表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【祝25万PV】転生式異世界武器物語 〜剣闘士に転生して武器に詳しくなるメソッド〜[月水金17:30更新・第二部完結済]  作者: 尾白景
上位闘士編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
202/213

18話 サプライズ

「さすがは評判の闘士ヘリオン様、お目が高い。こちらは西方のカルタヘナより運び込まれました“ガルム・ソキオルム”最上級の魚醤にございます」


「とてもいい匂いですね。では、こちらをマンティさんに―――」


「ヘリオン様、このような品を私にまで⋯⋯感謝のしようもありません」


「いつもお世話になっていますから。たまには受け取ってくださいね」


 隣家カルギス家の側仕えであるマンティさん。

 彼女が最近、広場で知り合ったという商人『スプラウス』が宝飾品を扱っていると聞き、日頃お世話になっているお返しにパティアとオドリーへのプレゼントを買い求めようとしたのだが―――


 スプラウスは二十代後半の聞き上手な美青年。

 貴族のお姉様方にウケそうだと思ったが、ダモンさんやトリトスさんにまで気に入られてしまった。

 おかげで気づけばすっかり話が大きくなってしまい、ブルトゥス訓練所の客間でド派手な販売会が催される事となった。


 皆で買い物というのも楽しそうだったが、なにせ、パティアとオドリーへのプレゼントである。

 ここはひとつ、サプライズでプレゼントを用意したい。



「お子様への高価な贈り物でしたら、笛などいかがでしょう。パンフルートやアウロスは喜ばれますよ」


 パンフルートというのは、長さの違う木笛を何本も繋げた縦笛で、アウロスはリコーダーが二つ繋がった笛だ。

 オドリーが吹き鳴らす姿はさぞ可愛らしいに違いない。だが、しかし……


「この笛で叩き起こされるのはゴメンだな」


 悪意など欠片もなしに、早朝からニコニコ笑顔で叩き起こしにくるオドリーの姿が容易に想像できてしまった。


「コホン⋯⋯彼女は背伸びしたい年頃の女の子なので。そうだな、身につけられる物が良い。髪飾りとかあります?」


「もちろんです! 少々お待ちくださいね」



 シルクロードを通ってクシャーナ朝(インドの事だろうか?)から届いたという逸品のブローチを二つ。

 美しく柔らかな布に包まれたそれ(・・)を優雅な手つきで音も立てずに、机に並べて見せてくれる。


「ひとつは、アイギュプトの名工が象牙(エボリス)に沈め彫りで丹念に彫り上げました。お子様にも人気の、兎をモチーフにしています」


 現代ではすっかり見かけなくなった“象牙”だが、昔は印章や装身具によく使われていた。

 なるほど、この()は確かに美しい。


 ―――でもちょっと、バースとは相性が良くない気がするなぁ⋯⋯俺が。


「もう一つは、パルテナスの職人が丁寧に仕上げました伝統のシェルカメオ(貝殻の浮き彫り細工)でございます。

 小ぶりではありますが中央に“月の雫”と評される真珠(ペルラ)を配置し、それを抱くように精緻なトカゲの浮き彫りがあしらわれた⋯⋯」


「こっちにします!」


 バースと『おはぎ』なら比べるべくもない。

 真珠も可愛いらしいし、決定!



 さてと⋯⋯問題はパティアへのプレゼントだ。


 彼女には試合で救われた事もあれば、共に危険をくぐり抜けた経験だって一度や二度じゃない。

 良い雰囲気になった時も少しはあった⋯⋯よな?

 気の所為ではないはずだ。


 現代より貧富の差がはっきりしているだけに、どうにも踏ん切りがつかずに腰がひけるが、好意は伝えたい。

 彼女は貴族な上に大使なんていう重責を担うエリート。俺なんかのプレゼントを喜んでもらえるとは、とても思えないが―――


 いやいや、こういうのは気持ちが大事っていうし。


 ―――ホントに?


 うむむ、ここは無難に消え物(・・・・)がいいんじゃないだろうか⋯⋯


(匠、お前はうじうじ(・・・・)しすぎだ)


 ヘリオン!? 聞いてたのか⋯⋯


(今更何を⋯⋯パティアとは十分に想い合っているだろう。彼女であれば婚姻を結ぶのに不足はない)


 こ、婚姻て! さすがに早いだろ?!


(早い(・・)という事は、いずれはと考えているわけだ。ヴィーク族の間では婚姻の際に、猫を贈る習わしがあるのでな。私から二人に猫を贈らせてもらおう)



「ヘリオン様? いかがなされましたか?」


 ほら! ヘリオンがとんでもない事を言い出すから、スプラウスに不審がられたじゃないか!


 パティアへのあれこれを誤魔化す為に、取り繕って陳列されている商品を片っ端から物色する。

 俺が目を泳がせていると、訓練所には似つかわしくない、甘く華やかな香りが漂ってきた。


「この香りは―――」


「もうお一方(ひとかた)には、だいぶ気を使われているご様子でしたので。宝飾品が難しいのであれば“香油”で想いを伝えてはいかがでしょう」


 香油だって?! スプラウス⋯⋯君はなんて、できる子(優秀)なんだ。


 大事そうに机に置かれたのは、花の浮き彫りが施された首の長い一本の小瓶。

 先ほどの甘い香りの源だけあって、大人の女性を連想させる誘惑的な香りに満ちていた。


「絶世の美女と謳われたアイギュプトのクレオパトラ女王陛下。かの御方も愛用されていたのが、こちらのバラを漬け込んだ香油でございます。

 “香りの道”を通り、遠きアイギュプトより届きました。媚薬効果もありますので想い人には最高の贈り物になるかと―――」


「く、くださいっ!」


 しまった。パティアがたまに見せる悪戯っぽい笑顔を思い出して、飛びついてしまった。

 ―――媚薬か。つい、煩悩が混じってしまったが彼女は気に入ってくれるだろうか。


 おい、ヘリオン。ニヤニヤするのを止めろ。

毎週、月・水・金の週3回17時30分投稿。

次回は6月29日(月曜)です。


お読みいただき、ありがとうございます。

気に入って頂けましたら評価★★★★★ブクマをお願いいたします。ランキングと作者のモチベーションが上昇いたします。

引き続き、『武器物語』をよろしくお願いいたします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
ヘリオンwニヤニヤしないのww 匠くんが大変乗り気なのが微笑ましい限りです☺️ ヘリオンも応援してくれるみたいだし、二人の行く末が楽しみですね〜!
ヘリオンさんと一緒にニヤニヤしているのが私です(*´꒳`*) ヘリオンさんは特等席で見られてずるいですね……!? いやあ、渡す日が楽しみです(*´艸`)
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