第12話:『レッドコア』の輝きと『相棒』
「久しぶりにさ、面白い子を見つけたんだ.....。」
僕......『StriX』は席を挟んだ2人にそう話し始めた。
1人は【M60E4】を派手に乱射する、血気盛んな女の子。
もう1人は珍しいSMG使い.....【SIG MPX-K】を操る
物静かで、とてもじゃないけどこの世界は似合わない女の子。
「彼女らはとても愉快で楽しくて.....
この世界じゃ想像もしない戦い方をしてくれる......。」
「ハイエナがそうだって言いたいの?」
右に座る女の子がそう聞く、僕は間髪入れず返す。
「あれは僕の作戦だよ、聞いたことあるか?
上階に敵がいるなら天井ごと撃ちぬこうってヤツら.....。
彼女らだったら広場での戦闘に自ら飛び込んで、無理やりにでも
『レッドコア』を強奪......もしかしたら脱出してたかもね。」
「非現実的だ、あり得ない。
そんな簡単に得られるものじゃないって分かってるだろ。」
左に座るゴリラみたいな男がそう言葉を返してくる。
そんなの無視して僕は話を続ける。
「そんな彼女らと戦いたいんだ、それも真剣勝負。
生きるか死ぬかの、文字通り命がけの戦いを.......さ。」
「その話と私たちに何の関係があるんだよ.....。」
「あぁ......理解した、もう話さなくていい。
答えは決まってる、Noだ、変わることは無く。」
不満を漏らし、席を立とうとする2人を制止する。
僕は彼らが断れないって知っているから、関係なしに話を続ける。
「いいや、手伝ってもらう。
君らが必要なんだ、君らしか居ないんだ。」
2人の嫌そうな顔を見ながら、僕はケラケラと笑った。
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「「かんぱ~~~~~い!!!!!!!」」
私....AOと相棒のRINは、2人で祝勝会を上げていた。
昨日は疲れてすぐにログアウトしてしまい、する暇なんて無かった。
なので、1日経ったが改めてしようという事になり
適当なお菓子や飲み物をそこら辺のショップで買いあさり
RINの個人ロビーで乾杯をしていた。
「1日経っても素晴らしい輝きですなぁ~!!!!」
RINはクリアケースに、大事に保管している『レッドコア』を
うっとりした目で見ながらそう呟く。
私もそれに続き視線を向けるが、昨日と変わらずの輝きに
これを得るまでの壮大な戦いすら愛おしく感じてきた。
「本当に.....大変だったねぇ........。
ぅわ、これ苦い.......なに買って来たの....?」
「ん?オサケ。」
ぶーーーっ!と思わず吹き出す。
いくらVRの世界とは言え、私たちはまだ未成年だ。
私だけでも法律を守ってやろうと意気込み
適当な缶ジュースを探して開けた。
「ふぅ.....これは苦くない.....。」
「それもオサケだよ?」
「だあぁ!!!!!!!!」
缶を投げ捨てる、その缶は跳ねて『レッドコア』が入っているケースに当たり
2人でわたわたしながら傷はないか、大丈夫かと確認した。
幸いクリアケースは頑丈で特に傷も無く、2人でほっと息をついた。
「全部お酒じゃん.....!」「美味しいから良いじゃんか~!」
「まだ私たちは未成年なんだよ?」「VRだから合法です~!!!」
そんなやりとりをしながら談笑し、2人だけの宴会を続ける。
そのままの勢いで他に漁ったアイテムを確認すると
思っていた以上の収穫がある事が確認でき、再度盛り上がった。
「これならヘビーバレルも...クイックチェンジも買い足せる....!!!
それだけじゃない!AP弾だって山のように買えるぜぇ.....!!!」
「私も別のサイトが欲しいなあって思ってたんだ....。
サプレッサーも軽いのがあれば嬉しいし、もう少し軽量化出来れば.....!」
「こうしちゃいらんねぇ....!!!
大・ショッピング祭りを!!!ここに開催する!!!!!」
それからは早かった。
私達は街へ繰り出し、手早く戦利品を売り払い
ガンショップのカスタマイズ画面とにらみ合う。
私も軽くだが知識が付いて来て、まだRINと相談しながらだが
自分好みのカスタマイズを進めていた。
RINも自分好みにM60E4をカスタマイズを進めていく。
私とは比べ物にならないほど手つきは滑らかで無駄はなく
まるで『大金が手に入ったらこうカスタマイズする』と
ハナから決めていたようだった。
カスタマイズが終われば、2人で愛銃の自慢し合いタイムが始まった。
先行は私から......といってもRINに助言をもらっているので
既に知っていることだが、私が銃について話すのが嬉しいみたいで
ニコニコしながら私の自慢を聞いてくれる。
私はカスタマイズした愛銃を
RINに見せるよう前に突き出しながら自慢を開始した。
「サプレッサーは【SilencerCo Spectre 9】っていうのにしたの。
チタン製で小さくて軽い!その分静音性は薄れるけど...
