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スカベンジャーズ・イージス・フォルト  作者: みやなぎさん


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第15話:不協和音のディナー

「は........はァ!?!?!?」


個室にRINの怒声が響き渡り、私の耳がキーンと鳴る。

今StriXさんが言った言葉の意味を脳内で反復するが

あまりにも突拍子が無さ過ぎて、私も理解が追い付かない。


「私達と....その2人でパーティを.....?」


「っざけんな!なんでンな口の悪ィ奴と組まなきゃなんねェ!!!

 そっちのデカブツだって私達に帰れっつったよなぁ!!!!!」


RINが凄まじい剣幕でそう叫ぶ。

しかし、向かいに座る少女もまた

心底嫌そうに鼻を鳴らした。


「こっちのセリフだって。

 足手まといのニュービーを面倒見るほど暇じゃないし

 私だって大会優勝するつもりなんだけどぉ~?」


「......連携も取れない彼女らと組むつもりはない。

 何度も聞いたが、俺の答えはNoで変わらない。」


大柄な男もそう言葉を零し、興味なさそうに視線を外す。

互いに嫌悪感を隠そうとしない、居心地の悪い空気。

だがStriXはどこ吹く風で、楽しそうにグラスの氷をカラリと鳴らす。


「まあまあ、僕も君たち全員が仲良しグループなだけじゃ

 なんにも面白くなくて戦う気になれないんだ.......。」


StriXの言葉に被せるよう、少女は言葉を返す。


「でも私らは私らで勝てる、ねぇ?」


「あぁ、彼女らが居なくても

 俺達の人脈でパーティを組めば上がっていける。」


難しい顔をしながら、頭を抱えStriXは言葉を返す。

そんな顔をする彼女を見るのは、きっとこれが最後だろう

そう思うと、こんな空気でもすこし可笑しく思えた。


「だから楽しくないんだって......。

 それに君たちが組まなきゃ、きっと勝ち上がれない。」


「「はァ.....?」」RINと少女がStriXへ詰め寄る。

それを男と私で止めながら、続きの言葉を聞く。


「いいかい?君たちが力を合わせれば

 僕以外のどんなプレイヤーだって敵じゃないと信じてる。

 楽しい勝負がしたい、勝ちたいって気持ちは全員同じだろう?」


「その言葉を信じろってのか?初めて会ってからまだ3日だぜぃ。

 StriXが凄いプレイヤーだってのは知ってる、一緒に戦ったからな。」


RINはそんなことを言いながらStriXへ詰め寄る。

私の制止も振り切り、そのままバン!と机を叩き顔を近づける。


「でも、敵のオメーになんで

 大事なメンバーを斡旋されなきゃならねぇ....。

 勝つなら勝つために、自分が信頼できる強いメンバーを集める!

 それがスカベンジャーの常識だろ!!!」


「初めて意見が一致したね、私も同じ考え。

 こんな初心者のお守りをしながら勝てる程、楽な大会にはならない。

 私だって強い人を知ってる、息だっていくらでも合う。

 わざわざ知らない奴、それもニュービーと組む理由なんて無い!」


2人に詰め寄られている割にはStriXは余裕の表情で

飄々としながら言葉を返していく。

私と男は「もう手が付けられない」とお互いに目配せし

諦めた表情をしながら話を聞き続ける。


「君たちは、自分の実力とチームワークを過信してる。

 僕から言わせればただのごっこ遊びと同じだ。」


「ンだとォ........!!!」


冷たい目をしながらStriXは言葉を紡ぐ。

ごっこあそび、そんなつもりはなかったけど

プロとも言えるような実力者から言わせればそんな物なのかと

すこしだけシュンとしてしまう。


「そんなごっこ遊びをしている中でも、僕に勝てるかもしれない君たちが

 大会の優勝という共通目標の為だけでも手を組んでくれれば

 間違いなく面白いことになると、本気で思ってるんだ。」


「.......その根拠って、あるんですか?」


ずっと話を聞くだけだった私が質問すれば

StriXは自分の目を指さして、にっこりしながら答える。


「僕の目にそう見えた、それじゃ駄目かな?

