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スカベンジャーズ・イージス・フォルト  作者: みやなぎさん


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16/20

第16話:チーム対抗戦①

食事が終わり、作戦会議時間が始まった。

私達はチームごとで部屋を分け、B0risさんと同じ部屋で

机の上にお互いの『長所』と『短所』をテーブルの上に広げていく。


「SMGの特性上...15m以上の射程は厳しいです。

 なんとか20m前後までは当てれますが、決定打にはならないかと....。」


「......俺が持ってきたコイツは、中遠距離の威力と精度は保証できる。

 だが...如何せんジャンクだ、次弾装填の際にボルトが引っ掛かり

 どれだけ気を付けても0.5秒程のタイムラグが発生する。」


「なら中距離を基本として戦いませんか?

 当たらずとも多少は隙を埋めれますし

 そのまま近づいてくれれば私の距離になります。」


「.......それでいこう、良い作戦だ。」


お互いの弱点を素直に開示し、長所で補い合う作戦に決定する。

私達の極端な射程距離を補い合うために試行錯誤していれば

5分なんて準備期間はあっという間に過ぎ去った.................。


──────────────────────────────


「私がやる!M60 AP弾の掃射なら

 遮蔽物なんて関係なしに、AOちゃ達諸共粉砕できる!!!」


「バカ!B0risの狙撃技術はStriXも評価するほどなの!

 そんな一直線に突っ込めば、あっという間にアンタは負ける!!!

 後ろで縮こまってれば私の盾で守ってあげるから、余計なことしないで!」


「そっちこそバカ言えよ!AOちゃはまだ初心者だけどよぉ!!!

 機動力と発想って点なら、頭が凝り固まった私達スカベンジャーより

 圧倒的に厄介になる!!!どうすんだご自慢の盾が捲られたら!!!」


一方、Bチームは怒声の嵐で部屋が埋まっている。

言い合いは次第に激しくなっていくが、1つの発言によって流れは変わる。


「言いたくなくても教えてもらうぜぃ!

 あの【B&T APR308S】の射程距離とデカブツの癖は!?」


「どれだけ遠くてもアイツなら当てる!コッキング時にボルトが引っ掛かる!

 0.5秒以下での次弾装填は物理的に不可能!!....そっちは!?」


「AOちゃの射程距離は長くて22mだ!それでもシステム上で

 弾の威力はダンチで落ちるから脅威にゃならねぇ!!!

 15mとある程度の遮蔽が無きゃあ

 AOちゃはただの可愛くて速いだけの移動式ターゲットだ!!!」


「なら決まったわね、私の盾で前衛を張るから

 歩く先にある遮蔽と、SRの音がしたらその方向に弾幕掃射!」


「AOちゃに仕事させねぇで、固まったところを一斉に叩く!!!」


お互いの事をまるで信用していないように思えたその作戦会議は

一番信頼している相手の事について開示し合い、決定する。

ヒートアップしていく言い合いは、5分という時間を数秒に感じさせた。


──────────────────────────────


「準備は.....バッチりみたいだね。」


私達全員の目を見て、StriXはそう言う。

対抗戦のフィールドは、主にプレイヤーたちが

模擬戦や練習試合で使うために設定されている『ロスト・ストリート中央区』

全員が見知ったマップという事もあり、特に意義はなく進行される。


「ルールは単純だ、どっちかのチームが全滅したら終了。

 僕は観戦画面で楽しませてもらうから、君たちも楽しんで。」


そんな言葉を私たちに投げかけてくる。

高まった緊張感を解すようにStriXはパン!と手を打ち鳴らし


「さあ、対抗戦スタートだ!」


視界が暗転し、次の瞬間

焦げた鉄と泥の匂いが渦巻く『ロスト・ストリート』の中央区.....

マップ上では少し左側に降り立った。


「.......作戦開始だ。」「はい....!」


そんなやりとりをした瞬間、逆サイドであるRIN達のスポーン地点側から

とてつもない数の赤い光の線.........『弾道予測線』が飛んでくる。

間もなく轟音と瓦礫が崩れる音、数瞬ののち7.62×51mm AP弾の嵐が

私達のスポーン地点を無差別に、そして容赦なく襲い掛かった。


──────────────────────────────


「オラオラァ!!!AOちゃと言えど容赦はしねぇぞ!!!!!

 どーしたデカブツゥ!!!AOちゃもぉ!!!来てみろォ!!!!

 来れるもんならなぁ!!!!!!!!!」


「ちょっとうるさい!!!右側からばっか撃たないでよ!!!

 右耳だけイカレたら責任取ってもらうからね!!!!!

 一直線に進むから!!!正面を12時としてクロックポジションね!!!」


「な~~んも聞こえねぇ!!!うずうずしてたんだぁ!!!

 宣戦布告を受けてから転送されるまで!!

 ずっっっっっっっっとコイツで暴れたくてよぉ!!!」


ドガガガガガガガ!!!という【M60E4】の咆哮と瓦礫の崩れる音。

すでにコミュニケーション能力を失っているかのような隊列は

ぴったりと息を合わせ行く手を阻む障害物など

あたかも最初からなかったように、関係なしに破壊して突き進む。


「1時の方向!!!ビルの3階右脇から微かに反射光!!!!!

