絵の中に入る
綺麗な場所に行くと
まるで絵の中に入った気持ちになる
誰と行くかでその物語は変わるだろう
モネの池
別名は名もなき池
そんな場所に興味を持った彼と
今日は遠出の予定だ
「楽しみだなあ」
彼は朝から上機嫌だ
私はモネも詳しく知らないし
何かを見て感動するという事も
他の人よりは少ないので
何とも言えない感情ではある
「少し距離があるから途中で運転変わってよね」
そんな事を彼に言い
準備をしていた
「途中お腹空くと思ってサンドイッチ作ったよ」
彼は楽しそうに
お手製のサンドイッチを見せてくる
「途中どこかで食べたらいいじゃない」
私はその土地に行くと
その土地で有名な物を食べて
旅行気分を味わいたくなる
「早めに行かないといけない理由があるのさ」
彼がそんな事を言うものだから
彼に合わせてあげようと思い
「分かりましたよ」
と言い彼と車に乗り込んだ
目的地までは少し距離がある
途中で飲み物だけ買って
あとはこれを食べればいいか
「それじゃ行きましょうか」
彼との日帰り旅行が始まったのだった
車の中で彼は珈琲を飲みながら煙草を吸い
窓の外の景色を見ていた
「この道で合ってる次は左だね」
彼が携帯で道を確認しながら
ナビをしてくれる
この車のナビは古いから
携帯の方がより正確だそうだ
「そろそろ食べようよこれ」
彼が作ったサンドイッチを食べながら
運転する私はふと気になった事を聞く
「モネの池って何があるの?」
彼は少し考えて
「俺にも分からないんだ」
そんな事を言う
何故彼は行きたいと思ったのだろう
「あくまでもモネの睡蓮に似ているだけで
その場所とは違うんだけどさ」
彼は煙草を吸いながら続ける
「実際に見てみたかったんだよね」
彼の好奇心なのだろう
流行りの場所や物が嫌いな私
彼は独自の感性が強い
私は特に何か好きだと言う事はない
「不思議じゃないか?似ているって」
クロード・モネの代表作である睡蓮
日本で見て書いたものでは無い
それなのにその名前がつく理由
そこに興味を持ったのだろう
「偽物って事じゃないの?」
私はそう解釈してしまう
それなら本物を見るべきではないか
そう考えてしまうのだ
「誰かが似ていると言い周りがそれに共感した
それってどういう事か分かる?」
「いや全くわからないかな」
彼はそこが気になるのか
私には分からないが彼は言う
「有名な人間がそう言ったから皆そう思ったのか
本当にそう思ったのか気になった」
自分で見て確かめたかったという事だろう
彼は多数決という決め方が
昔から嫌いだと言っていた
「それだけが理由なの?」
そう言うと彼は
「もう1つは好きなアーティストの出身が
その県だからって言うのもある」
彼が好きなアーティストは
確かにその場所が出身ではあった
「気になる事が2つ解決できるじゃないか」
今回彼が気になっていたのは
モネの池は本当に噂通りの場所なのか
好きなアーティストはどんな場所で生まれ
その感性を磨いたのか
の2点という事だろう
「周りの人間の感性も知れる
自分の感性も磨ける一石二鳥じゃないか」
彼は好きな事に関しては
深く突き詰めるタイプだ
今回の旅は私は私で楽しみを見つけないとな
そんな事を思いながら
そのアーティストの曲を聞き
今回の目的地に向かう
「なんか楽しい旅になる気がするんだ」
そんな事を言う彼に
私はヘラヘラと笑いながら
「帰りは運転してよね」
とはっきり言った
彼は嫌そうな顔をしながら
「分かりましたよ」
と言う
旅行の楽しみはいつもの現実から少し離れる事
いつも同じ顔の人間達では無く
全く知らぬ土地で初めての人と出会い
新しい経験をする事だと思っている
「そろそろ着くみたいだ」
彼と私はこの旅で
何か素敵な出会いがあるだろうか
そんな事をお互いに思いながら
車を降りたのだった




