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箱の中に映る景色

本当はこの中は別の世界で

この世とは別の世界があって

そんな事を考えて見ていた事がある

彼との生活を初めて

今日で何日目になるだろう

私は湯船に浸かりふと考えた


「前よりは元に戻ってきた気がするんだけどな」


記憶を辿るように

様々な場所に行った

そして新しい物を見て

彼も最近は落ち着いている


「珍しく長風呂してしまった」


体を拭き

タオルを首にかけ

部屋に戻る


「長風呂なんて珍しいから中で寝てたのかと思った」


彼はパソコンを閉じ

私の髪を乾かしながら言う


「体を動かすのがしんどくてね」


湯船に浸かり過ぎると

私は体を動かすのがしんどくなる

あまり長風呂はしない人なのだ


「疲れてるんじゃないか」


彼は私に言う

そうなのかもしれない


「仕事と家の往復だからね」


休みの日以外は皆そうなのだろうけど

たまには違う景色を見ないと

疲れが取れないのかもしれないな

そんな事を思いながら

彼のドライヤーの音を聞く


「たまには別の道から帰るのもいい気分転換だよ」


彼はそんな事をいいながら

私の頭を軽く叩いた


「そんなものなのかな」


少しの事で気分転換になるなら

そんな事もありかなと

考えながらテレビを見ていた


「本当に最近のテレビはつまらないな」


私が独り言を言うと

彼は言う


「昔よりコンプライアンスが厳しくなったんだろう」


昔はもっとバラエティが楽しかった気がする

今はクイズ番組やグルメ番組で

過激な発言もなく

全年齢見やすいようになっているのだろう


「テレビ離れする人達の気持ちも分かるよ」


私はテレビっ子だった

バラエティで笑い

歌番組で好きな曲ができ

アニメを見て感動していた


「歳をとったのかもね」


彼が言う事も一理あるが

最近の子供達はテレビを見るより

他の目的でこの機械を使うと聞く


「全て大人の都合で

子供から娯楽を奪っている気がする」


彼は笑う


「珍しいね君が自分以外の

その他社会に興味を持つなんて」


そんなにおかしい事だろうか

そう考えると私は自分の世界より

外の世界に無関心だったのかもしれない


「君は昔から色んな事に無関心だったからさ」


彼は続けて言う


「もっと色々な事を経験してもいいかもしれないね」


そんな歳だろうか

私は私なりに色々経験してきたはず

でも生まれてからずっとここにいる

経験値が他の人より少ないのだろうか


「色々経験してるはずなんだけどなあ」


彼に言うと彼は珈琲を飲みながら

携帯を操作してこう言う


「モネの池って行った事ある?」


モネの池とはどんな場所だろう

私は何も分からないそれについて

彼に聞こうとした


「見た方が早いよ今度行ってみて」


彼から珍しく雑な言葉が出た

彼は何かを伝えたかったのではないのか

そんな事を思いながら

私も携帯を操作する


「遠くない?」


調べてみると少しここからは遠かった

それでも彼は勧めてくる


「明後日休みだし行ってみようか」


押しに負けて行ってみる事にした


「俺も連れていってね」


彼はそれが目的だったのだろう

完璧にやられた


「行った事あるんじゃないの?」


彼はニヤニヤしながら言う


「行ってみたかったんだ」


彼はそれだけ言うと

自分の部屋へ帰って行った


「気にはなるけど遠いよなあ」


煙草を吸いながら呟くと

その部屋では私の言葉が

タバコの煙と一緒に消えていった


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