第13話:宣戦布告
改良した【SIG MPX-K】と【M60E4】を携え
テストレイドに出撃した戦果は、言うまでも無く大成功だった。
1.5-4倍のスコープを取り付けたおかげで
今までは戦えないと思っていた距離も、システムに頼らず
多少は当てれるようになり、近接での取り回しの良さも変わらず
考えていたことを両立させてくれた。
RINの方も言わずもがな、ヘビーバレルとAP弾の相性は抜群で
それを200発全て乱射する大音量の咆哮と弾幕は
敵を遮蔽物もろとも粉砕し、反撃の隙を与えることはなかった。
「ハッハーッ!!!これだよこれぇ!!!!!
私がやりたかったのはこういうレイドなんだよなぁあぁ!!!!!」
ロビーに戻り、2人してホクホク顔で戦利品を整理していた時
私の視界端にポップアップウィンドウが開かれ、短い通知音が2回鳴り響いた。
「ん.....?なんか通知きた.....メッセージ?」
「誰だぁ~?轢いたヤツからの負け惜しみかなぁ~!?
わざわざか弱いAOちゃに連絡なんてぇ....ブッ飛ばしてやるか.....!!!」
「あはは、そんなことないと思うけど....
えっと送信名は..........StriXさん...!?」
画面を見た私たちは驚愕した。
『StriX』つい先日『レッドコア』争奪戦で
過酷な現場の中、圧倒的な知略と狙撃で私達を導いてくれた
このゲームに慣れているRINが、あの後に
「ありゃあタダモンじゃねぇぜ、ラッキーだったなぁ!」
と評価したほどの、凄腕のスナイパー。
「やっぱ報酬くれ、って話なら全然別にいいけども
.........そういうノリじゃあなさそうだぜぃ。」
先に本文を読んだRINはそう言葉を零す。
私もそれに続いて本文を読めば、彼らしい軽薄で
楽し気な文面が躍っていた。
『拝啓 可愛いスカベンジャーさんたち
あれから1日、君たちの事は多少ながら噂になってるみたいだよ。
銃をカスタマイズしている所も、どんなカスタマイズしてるかも
ぜ~んぶ噂となって流れてきてる。
このゲームを楽しんでくれてるみたいでよかったと、心の底からそう思う。
そんな立派なスカベンジャーの君たちは覚えてるかな。
別れ際に「次逢った時は何か貰う」って言ったのを。
約束通り貰う事にした、装備もアイテムも、君たち自身も
一滴残らず、最後まで。
明日の22時に、初めて会った場所でもう一度会おう。
詳しい事はそこで話す、来てくれるって知ってるよ。
StriX』
「相変わらずカッコつけてんなァ.....でも要は
こりゃ宣戦布告ってこったろ、ブッ飛ばしてやんぜ!!!」
拳を打ち鳴らし立ち上がる。
私はその本文を、1文字1文字を噛み締めるように眺める。
(一滴残らず.....やっぱりあの人
ただのスカベンジャーじゃなかったんだ..........。)
あのスコープに映るのは、次は自分。
明確にターゲットとして指名されたことに
恐怖と共に高揚感が身体を駆け巡る。
「にしても初めて会った場所ぉ?
イベントロビーはもう撤去されてっし......。」
「路地裏の配管.....かな。
あそこで初めて会ったんだよ。」
「ならそこだな!うっし!!!
どんな企みだろうが知らねぇ!!直々にツラァ拝んで
直接話を聞いたろうじゃねぇの!!!!!」
「うん、逃げる理由なんてないもんね。」
「おぉ....!!!AOちゃが立派なスカベンジャーに
成長してる.....!!!私ぁ感動した!!!!!!!
っし!明日に備えて!今日は早めに切り上げて弾薬補充だ!!!」
明日の22時、StriXからの宣戦布告。
彼は一体何を期待しているのか、どんな事を企んでるのか
今の私たちは知る由も無かった。
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圏内エリア、メイン通りから裏に入り
入り組んだ先にあるジャンクショップの前。
「わざわざここで買う必要ある?
今持ってる武器でいいじゃん、どうせ何使おうと
何使われようと私達なら負けないって。」
大型のタワーシールドを背負った小柄な少女が
心底面倒そうに歩いている。
隣にはクマのように巨大な体躯、その背中には
さらに巨大なボルトアクション・スナイパーライフルを担いだ男が
重々しくため息をつく。
「.....あの男の言う事だ、言いなりになるのは癪だがな。
それに、何を使っても負けないのなら良いだろう。」
「金の無駄になるのがイヤなの...!」
2人はため息をつきながら、薄暗いジャンクショップの中へと消えていった。




