↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

PR
14/47

第14話


 今、プリクラハウスの中にいる。


 カラフルなLEDライトが点灯している。


 全て百均で私が買っていたものだ。


 客になることを想定していなかったといえば嘘になる。


 この光には私の願望も少し入っていた。


 空田さんと二人だけの空間に思えるが、制作者の一員だった私は知っている。


「空田さん、見られてますから」


 小声でささやく。


 隣の部屋で多分ミキがポラロイドカメラを操作している。


 檻の中で観察されているような気分になった。


 ガサガサ音がする。


 重美ちゃんまでいるのかな。これは。


 兄思いのいい子だと思う。思うんだけど、やりすぎだよ。


「空田さん、始めます」


 私はコイン投入口に100円玉を入れる。


「それじゃフレームに入りません。もっとくっついてください」


 ミキ、わざと事務的に喋っている。


 機械の真似しなくてもいいのに。


「ニイチャン、あと二十センチ寄らないと、晩御飯抜きだよ」


 重美ちゃん、強い。



 フラッシュがたかれる。


 上手に笑えただろうか。


 初めてミキとプリクラを撮った時のことを思い出す。


 ミキ、出会った初日にプリクラに誘ったよね。


 あの時も、微妙な笑顔だったな。


 ポラロイドからプリントが出てくる途中で、カメラごとボコっと取り外される。


 ダンボールの壁の向こうでガサゴソ音がする。


 最初に見せてくれないの?


 私たち、お客さんだよね。


「これは、却下です。もう少し、自然に微笑みましょう。特に、空田さん」


 私じゃなかった。


 空田さん、頑張ろう。


 私は聞こえないよう、目で合図した。



 なんとかプリクラをクリアした。


 ミキ達の脱線もあったが、楽しかった。


 正直、思っていた以上に楽しかった。


 ミキ、ありがとう。


 重美ちゃん、ありがとう。



 空田さんは、重美ちゃんと帰っていった。


 仲の良い兄妹だった。


 少しだけでいいから、今日は空田さんに優しくしてあげてね。


 空田さん、頑張ったよ。


 それは、分かってるか。








評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。