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ベンチャーNo.2の瀬川さんは、Z世代がわからない  作者: ru
2.社会見学

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15/20

15.


「……確かに、俺、髪は、多いし。体型は、結構気をつけてますけど……」


 やっと、僕が何が言いたいのか分かってきたのか、先ほどまでのふてぶてしさが少し弱まる。


「君がこの現場で落とすべきは、若い女性ではない。決済者だ。それを踏まえて、鏡を見て、考えろ」


「や、別に俺、女にモテたいわけでは」


 それでももごもごと口答えする高城に、僕はついに怒鳴りつけた。


「だから! モテたい奴らの中に、モテる奴が突然入ってきたら、そいつはモテない奴にモテると思うか? 無理だろ!? 君みたいなヤツはなあ、少しダサめにして、可愛がられるしかないんだよ!」


「え? あ、う」


「それがわからないほど君は馬鹿か?」


 高城は鏡と僕を見ながら戸惑っているようだ。


 ……ここまで説明して、まだ分からないのか。僕は高城を買い被っていたのか。


 再度ため息をついて、改めて聞いた。


「……わからないなら、僕の補佐にはできない。開発チームに入れる。入湊がなんと言おうと。どうする?」


 まだごちゃごちゃ言うかと思ったが、高城は一つ喉を鳴らして、いつものようにまっすぐ僕を見下ろした。しかしいつもより、目が強い気がする。


「着ます。それ、貸してください」


 ようやくシャツに手をかけた高城に安堵する。


「名刺交換したことはあるか?」


「まあ、一応」


「どちらから受け取るかわかるか?」


「え、先に出した方?」


「……」


 つい、頭を抱える。


「……着替えながら一度で覚えろ」


 今日は一人で動くこともないだろうし、名刺交換さえ乗り切れば、なんとかなる。


 高城は大人しく「うす」と、相槌を打ちながら手早く着替えを済ませた。こいつは覚えは早い。とりあえず大丈夫だろう。


 髪を後ろに撫で付けるように、表情が見えるような髪形にさせる。これには大人しく従った。眉と額が見えると不気味さが薄れ、少し幼く見える。


 鏡を覗いて、額のニキビ跡をしきりに触っている。これが気になっていたのだろうか。


「君は会話は下手ではない。発言は我慢しなくていい。だが、偉そうで生意気そうだ。そうだな、顎を引いて、目に力を入れてみろ」


「こうすか」


「……目を見開くな、怖い。あと、こうですか、とはっきり言え。口をちゃんと開けて、聞き取りやすくしゃべれ」


「うす……はい。こ・う・で・す・か」


 ……わざとらしさは残るが、初々しさで何とかなる。だいたい、おっさんというのは基本、新卒や若者が好きだ。一生懸命な雰囲気があれば、多少生意気でも不器用でも、何とかしてやろうと手を貸してくれる。


「よし。あとは僕をよく見てろ。行くぞ」


「はい」


 少し緊張気味の歯切れ良い返事に、少し僕の機嫌は上を向いた。


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