 ダメだと言われたら賭けても良い、もし負けたら

 大会報酬も名声も人材も知識も何もかも、全て君たちに受け渡す。」


「.......。」


私はいまいち納得がいかなかったが

少女と男は違うみたいで、溜息をつきながら席に戻る。


「......それを言われたら信じるしかない。」


「ホントずるいよねぇこのサド、準優勝じゃなきゃ

 信じなーい!って言えたのにさ。」


「ははは、仮に最下位だろうと

 君たちは信じてくれるさ、僕は知ってる。」


彼女の目には私たちがどう映っているのか

いまいち信じ切れない私とは裏腹に、彼らは心の底から信じてる。

StriXの人を見る目と、文句を言わせぬほどの実力者だと。


「.........いまいち納得できねぇけど、まあいいや。

 それで?私たちの4人で....これから親睦会か?」


「そうだねぇ、親睦会として...と言えば後付けになっちゃうけど

 お互いの実力を確かめるために、2v2の対抗戦でもしてもらおうかな。

 もちろん、メンバーはシャッフルしてね。」


ゲッ、とでも言うような顔を全員がする。

もちろん私も例外じゃなく、再会するまでは戦闘もあるかなと思っていたが

ここに来る道中で雑談したり、ここに来てからの話し合いでも

そんな空気は全く感じなかったので、すっかり油断していた。

RINも私と同じような考えに見えたが、残りの2人は全くの別だった。


「チームシャッフルなんて聞いてないんだけど.....!?」


「確かにメンバーは決めてなかったが

 いきなり即席のチームで戦うと言うのは....どうなんだ?」


2人が抗議するが制止され、逆に言葉を返される。


「じゃあいつになったら、君たちは即席じゃなくチームを組めるんだい?

 いつだってチームの組み始めは即席みたいなもんだ。

 手っ取り早く実力と戦闘スタイルを調べるんだったら

 敵としても、味方としても戦うのが効率的だと思わないかい。」


「たしかに.....!私とRINもいきなりだったもんね。」


「それとこれとは話が!!!....違わないのかぁ?」


「そうと決まれば自己紹介!各々、名前と得意な武器種

 今回使うメインウェポンの発表をしてからくじ引きしよう!」


今日一番の笑顔と元気を発揮しながらStriXは

私達の困惑を知らぬ存ぜぬで話を進めていく。


「はぁ......じゃ、まずは私から。

 『m1sha(ミーシャ)』得意武器は....タワーシールドとSMG。

 アンタにSMGの使い方、教えてあげる。


 今回は手加減するって話だったから、ボロいシールドと

 ハンドガンの【CZ75 Auto】しか持ってきてないけど

 まぁ精々頑張ってあがいて見せてね、ニュービー。」


m1shaが机に置いたのは、塗装が剥がれたりへこんだり歪んだりと

色々ボロボロなタワーシールド、そして予備マガジンをフロントグリップとして

強引に装着した、各所カスタマイズしているがガタが来ている『CZ75』だ。


「分かっちゃいたけど盾使いか......AOちゃ、軽く説明するな。


 盾を装備している間はターゲット補正がブレたり、片手が使えないから

 覗く時不便だったり視界が悪かったりとデメリットは多いんだが.....!

 それ以上に全然弾が通らね!!!AP弾でさえ数十発単位でブチ込まなきゃ

 満足にダメージが入らねぇっていうメリットが盛りだくさん!!!


 AOちゃからしたら天敵だし、これが大体のSMG使い。

 今まで出会わなかったからなぁ...頭の片隅にでも入れときなな!


 そしてCZ75についてなんだけどォ~!!!!」


「うん....分かった、それ以上はいいや。

 よろしくお願いします、m1shaさん。」


ミリタリーオタクの血が騒ぎだす前に、私はRINを制止する。

すこし寂しそうな顔をしていたが、今はそれを聞く時じゃないもんね。


m1shaは挨拶の代わりに、フンと鼻を鳴らす。

次はその横に居た、巨漢の男が名乗り始める。


「『B0ris(ボリス)』だ、SRを好んでいる。

 今回は【B&T APR308S】を持ってきている。

 ......年季が入っているし、俺が持つと小さい銃だが....威力は確かだ。」


B0risが机の上に置いたのは、使い込まれてラバーがボロボロになり

安物だろう固定倍率スコープが載せられたスナイパーライフル『APR308S』

これもカスタマイズされているが、やはりガタが来ているのが見て分かる。


「スイスの名門『Brügger & Thomet(B&T)』が作ったライフルだ。

 折りたたみ可能でかつ頑丈なシャシー(骨格)と、スイス伝統の加工技術...

