほどと、美味しかったはずだと私は納得した。