 撃ってきたら即座に掃射して!!!!!!!」


「了解ィ!!!!200発の弾幕を思い知らせてやんぜぃ!!!!!」


バスッ!!!と小さいが確実な射撃音。

m1shaが手に持つ盾に、銃弾を弾いた時特有の

激しい重みと鋭い振動が同時に伝わる。


「撃たれた!!!今!!!!!」


「おっしゃあぁ!!!ビル諸共砕け散れぇ!!!!!」


RINのM60が、ビルの3階を丸ごと掃射し吹き飛ばす。

瓦礫の山となった3階部からはDeadマークは飛び出さず

まだ生きていることが想像できた。


「クッソ...生きてやんのか......!!!」


「雑に乱射し過ぎなんじゃない!?

 私が撃ってれば今頃2v1でそのまま勝ち切れた!!!」


「ンだとこら.....!!!AOちゃが来てるぞ!!!!!」


ビルの狙撃位置からは逆サイド、10時の方向から

一瞬手薄になった地上への掃射を好機とみたAOが駆けだしてくる。

15m圏内、SMGを携えるAOだけの交戦距離のはずだったが......


「甘いんだよニュービー!!!

 私がその程度読めてないとでも思ってんの!?」


m1shaのタワーシールドが、AOの射線を完璧に封鎖する。

一瞬の思考の後、そのまま横へまわろうとするAOへ

タワーシールドの脇から構えられた【CZ75 Auto】の射撃が開始された。


──────────────────────────────


「ッ!?」


私はとっさに後ろへ引き【MPX-K】の小さな銃身を盾として

そのまま近くの路地に入り込み、B0risさんの居るビルまで退くことにした。

さっきまで私が立っていた場所は、RINの弾幕掃射により

まさに更地へと変化していくのが退きながら見える。


「ごめんなさい....!あのタイミングならやれるかなって.....。」


ビルまで退避した私は、HPが2割ほど削れていた。

B0risさんは2階部分へ下がってきており、HPも私と同じくらいか

それより少し多く削れていた。


「......俺も完璧だと思った、よく無事に退いてきた。

 しかし彼女ら...俺達の戦い方をしっかり理解しているな。」


「はい....きっと、お互いが私達の情報を共有して

 どう戦ってくるか、どこを狙ってくるかって事を作戦に組み込んでます。

 m1shaさんじゃなくてRINが、先に私が来てるのに気付いてました......。」


私達の間に、数瞬の沈黙が流れる。

考えていても仕方がない、分かってはいるが

どっちのチームも持っていた、お互いの最大の情報......

『1番知っている相手の戦闘スタイル』を満足に共有できていなかった。


「......俺の判断不足だ、気に病むな。

 相手がそれを武器に襲ってくるなら、それすら武器にすればいいんだ。」


「........?いったいどうやって......。」


「考えてる暇はない.....来るぞ!」


──────────────────────────────


「このビルだなァ....1階と2階が吹き抜けになってら。

 足場はあっから2階にいるだろうなぁ.......。」


「階段は1つだけ、私が塞げば逃げられない。

 袋のネズミってやつね、B0risはどっちかと言えばクマだけど。」


「ゴリラの方が似合うんじゃねぇの?

 ........そうだ、良い作戦があるんだけどよォ......!!!」


RINはm1shaに耳打ちをする。

次第に2人はニヤついて、作戦を実行した。


ガン!!!と大きな音を立ててタワーシールドを地面にたたきつける。

そのまま大きい声で吹き抜けに向かってm1shaは叫ぶ。


「入り口は塞いだ!!もう逃げ場はないよネズミとクマぁ!!!

 おとなしく......これで死になぁ!!!!!!!!!」


「吹き飛べェ!!!!!!!」


RINが吹き抜けに向かってグレネードを投げ込む。

1つ、2つ、3つと数が許す限り、何度も何度も投げ込む。

しばらくすれば


ドガァアアァァアアァアァ!!!!


という爆発音が何度も、無慈悲に鳴り響く。

そのままRINは、M60を天井へ...AO達の床に向かって

弾幕掃射を開始した............。


──────────────────────────────


「待ってください......!」


私はB0risさんに声をかける。

ビルの入り口...少し前までRINとm1shaさんが迫っているが

私はRINがこのビルでどう戦ってくるかが分かった。


「RINは、床ごと私達を撃ちぬくつもりです。」


「床ごと....だと.....!?

 AP弾なら確かに理論上可能だが、なぜわかる?」


「『レッドコア』の時に、同じ作戦をして私たちは勝ちました。

 今回違うのは、吹き抜けがあるのと.....階段が1個の事だけです。

 RINは銃を沢山撃つのが好きなんです、そして成功体験もある。」


B0risは少し考えるようなそぶりをし、顔を上げる。


「分かった、それに賭けよう。

 そして......その賭けに勝つことが前提の作戦だ、聞いてくれるか?」


「.....はい。」


私達は声を小さくしながら作戦を練り直す。

きっと戦闘が始まるまで30秒も無いが、その時間で十分だった。

私がやる事だけを聞き、作戦開始を待った.........その時


「ッ!!!グレネード!!!!!!」


そのB0risさんの言葉と共に、ビルを揺るがすほどの大爆発が

一度だけではなく、何度も起こる。


「ッ.....!?B0risさん....!!」


私のその声に返答はなく、その数瞬後

M60の壮大な咆哮と共に、RINからの

床ごと私達を貫かんとする弾幕掃射が始まった。

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