現状確認と鈍痛
今後のための現状確認に入る狸氏
そして襲いかかる悲劇
無音のテレビを心の支えにし、暇に耐え続け1週間、狸氏は自己の現状を再確認し今後の指針をたてることとした。
先ずは全身、鬱血時の痺れのような感覚が常にあり、触覚や痛覚などの感覚が鈍くなっている。
次に上肢、動きはするが上手く力が入れられず細かい操作については壊滅的、テレビのリモコンを掴むのにも難儀するレベル。
そして下肢、動きは問題ないように感じられるが寝たきり状態なので詳細不明。
最後に脳機能だが、常に耳鳴りが鳴り周囲の音声を増幅させる、上体を起こすだけで前後不覚のようになり体勢を維持できなくなる、視界が狭くぼやけている、舌が回らず発音が不明瞭等が確認された。
かなり芳しくない状況だが、寝たきりの現状で自分なりに出来ることを考えた。
まず手の開閉運動と足首の上下運動・50音の発声練習を数時間おきに行い、看護師に依頼しベッドのリクライニングで上体を起こすことを1日に何度か行う事で状況の改善を図った。
無論、医師と看護師の了承を得てからではあったが。
そのようの日々のなか、狸氏を未曾有の危機を襲うこととなる…
尿道カテーテルである
緊急入院時意識の無いなか挿入し、この度おむつへのステップアップで抜去したのである。
抜く際は軽い不快感を感じる止まりで問題はなかったのだが、その後尿が出ないまま2日が経過し尿道カテーテルで強制排尿する運びとなってしまった。
尿道カテーテルの挿入それは未経験の痛みであった…
尿道内を這う言い様の無い不快感、陰茎を内側から掻きむしるような激痛、いっそ爪を剥がしてくれた方が痛みが紛れると極端な思考にまで陥っていた狸氏であったが、看護師が途中で「入らないなぁ…」と呟いたのを聞き逃さなかった…
その後、拷問のように尿道カテーテルを抜き差しされること数回、気づけば男女3人がかりで尿道カテーテルを挿入しようとしており、痛みと羞恥でどうにか成りそうな時間を小一時間ほど過ごしたが、膀胱までその
想いが届くことはなかった…
小康状態のなか、突如尿意が全身を駆け巡った。
声を出すよりも速く中途半端に挿入されたカテーテルを脇目に駆け出した黄金色の奔流は看護師の指が寄り添う陰茎から美しい放物線を描き放たれた。
狸氏が尿意を表明したのは数拍遅れてからであった。
迸る尿を前に被害を極限するために清掃に入る看護師達、「カテーテルもう挿れなくてもいいね」と慰めなのかよく分からない声をかけ片付けにはいる男性看護師、放心状態になりながらもこの拷問状態からの解放を噛み締める狸氏、各々思うところはあるであろうがこの騒動の後始末に入った。




