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運命の日

或る男の身に襲い掛かる脳出血

それは1月の特に冷え込んだ日であった、狸氏は年明けにも関わらず36協定などなんぼのもんじゃいと言いたくなるような勤務を終え終電で帰宅の途についた、終電後の最寄り駅には24時間営業の牛丼チェーン以外明かりはなくここ1年程は毎晩牛丼をかっこむような生活を過ごしていた。

もちろん血圧も体重も急上昇すること請け合いで、狸氏は100㎏の大台に乗る才能をみせ、最高血圧も180mmHgに迫る勢いであった。

寒さに負け牛すき鍋を掻き込みつつも自宅に着き、日課件趣味の長風呂へと興じるのであった、夜半の長風呂という享楽に身を任せたのち、全てを忘れて惰眠を貪ることを心に決め湯船から立ち上がった刹那それは起きた。

突然の頭痛、立ち眩み、支えなしでは立っていられなくなるような平衡感覚の不調、まるでスピリタスをショットで呷りぐるぐるバットに挑んでいるような心身の失調であった。

これ脳出血の発症時の症状だぁ!

頭のなかのどこか冷静な部分が某就学児向けの家庭学習教材のCMのようなテンポで自己の状態を客観視していた、何はともあれ直ぐに119番通報をしなければと考え寄りかかるように浴室の扉をこじ開け脱衣所に掛けてあったスーツ手繰り寄せ携帯電話を取り出した。既に立ち上がることも叶わず床に俯せになりながら通報を行い自己の状態、現在地を伝えようとした…

舌がまわらない!

頭は回るのに身体がまるで言うことを聞かないことに苛立ちを隠せないなか、辿々しい発音でなんとか自己の状況と自宅の住所を伝え、救急隊の到着を待つだんとなった。

5分程たった頃だろうか、床の冷たさに得も言われぬ心地よさを感じ意識を手放しそうな時分、救急車のサイレンが迫って止まった。

玄関から聞こえる救急隊員の呼びかけに対しなんとか唸り声で答え、救急搬送される運びとなったが、全裸中年男性が携帯電話と財布を握りしめてストレッチャーに乗っているという何とも言えない映像を何事かと街路に出てきた近隣住民の皆様にお届けすることになった。

動き始めた救急車内にて救急隊員から幾つか問診受けてるなか、不意に吐き気が襲い牛すき鍋を車内にぶちまけた。

車内に漂う吐瀉物と牛すき鍋の入り交じった形容しがたい香りの中いたたまれない気持ちになりつつ、搬送先の病院への到着を待った。



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