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黄菖蒲

漢字を作ったのは男性だと思う

好きという漢字は女の子と書く

花言葉は誰が作ったのだろう

あれから数日

彼も落ち着いてきたようだ

常に何か調べ物をしているが

何かやりたい事を見つけたのかもしれない


「おかえり」


仕事が終わると彼の待つ家に帰る

そしてこの言葉で肩の力が抜けるのだ


「ただいま」


仕事で使った物を

机の下に置き首を回す

今日はイレギュラーなことが多く

疲れていた


「ご飯食べる?」


彼が来てからご飯は彼に任せている

結婚している人達は

こんな生活をしているのだろうか

そんな事を思いながら彼に言う


「お腹すいたから持ってきて」


彼は笑いながら

4品程の料理を持ってきた

どの料理も味付けが私好みだ


「そろそろ買い物行かないとだ」


冷蔵庫の中の物も少なくなっていた

ほとんど飲み物しか入っていない


「明日買い物に行こうか仕事休みだし」


ご飯を食べながら彼に言う

彼は少し考えた後

携帯を見せながら言う


「ここ行こうよ」


彼が見せてきた場所は

品揃えが評判がよく

気になってはいた場所だ


「行ってみようか」


私も興味があったのだ

職場の人からも聞いていた

他にはなくてもここに行けばあるとの事


「じゃあ明日起きたら行ってみようか」


車15分程で着く場所だ

別に遠くもない


「そうだね」


近くにご飯が食べれる場所もいくつかある

昼食をそこで食べてから向かってもいい

昔からあるご飯屋さんで

私達も学生時代に行っていた場所でもある


「お昼はあっちで食べようか」


彼もそこに行く気ではあったようだ

近くになったら決めたらいい

彼と私の食の好みは同じなのだから


「今日はもう寝るよおやすみ」


彼にそう言うと

私は自分の部屋に帰る

疲れている時は寝て体力を回復する

昔から私はそう決めている


「おやすみ」


それが今日の最後耳にした声だった

次の日私が起きると彼はもう起きていた


「おはよう」


お互いに寝起きで挨拶をする

私は寝起きが悪いが

彼は寝起きがいい

朝からテキパキと動く彼を見て

羨ましく思う


「準備したら行こうね」


私は朝風呂に入った後

髪を乾かしながら彼に言う


「別に逃げないしゆっくりでいいよ」


彼はそんなことを言いながら

本を読んでいた

彼は昔から読書も好きなのだ

自分の知らない言葉や物語が広がるという

不思議な感覚が好きらしい

私には例え方が難しくて分からないが

日本語は綺麗なんだそう


「昔から訳分からない本好きだよね」


彼に言うと彼は本を見ながら言う


「秋に桜って書いて秋桜って綺麗だよな」


質問の意図と違う答えが返ってくる

漢字が綺麗って感性が難しい

彼は言葉遊びも花言葉も好きだし

ロマンチストなのだろう


「私は難しい事が苦手なんだよ」


彼は本に栞を挟み

そっとテーブルに置く


「綺麗な事は理解が難しいから綺麗なんだよ」


こうなると彼は難しい

しばらく言葉遊びが始まるのだ


「花言葉は?」


難しい話をする前に私は彼に聞く

ここで止めておかないと

長い時間難しい話をする


「向日葵と黄菖蒲が好き」


昔彼から聞いたことがある花とは変わっていた

昔彼が好きだったのは別の花だった


「青い薔薇には飽きたの?」


彼は言う


「人の手で作られた事を知って絶望したから」


そう言う発言が厨二な所は

昔と変わらない

彼は好きな事には真っ直ぐだけど

稀にこうなる


青い薔薇の花言葉は

奇跡 夢が叶う 神の祝福

有名なのはこの3つだったはずだ


人の手によって作られた

そんな花から考えられた花言葉にしては

全て希望に満ちた花言葉だった


彼は人工で人の欲で作られた花に

なんの希望があるのかと

そんな事が言いたいのだろう


「そろそろ出るよ」


彼と話をしながら準備をしていた私は

ゆっくりしている彼に言う


「分かったよ」


2人で家を出て車に乗る

車の駐車場の隅では白い紫陽花が咲いていた

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