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俺は、自分の血が燃えるまで、自分の手首を締めつけなければならない『残響の追憶』  作者: Fuuji


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第4話: 赤い門

おはようございます!! 今日の章、楽しんでいただけたら嬉しいです!!

雨は弱まっていたが、止んではいなかった。赤みを帯びた水が泥の上を細く流れ、むき出しの木の根の間へ消えていった。


フクロウは根に手をつき、立ち上がろうとした。膝が折れた。歯の間から悪態を漏らし、もう一度立ち上がろうとした。耳から流れた血は雨に混ざった。フクロウは手の甲で口元を拭った。指先は赤く染まっていた。


カグラマはすでに立っていた。脚はまだ震えていた。泥は服にも髪にも頬にもこびりついていた。腫れた目は、指の間でくしゃくしゃになった肖像画から離れなかった。親指で、曲がった鼻筋をなぞった。一瞬だけ、王都の病院に漂っていた樟脳の匂いが戻った。次の瞬間には、雨の匂いしか残らなかった。


もう片方の手には、フクロウから受け取った紫色の野花が握り潰されていた。濡れた皮膚に花弁が貼りついている。少年は紙を丁寧に畳み、胸元へしまった。


フクロウはその仕草を見たが、何も尋ねなかった。目の周りの肌は白く、虹彩まで色を失いかけていた。薄くなった手首の皮膚の下では、黒い血管が浮いていた。彼は泥に血の塊を吐き、小屋へ目を向けた。


窓が一度、ばたんと鳴った。中で二つの影が後ずさった。


「カグラマ……あの子たちを」


血が喉までせり上がっているせいで、声は水を含んだようにくぐもり、かすれていた。カグラマはフクロウの喉を見てから、窓へ視線を移した。


(あとで聞こう。)


「おい、二人とも!」カグラマが叫んだ。最初の声はかすれた。彼は喉を鳴らし、もう一度呼んだ。「出てきて。村まで送るから」


扉がわずかに開き、念珠売りの女が顔をのぞかせた。少女は女のスカートをつかんでいた。


「行こう、ユキ」女は娘と目の高さを合わせた。「この人たちが村まで送ってくれる。あたしは信じてるよ。おいで」


ユキは母親を見て、それから男たちを見た。三つ編みが頬に張りつき、前髪の先から雨粒が鼻先へ落ちた。


「うん……」


念珠売りの女は上着を脱ぎ、ユキの肩にかけた。それでも少女は母親のスカートを離さなかった。


外の野原は、何かに噛み砕かれたようだった。折れた木々、掘り返された泥、雨に薄まる血。鬼神の棍棒は地面に残っていた。死体はなかった。空中には、細い血の十字架が揺れていた。雨はその線を通り抜けても、消しはしなかった。四人のうち、誰もそちらを見なかった。


ユキが近づいたとき、上着が肩からずり落ちた。フクロウは手を伸ばし、少女のうなじが隠れるように布を引き上げた。それから、何事もなかったように自分の袖口を直した。


カグラマは左腕をフクロウの胴に回した。フクロウの右腕が少年の肩に落ち、左脚はほとんど地面につかなかった。


「声が出ないんだ。喉を……」カグラマは言葉を切り、フクロウの肩を握り直した。「行こう。暗くなる前に村へ着かないと」


戻る道は、来た道しかなかった。杉が左右から枝を伸ばし、足元の泥は一歩ごとに靴を飲み込んだ。


* * *


雨は冷たい霧に変わった。木々の向こうが白み始めても、彼らはまだキキリス村への道の途中にいた。


念珠売りの女はユキを背負っていた。カグラマはフクロウを支え、フクロウはようやく左のブーツを地面に引きずれるようになっていた。少年の肩は、歩くたびに震えた。息は鼻から短く漏れていた。


(俺の体重、全部こいつの肩に乗ってる。悪いな、カグラマ。)


血は、いつまでたっても体の動きに追いつかない。血を刃に巡らせる方法を教えた爺さんなら、制御が足りないと言うだろう。母さんなら、食べるものが足りないと言う。ばあちゃんは鍋をかき回しながら、母さんに賛成するに決まっていた。


「二人とも大丈夫ですか?」カグラマはまだ息を切らしていた。「それと、あの子の名前は?」


念珠売りの女は背中のユキを抱え直した。


「ユキ。あたしの娘。あたしたちは大丈夫。でも、あんたの友達は医者が要る。村に着いたら宿屋のお婆さんを訪ねな。案内人の手当てには慣れてるから」


「さっきの鬼神は?」


女は来た道を振り返った。娘の脚を抱える腕に力がこもった。


「あいつは村の人間を一人選んで、突然現れる。案内人たちは、あいつを狩りに来る。でも、ほとんど戻らない。腕をなくした人も、脚をなくした人もいた。今日はユキの番だった」女は鼻から息を吐いた。「あんたたちのおかげで、あのクソ野郎に娘を連れていかれずに済んだ」


