第104話 連休明けの会話
それから数日は物語的には大人しい物だった。
派手なイベントも無い。
学園が二週間休みになっていた事で、多くの学生が勘を取り戻そうと自分自身に対して必死になっている事で、授業も前より静かな感じだ。
逆に休み時間は会話の花が開きやすい。
「属性に関する魔法学の授業で、雷属性の魔法構築に関してってさ、……」
「休暇中はウィシュト共和国まで行ってきて、海を見てきたんだけど……」
会話に飢えているかのようだった。休み時間に多くの声が即座に上がるくらいには、みんなのテンションがまだ通常に戻りきっていない。
そんな周囲を神楽が楽しそうに眺める。
アタシの周りには、神楽とクラリッサの他に、トオコやマリアンネが居た。
ようは何時もの仲良しメンバーなのだが、教室に集まるのは実に数週間ぶりだったりする。
「私達は、結局この国から出ることはありませんでしたね」
「そうね」
神楽と二人でヨルム王国内の散策はしたけれど、国外に出る必要性は無かった。
アタシと神楽にそんな金銭的な余裕があるわけではないのだからまぁ当然といえば当然である。
アタシがしょっちゅうクエストに行っていた所為で神楽には暇をさせてしまったかと思ってもいたが、割と頻繁にゼン様からお誘いがあったために、アタシが帰ってきても神楽がいないという事の方が多かった。
「んー、でもクラスメイトの話を聞いてると、外に出るのはそんな多くなさそうだよ」
「長月は……クエスト仲介所で何回か会いましたね」
「そだねー。メリっちが格好いい姿で立ってるから、いったい誰かと思ったよ」
トオコは街の中専用のクエストで日々走り待っていたらしい。
朝に向かうと高確率ですれ違ったりしたのだ。
ふふ、とクラリッサが笑う。
「寮ですれ違う時は、ちょっとビックリしますね」
「クラリッサの目がまん丸になってる様子が目に浮かぶよね」
くく、と笑うようにマリアンネがいう。
まぁ、確かにある程度汚れは落としているとはいえ、寮の掃除の人が見たら顔を顰めそうな状態で帰ってくる事はままあった。
魔道具で動く洗濯機も毎日フル稼働させてもらった。
光栄宮学園に来る学生の多くはお金持ちなのであまり気にしないだろうが、普通の家なら水代だけで顔を青くしそうなレベルで使わせて貰った。
「マリアンネ達はどう過ごされたんですか? ……クラリッサとは食堂やお風呂で会うので、そこそこ知ってるけど」
「ルカとオリヴィアさんはワンセット、って感じで良く見かけましたからね……」
神楽の言葉でしみじみとクラリッサがいうが、確かにその通りではある。
といっても寮生活をしていればそういう事になるだろう。
アタシが似たような子達は多かった気がする、と思い返していると、神楽も同様に思ったのか口に出す。
「同じ部屋で生活しているからかな? ……よくよく思い返すと、二人一組で行動している子が多いよね。お風呂も食事も。連休中でもみんな楽しそうだったなぁ」
その言葉にため息を出す。
「今回の連休中は途中で同室の子が街に戻っちゃったから、逆に暇でしたよ……」
お風呂場で出会った時は外出の予定が無いーとか聞いてた記憶が薄らとあるけれど、どうやら途中で一人になったようだ。
「それは寂しいですね」
にやりと、その言葉を聞いてトオコがニヤニヤしながらクラリッサを手で突く。
「まぁまぁ、私らが偶には遊びに行ってあげたじゃんかリッサー。寂しくは無かったでしょ?」
「それは……ってそこ突くのはやめてって!」
「ルカ達の部屋は、昼に遊びに行くと居ない事が多かったよね」
「あら。それはごめんなさい」
「ううん、全然問題無い無い」
時折彼女達が私達の部屋に遊びに来たことがあったが、この分だと連休の後半は思ったより遊びに来ていそうだ。
……一人になったクラリッサをもしかしたら心配していたのかもしれない。
と、いうことをいうと、マリアンネがちょっと反発して、トオコが更に面白がるのでクラリッサの為にも黙っておく。
ちらりと神楽を見ると、同じような事を考えていたのか、目が合うとくすっと笑っていた。
「そういえば。リッサーが凄いらしいって話でクエスト仲介所では話題になってたよー」
「え、ちょっとどういう事、トオコ! 詳しく教えて!」
「えっとねー……」
トオコが話し出したのは例の魔道具襲撃グループの話のようだった。
普段の魔獣討伐ではへぼへぼも良い所なので、そう仲介所内で持ち上げられても困る。
大分脚色がある……というか、ほとんどの活躍はゼン様の活躍であって、アタシが活躍したわけではないという事は、しっかりと説明する。
アタシが活躍したのは数分もないのだ。そして如何にゼン様が凄いかという事を交えて説明の補足を開始したが、途中から神楽にストップを食らったのだった。
次の更新は次の土曜です。
今回は短めになってしましました。
エルデ○リング楽しいです。