どうせ1人倒すころには見つかってたし変わらないかなって。
ストックも【JMac Customs AB-8R】ってのにしてみた。
カーボン製のベース骨格に、カーボン製のコンポーネントチューブで
今までのストックの半分くらいの重さにできたの。
サイトも【Leupold VX-Freedom 1.5-4x20】ってやつを付けてみたよ。
1.4~4倍だから、15mを多少超えても当てれるだろうし
オフセットサイトで今までのサイトも付けてるから
近距離でも今まで通り戦えると思う....!!!
これのせいで上が重くなっちゃったけど.....まあ、妥協点かな。
これが私の愛銃....さらに生まれ変わった【SIG MPX-K】だよ!」
「ほっほ~!!!私の予想だったら
もう少し大きいマガジンを付けるんじゃないかな~って思ってたけど
いいねぇ!分かってる!マガジンはデカけりゃデカいほど
リロードに時間はかかるし取り回しも悪くなる!!!」
「だからこうしたの、取り回しをさらにしやすくて
かつ軽量、コンパクト.....私成長出来てるかな?」
「出来てる出来てる!!!
とんでもない成長だぜAOちゃ~!!!!!」
その問いにRINは抱き着いてきながら頭を撫でてくる。
ここは個人ロビーじゃないから周りの目がすこし痛いが
RINに褒められて嬉しいのは変わらない事実だ。
「にっしっし、それじゃ私のターンだなぁ....!
ご覧あれ!私のさらに狂暴になった相棒を!!!」
次は後攻、RINの自慢タイムが始まった。
M60E4を前に突き出し、これでもかとカスタマイズされた銃を
我が子のように饒舌に、愛情をもって語ってくれる。
「まずはバレル!いくら乱射しても熱暴走しないように
頑丈なヘビーバレルと、それでも熱を持ち過ぎた時用に
バレルをすぐ交換できるクイックチェンジを搭載!!!!
その為にほら!グローブだって耐熱仕様のにしたんだぜ!!!
そうなりゃ反動抑制.....ってことで金属製のヘビーバイポッド!
これで自他共に動く要塞の完成じゃあ!!!!!」
「うわぁ.........」
ドン引きする私をよそに
RINはサイト部分をトントンと叩き話を続ける。
「サイトは中距離も対応できるように
【EOTech EXPS3】と【G33 マグニファイア】をセット!!!
普段は視界が広く等倍で、すこ~し距離があるなって思ったら
このブースターを....横からカチャッ!っと倒せば3倍に切り替わる!!!
遠くを狙撃するつもりはないからねぇ!中・近距離でバラまくなら
これが一番効率的だし楽なんだよね!!!!!」
「そんなのもあったんだ....私もそっちにすればよかったかな...?」
「んにゃ、本当の緊急時にゃオフセットの方が楽なもんよ~!
銃を斜めにするだけで完結するからにゃあ!
そして仕上げは【200発キャンバスベルトボックス】と..........
ばばーん!!!買い足した【7.62×51mm AP弾】だ!!!!!
もう遮蔽なんて関係ねぇんだ!まるごとハチの巣にしてやんぜ!!!
これが生まれ変わった私の【真M60E4】だ!!!!!!」
「うわぁ.........絶対敵にはならないでね。」
「ならねぇよ~!!!私とAOちゃは親友だろ~!!!!!
親友に銃を向ける程腐ったスカベンジャーじゃねぇよぅ!!!」
肩を組まれ揺さぶられる。
私はそれを受けるがままにして、RINの話を聞いていた。
「私の中距離援護と、AOちゃの超近距離攻撃.....!
いまの私たちに隙なんてねぇ!誰だって敵じゃないぜ!!!」
「そうだね......!
次もその次も.....全部勝とう、相棒!」
生まれ変わった愛銃を手に私たちは、顔を見合わせて笑い合う。
次のレイド先を決めながら雑談して出撃し、いつもの日々がまた始まった。