女はもう一度カグラマを見た。顔についた血は、黒い染みになって乾いていた。


「ごめん。あれがお父さんだなんて知らなかった。でも、いなかったことにはできないよ。あいつはこの辺りで、あまりに大勢を殺した」


カグラマは服の下にしまった肖像画へ目を落とした。親指が、曲がった鼻の上で止まる。


「謝らなくていいです」


少年は紙を丁寧に畳み、道から目をそらさずに胸元へしまった。背中のユキは、もう目を閉じている。


「僕は邪魔をした」何歩か進んだあと、カグラマが言った。「次は、立ち止まらない」


フクロウは少年の肩に頬を押しつけたまま、首をわずかに振った。


「二人をあそこから連れ出した。それだけで、たいていの案内人より役に立ってる」


「僕は呼んだだけです」


「じゃあ、次はもっと大きな声で呼べ」


カグラマは鼻で短く笑った。笑顔にはならなかった。念珠売りの女が肩越しに少年を見る。


「この人の言うとおりだよ。あんたがいなかったら、あたしもユキもここにいない。ありがとう」


ユキは何も言わなかった。母親の肩に顔を埋めたまま、村に着くまで黙っていた。


* * *


八時前、キキリス村の最初の家々が木立の間に現れた。泥まみれの四人を見て、通りの人々は足を止めていた。宿屋から老婆が駆け出してきた。手には、まだ濡れた前掛けを握っていた。


「何があったんだい? ユキは無事かい? そっちの若いのはどうしたんだ。さあ、手当て小屋へ。ベッドもきれいな水もあるよ」


誰も答えなかった。念珠売りの女が先に入り、背中で眠ってしまったユキをベッドに寝かせた。茶色い毛布を顎まで引き上げた。


カグラマはフクロウを隣のベッドへ運んだ。腕を肩から外しても、フクロウの指はもう一秒、少年の服をつかんでいた。それから、ゆっくりほどけた。


老婆はフクロウの脈を取り、耳の血を拭って顔をしかめる。


「脈が、泥に車輪を取られた荷馬車みたいに遅いね。顔色が悪いのは前から気になってた。貧血かと思ったけど、脈のほうが妙だ。似た症状の人をもう一人見たことがあるよ……ずいぶん前で、名前は忘れたけどね。傷を縫って寝かせておく。二、三日だ。勝手に起き上がらなければね。耳からまた血が出たら、すぐ呼びな」


「ユキは?」念珠売りの女が尋ねた。


「熱がある。あの子も診るよ。ほら、そこを空けておくれ」


カグラマはベッドのそばに残り、フクロウの顔を見つめた。老婆に水を取りに行かされ、戻ってきたときには、フクロウは眠っていた。口の端には、乾いた血の筋が残っていた。


母親に「三日三晩で戻る」と約束したことを思い出し、カグラマは紙切れに短く書いた。伝言をカラスの脚に結んだ。


(僕は無事です。フクロウの回復には数日かかります。動けるようになったら王都へ向かいます。話したいことがあります。)


カラスは雨の中で羽ばたき、屋根の向こうへ消えていった。


薬草と湿った布と、薄いスープの匂いの中で日が過ぎた。老婆がフクロウの包帯を替えるたび、彼は縫い目に悪態をついた。ユキはほとんど眠っていた。四日目、フクロウはようやく自分の足で立ち上がった。


「倒れても、僕は運びませんよ」カグラマが言った。


「道中ずっと運んでたくせに」


宿屋の老婆は二人の言い合いを聞き、村の端に止めてある荷馬車を指さした。母娘を助けた礼に、王都まで使っていいと言う。


* * *


荷馬車は後ろが開いた造りで、石道を進むたびに車輪がきしんだ。朝日が首筋を温めていた。草むらではコオロギが騒ぎ、空気は本格的な暑さの手前で、少し重たかった。カグラマは服の内ポケットに手を当て、畳んだ肖像画の角を確かめていた。


フクロウは荷台の壁にもたれていた。喉はまだざらつき、左耳には綿が詰められていた。それでも、人差し指は手首を叩いて拍動を数えていた。


「さっきの、あの声」カグラマが言った。「溺れてるみたいだった。何があったんです?」


「血が喉まで上がった。詩句を放つために周波数を上げすぎた」


「それで死ぬことも?」


「教えてくれた爺さんは、そう言ってた。血が必要なところへ行かなくなる。はい、授業終わり」


カグラマは自分の手首を見た。指を閉じ、また開く。


「教えてください」


「嫌だ」


「考えもしなかったでしょう」


「血を変なところへ流せば目が見えなくなる。心臓の拍が狂えば、脳がパニックを起こして爆発する。そんな危ないことを教えられるか。俺に教えた爺さんを探せ。俺も鍛え直したい。知ってるのはそいつと、この刀をくれた案内人だけだ」


