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ベンチャーNo.2の瀬川さんは、Z世代がわからない  作者: ru
1.パワハラ上司の憂鬱

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4/21

4.

 

 要らんといったのに、高城は僕の補佐をすることになった。先日の会議の話が湊の耳に入ったらしい。


「瀬川をだまらせるなんてすげえ!!」と、鶴の一声で決まってしまった。


 ただし現場の仕事はそのままで、所属も開発部のまま。高城の仕事が増えただけだ。


 ならば、忙しいなどと言って、何もせずにすぐ戻っていくだろう。


「高城です。管理系の仕事は初めてですが、瀬川さんみたいになりたいんで、頑張ります。よろしくお願いします」


 わかりやすいおべんちゃらだ。言い慣れてないのだろう、口元がにやけている。


 そんなこと言って、どうせ、すぐ辞めるんだろ。


 内心そう思ったが、笑顔を作り拍手する。


「えー、かっこいいー」「しっ」


 インターンの鈴木がぽろっと呟く。すぐに花田に注意され、口を閉じた。


 確かに、高城は背も高く、穏やかな印象だ。いやしかし、こういうのほど、裏で何をやっているかわからないではないか。


「あざす。でも瀬川さんほどじゃないですよ」


「……」


 やりすぎの下手な世辞に、頭を抑える。馬鹿にしているとしか思えない。


 そういえばこいつはずっとフリーターで、正社員の経験がないのだった。社会の常識や空気のようなものも教える必要があるのだろうか。


「本当ですって。ねえ」


 高城に話を振られて、鈴木さんが「あははー」と愛想笑いをする。……なんだろう。無駄に傷つけられた気がする。


「おい、いいかげんにしろよ」


「ありがとうございましたー。瀬川さんがツッコミで、俺がボケ担当します。コンビ結成です。よろしくお願いします」


 ついには漫才のようなイントネーションでそう言い放ち、特に真面目な連中がそろっている経営管理部を、変な空気にしていた。


 花田の視線を感じる。僕の顔色を伺っているのだろう。僕は軽口を叩かれてもさほど気にならない。やることをやらない奴に対して、腹が立つだけだ。


 花田は僕の機嫌が悪くないと受け取ったのか、明るい声で高城の案内を始めた。


「高城君は瀬川さんのサポートってことなので、席、ここね」


「ありがとうございます。固定の席って意外といいっすね。なんか落ち着く」


「開発は席自由だもんね」


 高城は僕の斜め前に座った。パーテーションで顔が見えなくなる。花田が書類の場所や管理方法を伝えている。


 しばらくは僕に用はないだろう。PCを開いて、彼に渡せる仕事を探す。失敗しても大きな問題にならない仕事を。


 ああ、そうだ。


 ちょうどいいものを見つけた。


 後回しになっていた、社員研修を丸投げしてやろう。社内だから、最悪できなくても失敗しても、外部に影響はない。


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