 多少ヘタッてた所で、腕さえありゃあ関係なしに当ててくるぜぃ。」


「あはは.....ありがと、敵になったら気を付けるね。」


次は遮られまいと、早口でまくし立てるRINに少し圧倒されつつも武器を見る。


2人とも、手加減と言えどしっかりカスタマイズを施し

確実に私達の心をへし折るつもりで来ていたのだと

武器を見れば、詳しくない私でもそう理解するのは容易かった。


「君達の銃も見せてくれ.....。

 彼女は要らないというかもしれないが、公平さを保とう。」


「分かってるじゃんB0ris、でもどうせ拒んでも

 StriXが後からウザイくらいにメッセージ飛ばしてくるだろうし

 大人しく聞くつもりだから大丈夫。


 早く見せて、先ずはそっちの騒がしい方から。」


「ケッ!トリで見せて驚愕させてやろうとしたんだけどなぁ....!

 私はRIN、デカくてゴツい銃をこよなく愛するスカベンジャーだ!!!

 そしてお望み通り見せてやるぜ.....コイツが私の相棒だ!!!!!」


RINはドカーン!と見せびらかすように、愛銃『M60E4』を机に置いた。

昨日からさらにグリップとトリガーをステンレスにし軽量化を施し

黒いボディと各所で煌めく銀色が、獲物を見つめるように輝く。


「コイツは色々とカスタマイズしててなぁ.....!!!

 どこから話してやろうか、どこから聞きたいィ!?」


「「要らない。」」


「AOちゃ~!!!コイツ等ブッ飛ばしてくれよぉ~!!!!!

 チーム分けとかせず2人でボコボコにして6時間くらい

 カスタムについて話すの聞かせようぜェ~!!!!!!!!」


RINがとうとう耐えきれなくなったのか、抱き着いてくる。

「よしよし」となだめつつ、せめて3~4時間で終わって欲しいなあと

私も少しだけ思ってしまう。

そして最後に、私も銃を置いて挨拶する。


「えっと、AOです。

 始めたばかりですけど....SMGが好きです。

 銃は【SIG MPX-K】を使います、よろしくお願いします。」


私も愛銃を机に置く。

RINと共にトリガーの軽量化を施し、今までの黒色から少し変え

黒に限りなく近い深い青と銀色の愛銃が、私の緊張感を感じているのか

はたまた任せろと言っているのか分からないが、少し光って見えた。


「へぇ....MPXね、でもその銃

 ニュービーにはまだ早いんじゃない?」


「だがカスタムは一貫性がある、見事な仕上がりだ。

 取り回しも精度も犠牲にしていない..........。」


まさに飴と鞭、喜んでいいのか悲しめばいいのか

情緒と身体が3人によってゆさゆさと揺られる。


「はい、自己紹介と武器披露は終わりだよ。

 m1shaとB0risのメイン武器は終わってからってことで.....

 チームシャッフルのお時間で~す。」


StriXがパチパチと手を叩きながら

何処にそんなのが売ってるのか、小さな抽選箱を机の中央に置いた。

中に『A』と『B』のカードを2枚ずつ入れ、1人ずつカードを引けば

数秒も経たずにチーム分けは完了する、全員でカードを確認し合うと.....


「「チッ!!!」」


大きな舌打ちが2つ聞こえる。


「AチームはAOちゃんとB0ris。

 BチームはRINちゃんとm1shaだ。」


「よろしくお願いします......。」「......あぁ、よろしく。」

「なんッでオメーと組まなきゃなんねェ!!!」「それはこっちのセリフ!!」


まさに正反対の反応をしつつ、即席の対抗戦チームが完成した。


「いいね、面白くなりそうだ。

 さあさあ、とりあえずはご飯を食べて

 5分の作戦会議時間の後に開始するよ。」


私達は机の銃を片付け、各々食事を頼み始めた。

食べ終われば対抗戦.....緊張感が強くなっていくが

きっと勝てるというRINのいつもの言葉を思い出し、落ち着かせる。


(相手が誰だろうときっと勝てる...だよね。)


運ばれてくる食事をしっかり味わい、対抗戦へ備えた。

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