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壊れない気持ちの探し方

まだ見えない君

もういいかい

まあだだよ

朝起きると彼はパソコンを見ていた

メモを取りながら画面を見ている

私が知っている彼はパソコンの使い方に

詳しい人ではなかった

そんな彼が慣れた手つきで

使っている事に驚いた


「おはよう」


私は寝癖の着いた髪で彼に挨拶をする

彼は昨日の事がまるで無かったかのように

ヘラヘラしながらいう


「おはようすごい寝癖だな」


私は髪の毛を伸ばしている

髪を下ろせば誰かと目が合う事がなくていい

誰かの目を見て喋るのが苦手なのだ


「髪の毛を伸ばしてから凄いんだよね」


そんな会話から今日は始まった

彼はパソコンを閉じ

メモをパソコンの上に置いた


「箸の使い方思い出したわ」


彼は朝ごはんを準備してくれていた

料理を覚えたのは

昔元カノが風邪を引いた時

何も作ってあげられない事に

自分で自分が嫌になって

独学で最低限のものは作れるようになったらしい

昔酔った時の電話で彼が話していた


「それはよかった」


簡単な和食の朝ごはん

何か気を紛らわすような

そんな事を探した結果なのだろう


「いただきます」


彼の作る朝ごはんは

私の好きな味付けであり

量も丁度いいものであった


「パソコンなんて使えたんだね」


そんな事を彼に聞く

私はあまり使った事が無く

彼も使わない人だと思っていたから

とても不思議だったのだ


「初めに就職した会社で覚えたんだよ

慣れなかったけどどうにかね」


初めの会社もろくでもない会社だったらしい

彼が体調を崩し診断書を会社に持って行った時に

彼の診断書に書いてある

慣例性がある病気という欄から

彼を不真面目で遊び癖のある人間だと

上司が面白おかしく話のネタにしていたのだ

彼は怒り上司の座っている椅子を蹴り文句を言い

その日に辞めたと笑っていた


「どんな場所でも学ぶ事はあるんだな」


彼は笑う

あの時も大変だった時を乗り越えて

やっと普通の生活をしようとしていた矢先だった

私は彼の上司を殴ってやりたかった

そんな私を彼は止めたのだ


「人は人に対して暴力をふるう

という選択をしたら動物と同じ」


彼が昔から言っていた事だった

そんな彼は誰かに自分から手を出す事はなかった

どんな状態でも会話で終わらせようとした

殴られても蹴られても耐えて話をしていた事もある


「人は恐怖で支配されると

相手に仕返しをする生き物だから」


昔彼が言っていた言葉は

今も頭の片隅にある

どんな選択をする時も

彼の言葉を思い出してから行動するように

私も気をつけている


「今日仕事は?」


彼は何かしたいのだろう

そんな事を思いながら返事をする


「今日は遅くていいんだってさ」


いつもより遅い時間に出る事もある

出勤する時間も

ある程度融通が効く会社なので

私は自分が無理のない状態での

シフトを組んでいる

無理なく自分のリズムで生きるのが

私には合っているのだ


「そうかそれならドライブ連れて行ってよ海まで」


彼はケラケラと笑いながら言う


「好きだね海が」


私もケラケラ笑う

落ち着くのだろう波の音が

落ち着くのだろう海の匂いが


「準備して行こうか」


そう彼に言うと準備を始めた

彼はこれでいいのだ

私もこれでいいのだ

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