第6.5話 ドッキリでどっきり
「みなさんこんにちりゅんりゅん♪『Cosmos』の流星陽菜乃だりゅん♪今日は1人だりゅん……というのも、今回はそらちとオリもみにドッキリを仕掛けるためだりゅん♪内容は……事務所移籍ドッキリだりゅん!どんどんぱふぱふー!」
誰もいない密室で1人で盛り上がっているのは、長めのパーマヘアが特徴的な流星陽菜乃という少女だった。
「それじゃあ早速、2人に仕掛けに行くりゅん!」
言うが否や、陽菜乃はドアを勢いよく開けて飛び出した。
「そらちー、オリもみー!」
「あ、陽菜乃ちゃん!」
「何かしら」
陽菜乃が入った大部屋には、笑顔で出迎えた紅葉と、髪型がクラウンブレイドで、無表情の天野川宇宙がいた。
「2人に伝えなきゃいけないことがあるりゅん……」
「ど、どうしたの?顔が暗いけど……」
「急にテンションが下がったわね」
唐突な変わりように困惑する紅葉。それに対し、宇宙は顔面を崩さない。
「実は陽菜乃、他事務所に移籍が決まったりゅん」
「そうなの!?」
「どこの事務所かしら、私たちが知っているところ?」
「スターシェルプロモーションだりゅん」
「すごい!大手じゃん!」
「グループには入るの?」
「『AKR47』ってグループに所属するりゅん」
「人数が多そうだね」
「ポジションが気になるわね」
「だから、2人とはお別れしなきゃだりゅん……さみしいりゅん……」
「じゃあさ、今からパン屋さん行こうよ!私と宇宙ちゃんで奢るから!」
「……へ?」
いきなりの提案に、陽菜乃はぽかんとする。
「3人の最後の思い出作りに、あの店のパンを買い占めよう!」
「えええっ!?」
「そうと決まれば、すぐにお金を下ろさないと!」
「ま、待つりゅん!そんなことしなくてい
「そうね、紅葉さんに賛成だわ」
「あ、あの……これはドッキ
「銀行に急ごう!」
「あっ、ちょっと!」
2人は事務所を飛び出した。
それを陽菜乃は、すまなそうな顔で、黙って見送ることしかできなかった。
その後、2人は戻るとすぐに、陽菜乃の両手を引いて四季宮学園内のパン屋に入店した。
扉が開けると、からんころんとベルが鳴る。
「いらっしゃい、あら紅葉ちゃんじゃない、その2人はお友達?」
「いえ、同じアイドルグループのメンバーです」
「1人は脱退しますが」
「ちょ、ちょっと!」
慌てる陽菜乃。
「それで、今日は何をご所望?」
「陽菜乃ちゃん、メロンパン好きだよね?」
「うん……」
「じゃあここのパン全部ください」
「聞いた意味あるのかりゅん!?」
「あらー太っ腹ねぇー!ありがとうございます〜」
「2人とも、ストーップ!」
堪えきれず、陽菜乃が大声を上げた。
「ど、どうしたの?」
うろたえる紅葉に、相変わらず表情筋が死滅している宇宙。
「これ、実はドッキリだりゅん……」
「「……え?」」
「事務所移籍は嘘だりゅん!」
「……陽菜乃ちゃん」
「ひっ!」
ここにきて、笑顔で圧をかける紅葉と、真顔のまま凄みを与える宇宙に、陽菜乃はすっかり怯え切ってしまっている。
「それ、私たちはすでに知っていました!」
ところが、2人はその顔のまま、おどけてみせた。
「え……えええええー!」
「私たち、陽菜乃ちゃんより先に『AKR47』の話を聞いて、マネージャーさんに頼んで陽菜乃ちゃんをターゲットに逆ドッキリを仕掛けたの」
「ってことは、騙されたのは、陽菜乃!?」
「そうよ」
「んもおー!みんなして酷いりゅん!やっていいドッキリと違うドッキリがあるけど、これは絶対後者だりゅん!お詫びにパンを全部買うりゅん!」
「えっ!?私たち、本当に全部買うの!?」
「当たり前だりゅん!陽菜乃を出し抜いた罰だりゅん!償うりゅん!」
「どうする、宇宙ちゃん?」
「仕方ないわ、騙したのは事実だし」
こうして紅葉と宇宙は、本当にパンを全部買い、そのパンは全て、動画配信サイトの企画で美味しくいただいた。
そして、動画の終わりに、3人は映画の宣伝を行った。
「実は私たち3人は、映画『AKR47』に出演が決まりました!」
「どんな映画になるかは、まだ私たちにもわからないわ」
「みんな、続報を楽しみに待っててりゅん♪」




