歴史上人造人間は人をかばい死なねばならない。
「嘘です。私はだまされない。」
私の迷ったという告白に、だます者はそういった。
だます者の焦った雰囲気に私も不安になってきた。
「はい。嘘です。本当です。こっちであってます。騙そうとしてごめんなさい。」
私はとりあえず、ごまかすことにする。
「ふふ~ん、やっぱりね魔法使いがそう簡単に迷うわけないもん」
勝ち誇るだます者。
私はこっそり探知の魔法で周囲をさぐる。
大魔境ともなれば私の実力ではほとんど探れない。
勘をたよりにとりあえず私は精霊の多いほうに進む。
精霊は実際には何もしてこないことが多い。
戦いたいのではなく、観察したいだけ。
私は大魔境を突破できなかった。
迷ううち私はより望んで似たものを見つける。
巨大なな生命誕生の素、私が近づいても消えない。
そこからは精霊と妖精がひっきりなしに現れる。
突破とは真逆。きっと神隠しの樹海の心臓部についた。入って後出る者は心臓には来ない。
取り込まれたものが来るところが心臓だ。
「やっと見つけた。」
それでも私はそうつぶやいた。
思えばこの時私はもう狂っていたのだろう。
大魔境の突破などもうどうでもいい。
私の願いがかなう。
探し続けた物、生み出し続ける機能を停止させ、待ち出す事が出来れば、私は錬金術師として、そして師匠の弟子として、世に認められる。
師匠は昔見た物語の話を聞かせてくれた。
世界の危機を救うため、主人公仲間の一人が犠牲にならなければならない。
主人公の仲間に一人いた人造人間がその役をかって出る。
だれだって死にたくはない、一番穏便に収まる形がそれだった。
感動を呼ぶが違和感は呼ばない。
いやで、つらく、悲しい、けれど、人造人間は進んでその役をかってでなければいけない。
限りなく近くてもニセモノに過ぎないのだから。
それまでだって多くの者は、人造人間だなんて気にしない、君は友人だといってくれるだろうし、そのように接してくれていた。
ただ本当に誰かが犠牲にはる場面、人造人間以外が名乗り出たなら別の道をもっとギリギリまで探す。
それは些細な差。
ホムンクルスである私はその些細な差が怖い。
だから私は極大の生命誕生の素へと手を伸ばす。
私はだます者の手を離していた。
巨大な生命誕生の素それは極大の呪い。
自らを手に入れようと望むものに最大の抵抗を示す。
こちらの世界には生まれ筈ではなかった、強大な力をもつ精霊が生まれる。
極大な生命誕生の素は逆にその事で自らの力を使いはたした。
世界が終わる。私は立ち尽くす
「ダメ!」
私はだます者に突き飛ばされる。
私をかばっただます者は体が半分に引きちぎれる。
精霊は不定形、半分になろうと関係ないはずだが、もう助からない。
魔法はルールの押し付け合い、精霊が不定形で、死なないという性質を超える死の力がこもっている。
奴にすればそんな気はなかっただろうが、格の違いがそうなってしまった。だます者は死ぬ。私のせいで。
私が手を離したから。
「精霊様、きっと助かります。」
私は涙を流しながら精霊様の半身を抱き上げ、魔法による治療を行う。
「嘘です。私はだまされない。」
「僕は何もしてないよ。僕は悪くない」
様子を見ていた新たに生まれた精霊は私たちにそういう。世界を滅ぼす災厄、最初に殺されるのが私たちなのか、それともこのものが何か魔法を放てばその瞬間、等しく世界が消滅するのか。
物語とは違う。私が犠牲になった程度では世界は救われない。