「じゃあ、その人のところへ連れていってください」


フクロウが顔を向けた。歪んだ眼鏡の奥で、色の薄い目が少年を測る。


「本気で案内人になりたいのか?」


カグラマは、服の下の肖像画を握った。


「もう、立ち止まって見ているだけは嫌です」


フクロウは鼻から息を吐いた。


「道は見た目ほどきれいじゃない。俺だって、母さんとばあちゃんと王都に住めるなら、とっくにそうしてる。金が足りないし、村との間には鬼神も出る。いつか二人を連れていくために、ちまちま稼いでるんだ」


「それなら、道に出るのをやめればいい」


「目の前で子どもが潰されるのを見てろって? 俺は英雄じゃない、カグラマ。見ず知らずの人のために死ぬ気もない。でも、あの二人はそこにいた」


車輪が石に乗り上げ、荷台が大きく跳ねた。フクロウは側板をつかみ、顔をしかめてからカグラマへ手を出した。


「ところで……俺の1,800キスは?」


カグラマの笑顔は一瞬で消えた。


「街にも着いてないのに、もう金ですか? この守銭奴! 着いてからです」


「聞こえたのは『着いたら』だ。『俺が着いたら』じゃない」


「うるさい」


フクロウは街道へ顔を向け、カグラマの声を真似て「この守銭奴」と繰り返した。手まで大げさに動かす。


カグラマは荷台の床に転がっていた小石を拾い、フクロウの額に投げつけた。


「痛っ。額だぞ!」


「狙いましたから」


* * *


正午を少し過ぎたころ、荷馬車はクロヤ国の王都へ入った。


街道の滑らかな石畳は、煤に汚れた黒い石へと変わった。木々の合間の暗がりを抜けたあと、先に襲ってきたのは音だった。古い車が轟音とともに前方の道を裂いていく。荷馬車はまっすぐな道の端に停まった。その先に車の行き交う大通りが横たわり、その向こう――小さな建物の間に、巨大な赤い門がそびえていた。


フクロウの左手では、小型の建物や家々のあいだを、車が右へ左へと行き交い、右手では二本の道がY字に別れていた。


荷馬車を降りたカグラマは、大通りの端の歩道の右手を見て、息を呑んだ。


横断歩道の狭い歩道に、数人の人間が幽鬼のように立ち尽くしていた。乳白色に濁った目、半開きの口。寒さも感じないのか、ただ虚空を見つめている。王都の住人たちは、彼らを路地裏のネズミのように、歩調を緩めることもなく通り過ぎていく。座り込んでいる者さえいた。


「あれは……」


「『空殻(ウツロ)』だ」フクロウが喉を押さえ、乾いた声で言った。「大事な人間の記憶を鬼神に喰われ、心が壊れた連中だ。王都じゃ珍しくもねぇ」


カグラマは服の下の肖像画を、紙の端が手のひらに食い込むほど強く握った。あの時、奴が父さんを描いていなければ、自分もあの歩道に立っていたかもしれない。背筋を氷のような悪寒が走った。


二人は大通りを渡り、向かい側の歩道へ上がった。赤い門はもうすぐそこだ。歩道は狭く、それでも人通りは絶えなかった。その時だった。


身長およそ一メートル八十九センチ――二メートルに迫る長身の人物が、フクロウに強くぶつかった。鞘が彼の脚に当たる。


「どこ見て歩いてんだよ、変な青白いガキ」


女の声だった。顔の大半は、フード付きの毛皮の外套に隠れて見えない。垂れたまぶたと、内側から吊り上がった眉のせいで、死んだ魚が怒っているような目をしていた。


フクロウは口を開いたが、喉の奥から黒い血がせり上がり、むせて咳き込んだ。女は舌打ちし、もう人混みに紛れていく。


「今の人、誰です?」カグラマが尋ねた。


「知らん。それより、1,800キスだ」


「血を吐いてるときまでお金のことを考えるんですね」


「血じゃ直らねぇんだよ、喉も、このナマクラ刀もな。王都の地下でモグリの医者を探さなきゃならねぇ」


フクロウは手を出した。カグラマは硬貨が入った革袋を渡す。


「護衛、ありがとうございました」声は小さかった。彼は服の上から肖像画を押さえた。「絵も。母さんに見せます」


フクロウはキスをポケットにしまった。


「濡らすなよ。同じ鼻を二度も描く気はない」


カグラマは一礼し、歩道の左へ進んで、自宅へ続く赤い門の下へ消えていった。


フクロウは左手の赤い門と、その向こうに黒い煙に沈む王都の裏路地を見やった。左耳はズキズキと痛み、喉は焼けていた。それでも、悪臭漂う地下街へ重い足で降りていった。


「さて……ヤブ医者が起きてりゃいいがな」



こんにちは、皆さん。投稿が遅れてしまってごめんなさい。大学のことを片付けていて、ようやくお届けできました!!

第4章、楽しんでいただけたでしょうか。ぜひ感想をコメントで聞かせてください。つまらなかった? 面白かった? カグラマとフクロウの二人の関係、気になりました?

よろしければ星の評価(ポイント)もお願いします!!

それでは、良い週末を。明日19時45分に、遅れずに投稿します。ではでは!!

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